会社でやってしまう勘違いあれこれ~有給休暇
- 2017/09/04
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部下の休暇を認める権限
オヤジ世代も長くなると、会社でもそれなりのポジションに就いているケースが増えます。数が多いか少ないかはともかく、部下を持つこともあるでしょう。上司としては部下の管理はしっかりと行いたいものです。そこで、気合を入れてやるのは結構なことですが、勘違いで暴走しないように確認すべきことがあります。
・年次有給休暇の取得
実は、少なくない企業で年次有給休暇の仕組みを正しく理解していないのではないかと思われる事象が発生しています。その代表例が、上司が有休を認めないというものです。
都内在住で都心の企業に勤務するAさんは、忙しい毎日に一区切りついたところで、趣味の漫画をまとめて読みたいと思い有休を申請しました。ところが、上司に理由を聞かれて正直に答えたところ、漫画を読むための有給休暇なんか認められないと叱られてしまいました。
さて、このケースの何が問題かを検証しましょう。
まず、上司が理由を聞いた点が不適切だといえます。そもそも、年次有給休暇は理由の要らない休暇だからです。理由によって許可したり却下したりする性質のものではありません。そして、勤務状況などの条件を満たせば法的に当然に発生する休暇であることから、有給休暇の取得を認めないとする行為は違法です。基本的に、会社や上司には有給休暇の取得を拒否する権利はありません。
時季変更権とは
このケースでは、忙しく働いて有給休暇を取れる状況になった従業員のAさんに対し、上司が理由を問いただし、その理由を根拠に認めない対応をとったことが違法となります。しかし、今休まれると業務に支障が出てしまうという場合はどうでしょうか?
他の日なら構わないが、その日に休まれると困ってしまう非常時であれば「時季変更権」を行使して、Aさんの有給休暇取得日を変更してもらうことが可能です。
それなら、毎度忙しいからダメだと理由づけしておけば、事実上、有給休暇の取得を阻止できるのではないかなどと考えてはいけません。現実にはともかく、法的にはそのようなことは認められていません。なぜなら、年次有給休暇は当然に付与されるものであり、取得が不可能な業務運営などは許されないからです。取得可能な前提で、たまたま今は難しいという場合に変更が認められるだけです。
もし、本当に年次有給休暇を消化する余裕がまったくない常態であれば、人員を増やすか業務量を減らすかの対策が必要となります。そんなことやってたら会社が成り立たない!という会社は、残念ながら退場するしかないのが法治国家だからです。もっとも、現実には労働法規をまるっと無視して生き残っている企業がどこにでもあります。
そのような企業は訴えられたら負けるというリスクを背負っていることを忘れてはいけません。また、オヤジ自身がAさんのような扱いを受けた場合は、上司を怒らせないように年次有給休暇の性質を説明してみることです。聞く耳を持たないようなら、あとは合法の範囲でできることは何でもしましょう。もちろん、自分の得になるように。