知名度が高い、ブランド名が強い事は、会社や個人の慢心を産む?
- 2018/08/19
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強いブランド力を確立する事は、ビジネスを優位にすすめる為の重要なファクターだ。
企業であれば、会社名および、大ヒットした商品が過去に幾つかあるというだけで、取引上有利になる。
アーティストも、数々の賞を受賞する事で知名度があがり、俳優も有名作に出る事で、仕事が選びやすくなる。
その一方で、これらブランド力が強くなる事が、企業もしくは個人事業主に100%良い影響を与えているかといえば、答えはNOだ、なぜか?
会社や個人事業主をだめにする全能感
企業のブランドが確立すると企業の経営者、重役、従業員の間に、過剰な自信や慢心が生まれる。
これは個人事業主も同じで『何があっても自分だけは何とかなるさ』という根拠のない全能感が出てくるのだ。
根拠のない全能感が出ると以上の3つの症状が出る。
1:永続感
2:自己主張
3:成長への誤解
1は様々な危機があったにも関わらず、『これぐらい何てことない』、『きっと誰かが助けてくれる』『自分(自社)だけは大丈夫』という思い込みだ。
バブル期以降の銀行破綻や、リーマンショックの原因は、悪い意味での永続感を持った企業の顛末だ。
2つ目は、自社および自分への批判は当たってないというトップの思い込みだ。
トップが、こんな思い込みをするのは、トップだけに責任があるのでなく、彼らを取り巻く幹部にも責任がある。
例えば米アパレル・アバクロンビー&フィッチ(以下:アバクロ)のCEO・マイク・ジェフリーズが、’14年12月9日に『フォーチューン』誌に語ったインタビューの内容は、彼を辞任に追いやる羽目になった。
『我々は格好よくて、見栄えのする人たちに対してマーケティングを行っている。
それ以外の人たちは、ターゲットにしていない。』
人種差別と取れる彼の発言は墓穴を掘る事になった。
これも根拠なきブランドの強さからくる全能感が生み出す永続感と『何を言っても許される』と勘違いしたトップの自己主張だ。
では根拠なき全能感が生み出す、3番目の症状、成長への誤解とは、どういったものだろうか。
何を作っても、いつでも売れるのはありえない
ソニーが、’00年以降ブランドとして失墜した理由は『ウォークマン』や『CDプレーヤー』の様な画期的商品を生み出せなくなった事と、既存の商品の修理部門をリストラしたからだ。
これは時計メーカー・セイコーにも言える。
電子辞書やプリンタなどに幅を広げるよりは、時計に特化すべきだという声も聞かれた。
本業以外にも手を広げようとするのは『かつて大ヒット商品を生み出したのだから、本業以外のことをやっても、きっと成功するはずだ。』という甘い目論見だ。
これらの目論見は失敗する。
何を作っても顧客が『ブランドネーム』だけで安心して買ってくれる時代は、高度経済成長期で終わっている。
今作って売れる家電製品があるとすれば、修理が安価かつ簡単で、余計な機能がついていないものだろう。
高性能な最新鋭のものは、どんな分野であれ、それを仕事に使う人か、マニアしか買わない。
それを『買え買え』と消費者に売りつける家電業界の方こそ、売り方を考えなければいけないのだ。
この様なブランド名の慢心、全能感と真逆をいった所がある、それはどれか。
時流に左右されず、自力で築いたものが生き残れる
『ザクどうふ』で有名になった相模屋食材の社長・鳥越氏は、元々雪印乳業の社員だった。
結婚した奥さんの実家が豆腐屋さんで、それを継ぐことになったのだが、継ぐ決定的きっかけとなったのは、雪印集団食中毒事件だった。
そのころの雪印は製造と販売部門は全く別の『製販分離』。
営業の人間は製造工程について聞かれても全く判らない有様で、連日被害者の元に謝罪に行ったという。
被害者から『なぜこの様な事が起きたのか』と聞かれても、きちんと答えられない無能さを社員に味わわせるのは、雪印の『罪深いことをしても、ゆるされる』というブランドからくる全能感や慢心だったという。
鳥越氏は、雪印時代の事を教訓にし、相模屋に入社して2年間で、すべての商品を作れるようにし、流通経路も把握したという。
『自分の手で売るものを、きちんと把握していないといけない。』という思いは、雪印から得た反面教育だったそうだ。
人は、大手企業や、売り手市場に属していると『自分の力でなんでもできた』とカン違いしがちである。
個人事業主の人にしても、今あなたがやっている仕事は、たまたま時代が後押ししているからであり、10年始めるのが遅ければ、誰も支持してくれないかもしれない。
ブランド力や、運を自分の力と勘違いしている人は多いが、それに慢心する事がないようにするのが、大事だ。