菜七子ジョッキー、またひとつ大人の階段を登る

  • 2018/08/31
  • ライフスタイル・娯楽
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  • のりき 夢丸
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女性騎手最多勝利もほんの通過点でしかない

女性騎手最多勝利もほんの通過点でしかない

JRAの女性騎手・藤田菜七子(21)チャンが、先日女性騎手通算勝利数で歴代最多となった。

今年はすでに8月の時点で前年の勝ち星14に並び、6月には通算勝利数31勝を達成しG1レースへの騎乗も可能になるなど、一歩一歩確実に成長の足跡を残しながら、いよいよこれからは前人未踏の地を自ら開拓することになる。

そんな彼女の騎乗ぶりに関して最近はとくに評判がいい。
「順調に成長している」というよりも「ちょっと変わった?覚醒した?」という声が多く、レース後のパトロールビデオを見るオジサンたちの目も真剣そのものなんである。

いま彼女のどこがそんなに良いのか、そして気になる騎手としての将来像について考えてみる。

 

成績にばらつきがなくなってきた

成績にばらつきがなくなってきた

アスリートとしての理想は「毎レース、自分のできることを精一杯やる」ことかもしれないが、こと競馬のジョッキーとして求められるのは「人気馬に乗ったときの騎乗ぶり」に尽きる。

それは競馬が大きなお金を動かす公営ギャンブルだからであり、ジョッキーが人気でプレッシャーを受ける理由もそこにある。

最近、菜七子ジョッキーの成績が良いのはこの「人気馬をしっかり勝たせる(簡単に負けさせない)」ことができているから。

デビュー時の大フィーバーが終わり、ファンの目もシビアになって彼女の騎乗馬が必要以上に過剰人気することはなくなった。
つまり、今彼女が乗って人気する馬は「本当に勝てるはずの馬」に限られているのだ。

今年あげた16勝(8月26日時点)のうち、半分は3番人気以上の人気馬であり、2ケタ人気で大穴をあけること(2着、3着含め)はもはや昔の話である。

 

騎乗フォームが進化した

騎乗フォームが進化した

しばらく見ないうちにオジサンがちょっとビックリするくらい変わったと思うのが、菜七子ジョッキーの騎乗フォームである。

デビュー当時からスタート〜道中の折り合いに関しては天性のものがあり、レースの前半は安心して見られる新人さんだった。
そこからレースが動く後半に課題があったのは仕方がないところで、追ってからは女性特有の「ピョコピョコ」した無駄の多い動きに終始していた。

ところが最近久しぶりに、とくに新潟で1日2勝をあげたレースを見返したところ「ビビッ!?」とくる衝撃を受けた。

馬に体勢がガッチリフィットし、業界用語でいう「鞍はまり」が断然よくなったというか、馬と一心同体で動いている姿が「ちょっとかっこいいじゃん」と思わせたのだ。

それはオジサンの長い競馬キャリアの中でも今までの女性騎手に感じたことのない衝撃で、3年目でこれならもっと良くなってくるぞという確信を得ることができた。

 

この秋もう一皮むけた姿を見たいぞ

この秋もう一皮むけた姿を見たいぞ

夏の間はG1レースもなく、また地方の3場ローカルに分散した開催が続くので、菜七子ジョッキーにも普段より多めに騎乗依頼が舞い込む。
依頼といえば、この春ちょっと話題になった「エージェント契約解消」事案について彼女への影響を注視していたが、今の状況ならオジサンは「影響はニュートラル」と見ている。

むげに「干された」形跡もないし、今の好サイクル、好騎乗を続けることに注力すれば、かえってしがらみなく自然と(またはスポット参戦的に)馬が集まるようになるのではないかと思う。

とはいえ、このまま安穏としていてよい世界ではなく、秋から始まる重賞戦線にもそろそろ顔を出したいところだ。
さすがにそこは敏腕エージェントがいない辛さでもあるが、ちょっと気難しい逃げ馬、ズブくて動かない追い込み馬など、彼女の「決め打ち」がハマりそうなクセ馬にも積極的に乗って、重賞レースという「新たな世界観」を体験して欲しい。

あ、そうそう、彼女が勝ち星を挙げるレースの特徴をいくつか挙げると

▼基本はローカルのダート戦
▼短い距離より長い距離
▼でも伝家の宝刀は「芝千直」
▼1勝を挙げたら間髪入れず勝ち星が続く
▼1番人気はまず「飛ぶ」と思って相手は彼女から大穴狙い

そして最後に
彼女のケツを(見ながら?)追っかけてくる新人「▲(黒三角)アンチャン」との組み合わせが妙味

おい、キミのことをいってるんだぞ、山田敬士クン!(笑)

この記事の作者

のりき 夢丸
のりき 夢丸
馬と日本酒と時代劇をこよなく愛するフリーライター。 モットーは「人の行く裏に道あり花の山」。 最近はドローンに興味津々の毎日。 競馬血統ブログ「ほぼ毎週競馬ナビ」にて執筆中。
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