目に見えないデジタル給料を受け取る時代がやってくる

  • 2018/11/04
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  • のりき 夢丸
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デジタルマネーでの給料支払い解禁へ

デジタルマネーでの給料支払い解禁へ
厚生労働省はこのほど、企業が従業員に「デジタルマネー」で給料を支払えるようにする方針を固めたことが明らかになった。

いぜん現金指向が根強い日本にあって急転直下の方針転換に見えるが、このデジタル給料解禁のきっかけは以前から「東京都の強い要望があったため」だという。

都では激増する外国人労働者たちがもっと簡単に給料を受け取れる方法として、都を「デジタル給料国家戦略特区」として扱ってもらえるよう働きかけていたらしい。

・外国人は日本で銀行口座を開くのに手間がかかる
・諸外国ではすでにデジタル給料の先例がある
・外国人は日本ほど現金指向が高くない

などなど目の付け所は悪くない施策と思うが、これが私たち日本人にも浸透するかといえば、考えていかなければならない課題がいくつかある。

 

賃金支払いの5原則を知っているか

賃金支払いの5原則を知っているか
さて皆さんは賃金支払いの5原則というものをご存じだろうか。
賃金にはいつどこからどこへどうやって支払われなければならないという決まり事がきちんとある。

それは労働基準法という法律に明記されていて、

第24条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし…(例外はある)。

2 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし…(例外はある)。

つまり賃金支払いの5原則とは、

▼通貨で支払うこと
▼本人に直接支払うこと
▼取り決めの全額を支払うこと
▼毎月1回以上支払うこと
▼定期的に決まった「日」に支払うこと

であり、当人同士で結んだ協定などを除いて、これらの原則が守られなければ正しい給与の支払いとはみなされない。(えっ?オレ違う…と今頃気づいた人、まさかいないでしょうね?)

デジタル給料はこれら労基法の例外として(とくに通貨払いの)認められるわけだが、かといって労働者に不利になるような抜け道はないのか、安全性の担保はどこに置くのかなどが今後の課題になるだろう。

 

便乗ビジネスやうまい話に乗らないように

便乗ビジネスやうまい話に乗らないように
現段階では厚労省の方針が変わったというだけで、日本人労働者たちまでその影響が及ぶのは先のこと(でも来年中には省令改正予定)。
よって怪しい金融ビジネスの魔の手に巻き込まれないよう、冷静にデジタル給料の現在をまとめてお伝えしておくと、

▼デジタル給料は「銀行を介さない」送金システムになる
おそらくではあるが、新たに決済サービスを専門に手がける企業との取引になると思われる。
よって銀行とはますます疎遠になりそう。

▼現時点ではデジタル給料を専門的に扱えるシステムも、また企業も存在しない
インフラ構築はまだこれからの話。
仮にサービスを始めようとしても金融庁への登録&厚労省の指定を受けた企業に限られる(しかも今回は仮想通貨なんて目じゃないほど相当ハードルが高いとか)ので、かなり名の知られた金融業界のバックボーンがないと、信頼も得られず、システム立ち上げも難しかろう。

▼従業員はデジタルと現金の選択ができる
つまり今の段階では給料は今後も現金でください、と言っておけば問題はない。

▼1回の送金上限は100万円
それ以上もらうようになったら、やっぱり現金振り込みですかね。ああうらやましい。

▼外国人労働者の割合が高い企業は、早期のシステム移行があっておかしくない
元々は外国人に対する優遇措置なワケで、社内でも外国人労働者が多数を占めるような職場の場合、会計作業のダブルスタンダードを避けるために、あえて日本人も「デジタルで受け取ってね」と勧められることはあるだろう。

▼そしてなによりデジタルマネーに「仮想通貨」は含まれない
価格が激しく上下する仮想通貨では安全な給料の役目を果たさないし、街のATM等で月1回の引き出しにも応じられない。

ひょっとすると、このデジタル給料対価に仮想通貨が含まれなかったことこそ、仮想通貨市場の今後を大きく左右するのではないだろうか。

おそらく今後は日本人もある程度の割合で、デジタル給料をもらう人が出てくるはず。
パートやバイトといった働き方とも相性がよさそうで、ついに「給料袋」が本当の死語になる時代の到来だ。

この記事の作者

のりき 夢丸
のりき 夢丸
馬と日本酒と時代劇をこよなく愛するフリーライター。 モットーは「人の行く裏に道あり花の山」。 最近はドローンに興味津々の毎日。 競馬血統ブログ「ほぼ毎週競馬ナビ」にて執筆中。
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