なぜ30代を過ぎると身体が肥満ぎみになるのか?

  • 2019/06/16
  • ヘルスケア
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  • 浅野 翔吾【内科医】
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今回は中年世代の肥満の悩みに関して解説させていただきます。
学生時代はスポーツマンで運動部にも所属し、身体を動かすのは好きだった。どれだけ食べても飲んでも太らない・・・はずだった。
しかし30代に入ったころ、季節の代わり目がきて久しぶりに出してきたズボンやシャツに手足を通すと「おや?なんかきつくなったような。ズボンのボタンをしめると息苦しい。」そして鏡を見た時にふと気づくのは若いころと比べると顔が丸くなり、お腹回りに肉がついたふくよかな自分がいる。思えば昔のように鏡や体重計で自分の体重をチェックすることもなくなった。久しぶりにあった学生時代の友人にも「おまえ丸くなったな」って言われた。以前から自分でも太ってきたことは心のどこかで自覚はしていたけど具体的な対策はせずになんとなくここまできてしまった。昔は肥満なんて無縁だったのにこの前受けた健康診断では肥満という2文字を指摘されてしまった。
こんな思いをされている方はいませんか?メタボリック症候群という言葉が流行って久しいですが中高年世代の男性の実に約3割かがこれに相当すると言われます。
今回は中年になって太りだす仕組みに関して説明させていただきます。

 

なぜ太るのか?

なぜ太るのか?
なぜ中年期になると太るのでしょうか?単純に考えれば口から摂取した食べ物から得られたエネルギーのうち消費されずに余った分が脂肪となり蓄積されると太りだします。
つまりは中年期になると余るエネルギーが増えるのです。エネルギーが余ることには2つの要因が考えられます。一つは消費するカロリーに対して摂取する量が多い。
そして二つ目は消費するカロリーが少ない。
ではわれわれ中年期に差し掛かっているオヤジたちが太る原因はこの二つのうちどちらなのでしょうか?結論から言うとこの両方が理由といっても過言ではありません。肥満で悩む方のほとんどが摂取量が多く、そして消費が少ないことが原因となっています。そのためこの両者を同時に改善しなければ肥満を解消することができないのです。
もっと正確な表現をするのであれば年を取るにつれて身体が1日に必要としているカロリー数は減り、同時に無駄な運動をしなくなるのです。子供の頃を思いだしてみてください。自分は運動部の所属し、中学生、高校生ともなれば毎日毎日何kmものランニングをこなしたり、日が暮れるまで何時間もの練習にあけくれた思い出がある方もいるでしょう。そしてお腹を空かせて母親が作った夕飯を何杯もお替わりしながら食べた人もいるのではないでしょうか。
その頃と比べれば運動習慣のなくなった現在はどうでしょう。毎日勤務先との行き来のみで歩くと言えば自宅から駅、駅から職場の距離くらい。たまに身体を動かすとすれば子供相手に休日は公園でサッカーをやる。
これらを比較するだけでもおそらく運動によるカロリー消費は若い頃と比べると雲泥の差があるでしょう。

 

太ると怖い疾患

太ると怖い疾患
何と言っても脳卒中と心筋梗塞の2つです。体重が増加し肥満と言われる状態になると血液内の動脈硬化が起こりやすくなります。そして血圧の上昇や血糖値の上昇にもつながりいわゆる生活習慣病で治療が必要な状態となります。当然肥満でなくても遺伝的な要素などで生活習慣病にかかる方もおられますが生活習慣病のそのほとんどは肥満を解消することで改善できることが多いです。
医師から薬をもらっていて血液検査でも数値は正常だから大丈夫と安心するのではなく、肥満というただそれだけで血圧や血液検査などの数値などで評価できず、長い時間をかけて動脈硬化や内臓の障害を起こし身体をむしばんでいきます。
肥満とはそれほど恐ろしいものなのです。

 

まとめ

まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は肥満について解説させていただきました。中年になるにつれてだんだんと太ってくるのには自分たちが考えている以上に代謝量の低下が関係していることを主に述べさせていただきました。
もちろん運動をすることでカロリー消費を増やすことも大切な要素であることは間違いないのです。
しかし食生活を変えないで体重をキープしていくために必要な運動量は相当なもので一旦始めることができたとしても長い年月それを継続することは難しいでしょう。ましてや働き盛りの忙しいわれわれオヤジ世代が体重をコントロールできるほどの運動に時間を割くことも難しいでしょう。やるにしても運動は自分がダイエットを始めるきっかけとして始めることが大切です。それも無理しない範囲で始めましょう。
そして同時にカロリー制限を徹底して行うようにしていくことが必須となってくるでしょう。
肥満の解消は決して楽なものではありませんが一度決心し、最初の行動を踏み出すことができれば自分の食事への認識、つまりいかに今まで自分が食べ過ぎていたかがわかってくるはずです。

この記事の作者

浅野 翔吾【内科医】
浅野 翔吾【内科医】
1978年生まれ。中部地方のとある病院で内科医として勤務医をしつつ、ライター活動をしている。趣味はサイクリング、ランニング。2児の父、子育てをきっかけに医師の働き方に関して真剣に考えるようになる。2017年にそれまでの不眠不休の労働を改め、地方の急性期病院を退職し現在に至る。
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