なぜ日本のスギ花粉量は年々増加しているのか?その理由とは

  • 2019/03/05
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原因は東京の72倍という面積を持つ杉林

原因は東京の72倍という面積を持つ杉林
日々暖かくなり、過ごしやすい季節になってきました。春はすぐそこ、何となくワクワクしてきますが、一方で多くの人を悩ませ始めたのが花粉症。中でも日本人の約30%が症状をうったえるスギ花粉症は、もはや国民病といっても過言ではないでしょう。そんなスギ花粉症の原因はいうまでもなくスギ林、それも人工林にあるのです。そして、林野庁にある平成24年のデータによると、スギ人工林の面積は448万ha。東京都の面積(6万2,200ha)の実に72倍の面積となっており、日本の全森林面積の約18%を占めているとか。そりゃあスギ花粉が飛びまくる訳ですよね。

なぜこんな広大な面積に杉を植えてしまったのか?というと、戦中戦後期に物資不足から森林を伐採、山が荒廃しまくったから。そこで、土砂災害の防止と、住宅の建築需要を見込んで、杉を植えまくったから。1960年代に植林が国により奨励され、育った杉が30年程度で花粉を本格的に作り始めましたから、1990年代から花粉症が多くの人を悩ませるようになったのです。

 

やはりスギ花粉量は、年々増加している

スギ花粉症が騒がれるようになり、ずいぶん経ちました。しかし沈静化しそうにないばかりか、年々花粉症の人はひどくなるばかり。新たに発症する人も、増加している印象もあります。その原因は年々花粉の飛散量が増えているから?と思い調べてみたところ、まあ全国的な統計データがないこと。やっとのことで、日本のごく一部の地域のスギ花粉飛散量をまとめたサイトが見つかりました。

さいたま市健康科学研究センター「サイエンスなび」によると、昨年のさいたま市のスギ花粉飛散量は2014年からの5年で飛びぬけて高いもの。一番少なかった2014年と比較すると6倍強になっていますから、年々花粉の量が増加しているという実感は、どうやら間違いではなさそう。まあ、さいたま市のデータしかないのですが、ここでは日本中が同じ傾向になっているということにして話を進めます。

 

原因は地球温暖化、ではないでしょうか?

花粉の量は年々増加、昨年は過去5年で最大。なぜだろう?と考えていて思いつくのが、昨年は猛暑だったから、というものなのですが、スギ花粉を作る雄花が育つのは前年の夏。一昨年の夏は特別に暑かったわけではありませんから、昨年、飛び抜けて花粉量が多かった理由にはなりません。また前年の猛暑で雄花どれだけ育ったとしても、花粉の時期に湿度が高い日が続いたならば、飛散量は抑えられますし、逆も考えられる。ならば、年々花粉量が増加している理由を一つに求めることは難しいということになります。

そして強いていうならば地球温暖化の影響?という、実にフワフワとしたイメージが持ち上がってくる。年々増加しているスギ花粉症や花粉量の原因は、地球温暖化じゃないのかなあ?という、何とも頼りないところに話は落ち着くのです。

 

スギ花粉症対策の、絶望的な現状

「スギ花粉量が増加している原因はよくわからないし、その原因が地球温暖化ならば対策が難しい」こんな話になったなら「それでも元凶がスギ林なのは明らか。いっそ全部切ってしまえばいいんじゃないの?」こんな声が聞こえてきますし、もっともなことです。

そして、実際に国も対策を進めているのです。ただし切りっぱなしでは山が荒れてしまい、土砂災害の原因になりますから、現在おこなっているのは花粉の少ない杉との置換え。資材として切り出された杉の後に、新品種を植林しています。

ただし、2015年に植えられた苗木はたったの2,000万本弱、面積に直すと約6,600ha。スギ人工林の面積は448万haですから、全ての置き換えの終了までには680年ほどかかる計算。実に気の遠くなる話なのです。遅すぎる!しかし、スピードアップするにしても、林業従事者が6万人しかいないという状況や、国産スギの需要の低さ、新品種の杉の苗の供給状況、山林の所有者が不明、さらには予算などの問題が山積。これ以上のスピードアップには限界があるのです。新薬が開発されるのを待つとか、人間がスギ花粉症への耐性を得るのを待っていたほうが早いかもしれない。何ともうんざりする、スギ花粉症の現在でした。

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アントニオ犬助
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みんなに嫌われるジジイを目指して、日々精進中!!
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