なぜ広島東洋カープは、広島県民にとって特別な存在なのか?
- 2018/08/24
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ことごとくカープ愛があふれる広島県民
広島東洋カープ、強いですね。
球団史上初の3連覇がかかる今シーズン、現在は2位に10ゲーム以上の大差を付けて、リーグ優勝への死角なしといった様相。私、アントニオ犬助の周りには、なぜか広島県民もしくは広島にルーツを持つ人が多いのですが、総じて皆さんゴキゲンで、ちょっとプロ野球の話題を出すと「カープ愛」があふれたトークが止まらなくなる。
彼らは100%カープファンなのです。
しかし考えてみると、これはちょっと異常なこと。
例えば、熱狂的なファンが多いことで知られる阪神タイガースですら、大阪・兵庫ゆかりの人たちが100%ファンか?というと、全くそういうことはありません。むしろ阪神タイガースどころか、プロ野球に興味がないという層が大半を占めている印象なのです。
なのに、広島ゆかりの人たちにカープの話題を出すと見事に食いついてくる。
しかも「永川がどうした、アドゥワがどうした」といった、相当深いレベルで食いついてくるのです。
そんな異常性は広島市や、広島県の地方都市を歩いてみても実感されます。
まあ、様々な業種の店先で広島東洋カープのポスターが目に付くこと。書店にはカープ関連書籍が平積みにされていますし、お土産物店には必ずカープグッズがコーナー取りされている。子どもばかりか大人まで、赤いキャップをかぶっている。
いったい、彼らのカープ愛はどこから来ているのでしょうか?
「カープは貧乏じゃけぇ」という思い込み
カープ=資金力に乏しい球団だと思われていますし、カープファンも信じています。
特定の親会社を持たずに「市民球団」としての球団創設、経営難を危機を乗り越えようとファンがおこなった「樽募金」、そして、FAを宣言した選手の年俸の高騰を嫌い「FA残留」を実質認めていないという姿勢。これらの話が広く知られているからでしょう。
これが、広島ゆかりの人たちにカープ愛を育ませる最大の要因。
金満球団と戦う貧乏カープ、だから市民の私たちが支えなければという意思が広島ゆかりの人たちの間には根強いのです。
しかし球団運営は1975年から連続して黒字、特にマツダスタジアムが完成して以来カープの試合は常に大入り満員。現在のカープの経営が危ないということは全くありません。
低いと思われている選手の年俸にしても、合計すると25億3,510万円。12球団のランキングで見ても9位ですから高くはないにしても、決して低くはないのです。
しかし未だ根強い貧乏球団というイメージは、カープ愛を育む上ではプラスに働いています。
チームとの距離が非常に近いこと
中部地方の中核都市とはいえ、広島の街が巨大すぎない。
これもカープ愛が育まれている、大きな要因の一つです。街が適度にコンパクトだから選手とファンとの生活圏が重なり、両者の距離が非常に近いのです。
ママチャリで街を疾走するエルドレッド、球場そばのコストコにいるエルドレッド、ソレイユのフードコートにいるエルドレッド……2014年のホームラン王、スーパースターにも関わらずエルドレッドの目撃情報が相次ぐのはカープファンのTwitterなのですが、これは何もブラッド・エルドレッド選手に限ったことではありません。
食事をしていたら後ろの席に安倍選手、酒を飲んでいたら隣のテーブルに上本選手、街ですれ違った東出コーチなどなど、広島市民と話していると、まあ選手や関係者と遭遇する確率の高いこと。まるで、大阪市民が吉本興業の芸人さんと遭遇するレベルなのです。
しかも選手は総じてファンサービスが良いというのも大きなポイント。
球団きっての人気者・新井選手や、不動のクローザー・中崎選手。一線級の彼らですらサインを求めると快く応じてくれるという。新井選手などはキャンプ地に訪れたファンに対して2時間もかけてサインをおこなったとか……そりゃあカープ愛が育まれますわな。
グッズが果たす大きな役割
そしてカープグッズの商品力の高さ、というのも大きなポイント。
なにかあるたびに発売される記念Tシャツや、マスコットの「カープ坊や」のコラボグッズ、赤ばっかりの三色ボールペンといったユーモアセンスに富んだものはもちろん、トートバッグやニューエラのキャップといった日常でも使いたくなるものまで、他球団と比べてもかなりレベルの高い商品が揃っている。
その企画力は12球団随一といってよいでしょう。
そんなグッズは駅の売店やお土産物店など、どこででも販売されていますから、気がつけばグッズを購入してしまっている。カープへの愛着が増しますし、カープが日常生活の一部にになる。はい、カープファンの出来上がりです。
もちろんこれだけではないでしょうが、他球団ファンから見ても異常と思えるカープ愛は、このように育まれるという話でした。
それでは阪神ファンの犬助はカープファンに負けないように、来期に向かってタイガース愛を育みますかね。ええ、犬助の心はもう来期へと向かってしまっているのです。