マツダがロータリーエンジンを積んだ電気自動車を開発中!どうなんだ?
- 2018/11/13
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ロータリーエンジンは最強のエンジン
ピストンの往復運動を回転運動にする。
現在、広く普及しているレシプロエンジン、いわゆる普通のエンジンには往復を回転に変えるという構造上の無理があります。それを、何とかならないか? と考えたのが、ドイツの自動車メーカー「NSU」に在籍していたフェリクス・ヴァンケル博士。
試行錯誤の末、1957年にヴァンケル・エンジン、つまりロータリーエンジンを発明したのです。
ロータリーエンジンは夢のエンジン、ローターの回転をそのまま伝えればいいのですから仕組みも単純、軽量・コンパクトになりますし、圧縮・燃焼・膨張・排気という工程も、レシプロエンジンの半分ですむ、つまり同じ排気量なら倍の出力が可能という理屈です。加えて振動や騒音が少ないとか、NoXの排出量が少ないとか、様々な長所が見込まれていたのです。
というわけで最強のエンジンになるはずだったのですが、NSUが手がけたロータリーエンジン搭載車は「ヴァンケルスパイダー」のみ。
というのもロータリーエンジンには、耐久性が低いとか、エンジンオイルがすぐなくなるとか様々な欠点があったから。ユーザーからのクレームに耐えられなくなったNSUは、アウディに吸収合併されることになってしまいます。
ロータリーエンジン搭載のスポーツカー開発中?!
そんな欠陥エンジンのライセンスを得て、ロータリーエンジンの改良に粘り強く取り組んだのがマツダ。1967年に「コスモ・スポーツ」に搭載されたのを皮切りに、「RX-7」など今に語り継がれる名車にも搭載。独特のエンジンフィールにはファンが多かったものの、2012年の「RX-8」を最後にロータリー車は絶滅、燃費が悪いという致命的な弱点を克服できなかったからです。
しょうがないね、と、私、アントニオ犬助などは思うのですが、ロータリーファンからは復活を待ち望む声が、しばしば上がっていたのでした。
そして、彼らへのの朗報となったのがRX-8の後継車となる「RX-9」の開発がスタートしたという噂。「ロータリーエンジンを搭載した高級スポーツカー、価格は800万円」こんな話がネットを中心にささやかれ期待はどんどんと高まっていったのですが、どうやら単なるガソリン車ではないという。RX-9はロータリーエンジンで走るわけではないというのです。
確かに搭載はされていますが、それはレンジエクステンダーとして。EVの充電分が足らなくなったときにエンジンが稼動する、発電機としての役割を担っているというのです。
やっぱり、スポーツカーではなくなりそう
最初この話を聞いた時、犬助は妙なリアリティを感じました。
というのも、マツダはすでにエンジンエクステンダー付きEVの試作車を2013年に公開していたから。その技術をブラッシュアップさせれば、実現は可能と思えたからなのですが……10月にマツダが発表した長期ビジョン「サステイナブル『Zoom-Zoom』宣言2030」にも独自開発するEVに、ロータリーエンジンによるエンジンエクステンダーについての言及がありました。
発売予定は2020年だとか。
しかし、それがRX-9になるとか、スポーツカーになるとかいうことについてまでは述べられていない。もう少し、待つ必要がありそうなのです。
そのEVのアドバンテージは、果たしてどこにある
そんなRX-9はともかく、マツダのEVで今一つわからないのが、三菱「アウトランダーPHEV」やトヨタ「プリウスPHEV」などの先行するモデルと比較して利点はあるのかどうか? という点。
すでに他社が技術を確立させているならば、それに乗っかればいいのではないのか? ロータリーエンジンに固執する必要性はどこにあるのか? という点です。
ロータリーエンジン搭載の市販車「コスモ」が登場して51年、「787」がル・マン24時間レースで総合優勝を果たしてから27年。開発の苦難の道のりは、犬助も「プロジェクトX」で理解しているつもりですし、敬意は表します。
しかし、どれだけダメになったら気がすむのか。いい加減、固執するのはやめたほうがいいのではないかと思うのです。
ひょっとしてロータリーエンジンに投資した金額が莫大過ぎて、手を引くに引けなくなっているのではないか。「コンコルドの誤信」ならぬ「ロータリーの誤信」に陥っていないのか。
他社が進んでいない道を突き進むマツダは、見ている分に十分に面白い存在ではあるのですが、他人事ながら心配になってしまうのです。