盗んだ仮想通貨を自分の手にするまでがまたひと苦労
- 2018/02/06
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盗んだ方も盗まれた方も胃が痛い毎日
NEMという仮想通貨が取引所からごっそり580億円分盗まれた(正確には不正出金)件に関しては、意外と身近な人たちから「やられた」という声が挙がっている。
もの珍しさも手伝ってか、仮想通貨が一般人にかなり広く受け入れられていたんだなと感じさせる。
その後取引所から「全部じゃないけど返金しますよってに」という発表があり、ホッとしていのか、まだ予断を許さないのか、人生の中で一番眠れない夜を過ごしている方もいるだろう。
それは盗んだハッカー側も同じこと。
これだけ鮮やかに盗めたところまではいいが、やはりその後、足はついてしまっている。よってあるときは息を潜めたり、また少し動いてみたりと、現在捜索側との息詰まる攻防が続いている様子。
盗んだからって、簡単にビリオネアになれるほど、世界は甘くないのである。
一筋縄ではいかない盗難NEMを世に出す方法
さてあの人この人たちがコツコツ買っていたNEMを丸ごとぶんどった輩が大金持ちになるためには
▼盗んだNEMがまったく使えない状態を回避する
必要がある。
というのは、仮想通貨は意外なほど「世界のどこをどう回っているのかわかっちゃう」代物らしく、こうしている今現在も580億のほとんどが、どこにどのくらい分散し、どう動いているか知られているというのだ。
ネット上にはこれを「誰もが指をくわえて見ている状態」と揶揄する声もあるが、まさにそんな感じで、顔の知れていないハッカー側が尻尾を出す瞬間を今か今かと待ち続けているらしい。
じゃあハッカー側はどうしたいかというと、普通
▼このNEM全部をNEMじゃない仮想通貨にロンダリング(洗浄)できないかな
と考えるだろう。
業界には、個人を特定しない取引を提供する場所もあり、そこへいっさいがっさい持ち込めれば、晴れて使える仮想通貨へと昇格させることができる。
ところが、だ。
盗みすぎたんじゃね?580億円なんて
今回はブツの大きさ(580億円)がハンパじゃない。
何をしようにも、どこへ運ぼうにも、その姿が大きすぎて、マルバレ状態。
困ったのか、計画通りなのか、ハッカー側は「分割していくつかのNEM取引所に移す」など、「たこ足分身の術」作戦を開始。
移されると予想される取引所側もNEMの扱いを一時やめるなど、息が詰まりそうな攻防が現実世界の裏で行われている。
でもこれで犯人側が「なんとかして少しでも盗んだNEMを実入りにしたい」と考えていることはわかった。
実はオジサン、今回のハッカーたちは「愉快犯」である可能性も少しあると思っていた。なにしろ金額が大きすぎるから。
つまり「盗んできても自分の手にはせず金輪際凍結しちゃう」という、ねずみ小僧のような怪盗ではないかと。
そうやって世間をあざ笑い、快感を得る人々かと、ね。
そんなかっこいい話が実際この世にあるはずもなく、濡れ手に粟のゲス野郎だとわかってある意味よかった。手を尽くして締め上げてほしい。
いつの世にも投機教訓は数あれど
最後に今回のNEM騒動に関する教訓をいくつか。
▼仮想通貨取引は100のうちまだ1ほども熟していないカオスの世界。
そこへ早々、自分の血と汗の結晶を注ぎ込む行為には、残り99の危険が全部迫り来ると心得よ
▼仮想通貨取引所は、銀行口座でもなく、またあなたの財布でもない。
世界の誰かがバッチイ手で総ざらいする可能性のあるさい銭箱とでも思っておけばよい
▼損失は「授業料」。取り返そうとすると、もっと大きな罠に必ずハマる
▼もし今回の犯人側、または見知らぬ人から「あのNEMを少し受け取ってくれ」などと提案されても、共犯になりたくなかったら無視し続けること。自分から手を挙げる愚行はもってのほか
▼そして間違っても「うまくやればかすめ取れるのか」なんて逆転の発想をしないこと。そういうバカ話に乗らないこと。