いまさらですが、5円と50円に穴があるのはなんででしょう?

  • 2018/08/15
  • ライフスタイル・娯楽
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ギザ10とは、確かに古い10円玉のことですが

ギザ10とは、確かに古い10円玉のことですが
「これ30円の価値あるねんで!!」
自慢げに差し出された彼の手には「ギザ10」が乗っている……ああ、何だか昭和の小学生がイメージされる光景ですね。昭和50年代に流行っていたのは硬貨集め、年代別に整理された硬貨のコレクションを持つ友だち、きっと皆さんも懐かしく思い出されていることでしょう。

しかし、そのころの小学生を笑うわけではありませんが、ギザギザのフチ取りがある10円玉が額面以上に価値を持つかというと、必ずしもそうではありません。
ご存知の通りギザ10とは、昭和26年から33年まで製造されていた10円玉のこと。
現行の10円玉が登場したのは昭和26年ですから、古い10円玉であることは間違いないのですが、それと価値があるのはイコールではないのです。

なぜなら、発行枚数がものすごく多いから。
一番多い昭和29年のものなら5億2,090万枚も発行されています。しかし、昭和33年のものならば2,500万枚、昭和32年なら5,000万枚、昭和26年なら1億106万枚と比較的発行枚数は少ないもの。
これらのものならば、若干のプレミアが期待できます。

ちなみに、昭和33年のギザ10なら6枚で810円。これが「ヤフオク!」での落札価格……うーん、見つける手間の方がコストがかかるような……。

 

理由はギザつきの硬貨ばかりで、紛らわしかったから

理由はギザつきの硬貨ばかりで、紛らわしかったから
ならば、なぜ登場した当時の10円玉にはギザがついていたか? というと、高額硬貨だったから。当時一番額面が高かった硬貨が10円玉、だから見た目も豪華にしなくてはいけないという理由で、周りにギザギザをつけたのです。

しかし、インフレーションの影響から求められたのは、もっと高額な硬貨。
昭和30年に50円硬貨が発行され、32年には100円硬貨が発行されて、それら全てにギザがつきましたから非常に紛らわしい。そんな理由から10円玉からはギザが取れました。

しかし、今度は50円玉と100円玉、2種類のギザあり硬貨が残ることになりました。そこで昭和34年に、50円玉と100円玉を同時にリニューアル。
50円玉には穴を開けることで、手で触れただけで2種類の硬貨の違いがわかるようにしたのです。

ちなみに昭和34年に発行されていた100円玉は銀が60%も含まれる高価なもの。コストダウンを狙って現行の100円玉へとリニューアルされたのが昭和42年、このときに50円玉も現行と同じデザインのものへ変更となっています。

 

コストダウンのために開けられた、5円玉の穴

さて、50円玉と同じく穴が開いているといえば5円玉なのですが、こちらも初登場した昭和23年には穴は開いていませんでした。しかし、急激なインフレーションで貨幣価値が急落、5円玉にそれだけの原料費をかけていては割に合わないので、穴をあけてコストダウンさせました。

ですから、穴ナシの5円玉は非常に短命。昭和23年と24年の2年間しか製造されていません。だからといって製造枚数が少ないかというと、そうではないのが穴ナシ5円玉も同じこと。
プレミアムは大して付いていませんので、穴ナシ5円玉を見つけたからといって、過度な期待は持たないほうが幸せになれそうです。

 

古銭にあいている穴は、形成上の目的だった

古銭にあいている穴は、形成上の目的だった
ならば、銭形平次が投げていた「寛永通宝」や、教科書にのっている「和同開珎」など、古銭に穴が開いているのはなぜか? というと穴に縄を通して持ち運び、折を見て下手人に投げつけるためではありません。

まあ確かに持ち運びをしやすくするためというのは、穴が開いている理由の一つではあったのですが、どちらかというと2次的なもの。
主な目的は四角い穴に四角い棒を通し固定して、ヤスリなどで周りを削りやすくするため。形を整えて貨幣らしくするのに、穴があいている方が都合が良かったから、ということになります。

そして、これら古銭なのですが……和同開珎など相当特殊なものを除いて、こちらもほとんど価値はありません。しかし、中にはとんでもない価値があるものもありますから蔵を整理していて、大量に発見されたというケースなら多少の期待は持ってもよさそう……まあ、ほとんどの場合が銭形平次よろしく、誰かに投げつけても惜しくないものばかりなのですが。

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アントニオ犬助
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みんなに嫌われるジジイを目指して、日々精進中!!
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