「日本酒は悪酔いする」という間違った都市伝説
- 2016/11/14
- グルメ
- 771view
- お酒
- アルコール
- ウイスキー
- おつまみ
- お酒
- カクテル
- グルメ
- バー
- ハウツー
- ブランデー
- ヘルスケア
- マナー
- 二日酔い
- 健康管理
- 日本酒
- 焼酎
- 生活の知恵
「日本酒は悪酔いする」って本当?
「日本酒は悪酔いするからなあ」居酒屋でそう言いながらビールや焼酎を注文する人がいますね。この一言を聞くとたいていの店主はカチンとくるそうですが、無理もありません。和食系の居酒屋の看板商品は日本酒。その日本酒をくさされたんじゃたまりません。
しかも、そう言う人は、ほとんどが他人の受け売りもしくは偏見に基づいているのです。
悪評の元凶は、昔あった三増酒
「日本酒は悪酔いする」という評価は、昔からあります。いや、正確には、昔はあったと言うべきでしょうか。なぜかというと、これは第二次大戦後まもない頃に造られた三倍増醸清酒のために生まれた風聞だからです。
三倍増醸清酒略して三増酒とは、米と米麹で作ったもろみに清酒と同じほどの濃度に水で薄めた醸造用アルコールを加え、さらにぶどう糖・水あめなどの糖類、乳酸・こはく酸などの酸味料などを添加して味を調えた酒を言います。醸造米が足りなかった戦後、米以外の材料からできたアルコールを混ぜて造ったのがそのはじまりですが、高度成長期以前の日本では大いにもてはやされました。
安いから飲みすぎてへたばる
三増酒は、何しろ安い。安いから、手持ちの金が少なくてもたっぷり飲める。たっぷり飲めるから、手軽にしっかり酔える。酒を飲む目的が酔うことだとしたら、コストパフォーマンスは最高でした。
しかし、落とし穴はここにあります。「手軽にしっかり酔える」は「たちまち悪酔いする」といいかえたほうがいいかもしれません。添加アルコールの多い酒は、少しでも量を超せば頭ガンガン、体フラフラの状態になるからです。
親や上司は、三増酒で酒を覚えた世代
いま40代を迎えた人たちの親や上司は、そんな三増酒で酒を覚えた世代です。「日本酒はあぶない」というのも、そこから出てきています。ただし、この人たちの頭の中にある日本酒のイメージは、実際にはもう過去の話です。
三増酒は日本酒の1つとして扱われましたが、現在は違います。「米、米こうじ及び水を原料として発酵させてこしたもの」が本来の日本酒。実際には多くの酒には少量の醸造用アルコールが添加されていますが、多量のアルコールに加え、ぶどう糖や乳酸を足した三増酒は、これはもうカクテルのジャンルです。
ということで、2006年の酒税法改正により三増酒は「清酒」から外れ、「リキュール」になったのです。つまりは、梅酒や味醂と同じジャンルにおさまったわけですね。
旨い酒を旨い肴と一緒に楽しんで、明日の活力を
どんな酒も、度を越せば悪酔いし、翌日も二日酔いとして苦しめられます。日本酒だからということはありません。ワインだって、焼酎だって同じです。一説によると、一番ひどい二日酔いはビールによるものだと言います。
悪酔いを避けるには、量に注意すると同時に、肴をしっかり食べ合わせることが大事。旨い酒を旨い肴と一緒に気持ちよく味わって、明日の活力につなげましょう。