一流の男たちが愛した一流のウィスキー
- 2016/11/14
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宰相・吉田茂も鬼平先生も愛したウィスキー
戦後日本をリードした宰相・吉田茂は、ウィスキーをこよなく好み、地方で遊説するときも秘書にボトルを携行させたほどでした。中年期から晩年までのそれは「オールドパー」でした。
「鬼平先生」と呼ばれた作家・池波正太郎は、夜中から早朝にかけてが執筆時間。一段落して床に入る時間になると、ここでウィスキー。仕事のしめくくりとなるその銘柄は「オールドパー」でした。
戦後詩を代表する詩人・田村隆一は終生酒を好み、特にウィスキーを愛飲。客があると、きまってウィスキーをふるまいました。その銘柄はやはり「オールドパー」だったといいます。
「オールドパー」という謎
仕事も性格も功績も異なる名士3人が共通して愛したウィスキー「オールドパー」。なぜ、「オールドパー」だったのでしょうか。これ、ちょっとした「謎」ですよ。
というのも、シングルモルトがウィスキーの最高峰とされてきたここ30年ほどの間、ブレンデド・ウィスキーの雄である「オールドパー」は、高級ブランドの位置を保ちながらも、ウィスキー通からはあまり顧みられてこなかったからです。「いくら高級ブランドでも、ブレンデド・ウィスキーは所詮二流」だなんて言うマニアもいます。何事につけても「一流好み」だった吉田茂が聞いたら、怒り狂うでしょうね。
ブレンデド・ウィスキーならではの香り
考えられる結論は1つ。ウィスキーという酒に対する価値観の違いでしょう。
ウィスキーはきつい酒ですし、ロックや水割りにして飲む人も多いことからワインのようにうるさく言われることはありませんが、個々のウィスキーの違いはやはり「香り」にあります。
シングルモルトがマニアに珍重されるのは、何といってもそれぞれが個性的であることです。香りもその大きな要素で、例えば「アベラワー」はなぜかウィスキーでなくラム酒の香りがまず先に立ち、次いでライムやレーズン、リンゴの香りが匂います。また、ハイランドモルトの「グレンギリー」では、バニラやナッツの香りが飲む者の鼻をくすぐります。
このように個性満点のシングルモルトに対して、ブレンデド・ウィスキーははっきりと違う香りを示します。異なる原酒をブレンドするのですから当たり前ですが、シングルモルトとは違っていろいろな香りが混じり合い、まろやかな匂いをかもしだすのです。
上品な香りは「一流」の証明
「オールドパー」は、その代表です。ストレートで口に含むと、まず感じられるのはレーズンやナシのフルーティーな香り。甘さもあります。そうして、一口飲み干すと、ウィスキー独特のスモーキーな香りが残ります。
全体として、実に上品な香り。貴族的とでも言えばいいでしょうか。これは他のブレンデド・ウィスキー、例えばジョニーウォーカーのブルーラベルやバランタインなどとは違う上品さです。吉田茂をはじめとするお歴々が評価したものがここにあるのではないでしょうか。そう、上品な香り=一流の証明です。
「オールドパー」はいまは町のスーパーでも売っていますが、その値段は5,000円強。けっして安い酒ではありません。毎日の生活の中で飲む酒としてはちょっとためらう金額。
でも、何かいいことがあって嬉しくてたまらない日など、夜は「オールドパー」でいきましょうよ。「一流の味」を堪能するために。