京都市バスが民間6社に業務委託?公営バスの運営が火の車ってマジなの?
- 2019/01/11
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公営バスが、採算が取れない路線の経営改善の為に、民間バス会社に委託しているのは周知の事実だ。
その先駆けとなったのが、’00年にはじめた京都市バスだが、委託契約先の値上げや、契約打ち切りの危機に晒されている事が判明した。
東京五輪に向け、京都市内は訪日観光客は増え、それ以後は高齢者の利用ニーズが高まるであろう市バス。
起死回生の一打を打つ事は可能なのだろうか。
車両の半分を6社が運営する市バス
国土交通省の調査によると、’18年3月末現在で、全国24の公営バス事業のうち11団体が民間委託している。
都営バスが、はとバスに運営委託してるのは知られている。
民間委託は、道路運送法第35条で定められており、受託期限は最長5年。
それ以降は地方運輸局に、再度申請しなくてはならない。
京都市バスは、’18年末現在、818台ある車両のうち半分が、6つの民間バス会社によって委託運営されている。
西賀茂車庫、北大路バスターミナルから出発する系列だけが全て直営で、他は、半分が直営半分委託という所もあれば、洛西営業所や、横大路車庫の様に、全系列が委託という所もある。
梅津車庫は半分直営で、半分は西日本JRバス、九条車庫は半分が直営、半分は京阪バスだ。
洛西営業所は全車両が近鉄バス、横大路車庫は、一部がMKで、その他は阪急バスだ。
その委託先も撤退の危機に迫られている、何故なのか。
委託先撤退、赤字転落、敬老パスが幻に?
委託台数のうち、約15%を占めるのが京阪バスだ。
京阪バスは、赤と白の塗装でお馴染みの自社バスと、亀岡に拠点を置く京都交通、北部を中心に走る京都バスを傘下にしている。
自社の運転手と路線維持の為に、京都市バスとの委託契約を本年度中に徐々に縮め、解約する見通しというのが、関係者からの調べで判明した。
京都市内で高尾、周山まで自社路線を持ち市バスの委託を受ける西日本JRバスも段階的に委託を減らす方針だ。
京都市バスは路線維持の為に、’19年1月末までに運転手の新規採用枠を目標100人としているが、到底達成できそうにない。
その他の委託先の民間バス会社から委託料の値上げを要請されている事も発覚した。
自社人件費の増幅ち委託料を合わせると、今年だけで12億の赤字になり、15年連続黒字を保っていたバス事業の赤字転落が目に見えているのだ。
70歳以上に発行している敬老乗車券の存続も危ぶまれる事は間違いないだろう。
今後は乗客に、格安定期券の様に、ある程度運賃を負担してもらわなければいけない事になる事が考えられる。
では京都市に留まらず、各都市の公営バスが民間委託に頼る理由はなぜなのか。
何故、市バス運転手は激減するのか
不採算路線を抱えながら、路線沿いを限界集落にしない為に、路線維持に努めるのが各バス会社の現状だ。
民間委託は、車庫整理と並んで、経営打開策の一つとして取られてきた。
国交省は委託について『路線の長さ、または使用車両の2分の1以内』としているが、なかなかそうもいかない。
神戸市交通局の様に、路線の縮小、休止という手段を取り、半分以上を民間委託している公営バス会社もある。
国交省の調査によると、’15年度の路線バス運転手は84000人で、’76年のピークを境に減少しているが、その内訳は以下の通りだ。
1:1日の拘束時間が半日以上
2:離職率は、1年が3割、4年が5割
3:35歳以降に年収が下がる
4:女性ドライバーは全体の1%
5:40~50代の中堅、ベテランドライバーの給料の激減は激しく、各社争奪戦
6:6人に1人が60歳以上で、これからも増える傾向にあり
7:正社員率は7~6割
8:キャリアにより年収がアップしたのは、平成シングルまで
中には新卒者や経験者に好待遇を出すバス会社もあるが、それが5年、10年続くわけでもない。
特に福利厚生の待遇を全面に出すバス会社は、民間の限界集落を走るバス会社に多い所から、ドライバーが福利厚生の好待遇ごときで飛びつかない理由も判る。
これらのマイナス要素をカバーすべく、各交通局では、免許所得に費用がかかる大型二輪の費用補助や、ベテランドライバー同乗による回送車を使った実地訓練を行っているが、実際にドライバー拡大につながるかどうかが疑問だ。