我が子が自分の子供ではなかったときの決断
- 2016/11/21
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嫡出否認の訴えを起こせるのは1年だけ
オヤジにとって我が子は何よりも可愛い存在でしょう。それもこれも、自分の血が流れていると思えばこそ。もちろん、納得の上で血のつながらない子供を育てている人にとっては、その子も我が子として可愛い存在であることに違いはないでしょう。
しかし、世の中には「そうとは知らないで」他人の子を自分の子供だと思わせれている事件があります。俗に言うところの「托卵」というやつです。
原因は妻の不貞である場合が殆どです。夫ではない男の子供を産むわけですから当たり前といえば当たり前ですね。
もし、目の前にいる子供が妻の浮気相手の子供だと知ったらどうすべきでしょう。
・知らない振りをする
・事実を突きつけた上で従来どおりに暮らす
・離婚するが子供はそのまま自分の子とする
・離婚はしないが自分の子供ではないと主張する
・離婚して子供の籍も抜く
人それぞれ考え方に違いがありますから、どれが正解ということではなく、すべて正解なのかも知れません。しかし、一般に騙されていた側があるべき姿に戻したいと思うのも自然の流れです。
自分の子供ではないとわかったときに、その主張を行い事実のとおりに訂正するには「嫡出否認の訴え」があります。
嫡出否認の訴えには段階があり、まずは嫡出否認の調停を申し立てます。ただし、婚姻中に懐胎した子供か、婚姻から200日経過後または離婚から300日以内に生まれた子供(つまり、嫡出の推定を受ける子)についての制度です。
具体的には、夫が子の出生を知った時から一年以内に家庭裁判所に嫡出否認の調停を申し立てることになります。調停で合意が成立し、裁判所が調査の上で合意が問題ないと認められれば身分関係を確定する審判が行われます。
妻が否認して合意が得られなければ訴訟へと進めるしかないでしょう。嫡出否認の場合は、主としてDNA鑑定などで親子関係を否定されれば父子ではなくなります。
親子関係不存在確認は厳しい
嫡出否認の訴えは夫が子の出生を知った時から一年以内に提起しないといけないため、騙されていた場合は期限切れのケースが多いと考えられます。実際の裁判例では、自分の子供ではないと知ったときとして運用されることもあるようですが、必ずそうするわけではありません。この場合、親子関係不存在確認を申し立てることになります。
親子関係不存在確認の訴えは、出訴期間の定めが無いためいつでも可能です。対象となるのは、そもそも性交渉が不可能な状況にあり(刑事施設に拘束されていたとか、外国航路の船上勤務だったなど)、事実上嫡出の推定を受けない場合に使われる制度です。申し立てのハードルは低くありません。
平成26年7月17日には、最高裁判所第一小法廷において、DNA鑑定で親子関係が否定されている父子の親子関係不存在確認を求める請求を棄却する判決が出ています。この事件は、戸籍上の父側ではなく母親が子供の代理人として起こしたもので、父側からの訴えであればどうなったか興味のあるところです。
ただ、最高裁の考えでは「生物学的な親子でないことをもって、戸籍上の父親の子であるという法的安定性を保持しなくて良いわけではない」という話になっています。さらに、生物学的な父親と法的な父親が存在するという不一致を民法が容認しているとまで示しており、オヤジにとってはおそろしい判決といえます。
しかし、裁判は一件一件が異なる事件であり、これをもって親子関係不存在確認請求が無意味というわけではありません。重大な判例でも変更されることがありますから、諦めずに戦いましょう。