甲子園はいつまで球児たちの「大甲子園」でいられるか
- 2018/08/11
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この暑さのなか夏の甲子園がスタート
今年の「災害級」の暑さ、いや「熱波」は各地に猛威を振るい、夏の行事の行く末までを大きく変えようとしています。
たとえば日本の夏の風物詩といえば、大小各地で催される夏祭り。ところがこれも、日中の練り歩きが中止されたり、子どもの参加が夜に限られたりと、予定変更を余儀なくされています。
しかしなんといっても一番の被害を受けているのは、夏のスポーツシーンです。
とくに汗と涙の青春群像「高校野球・夏の甲子園」大会では、豪雨被害による予選開始の遅れに始まり、酷暑を避けてのナイター予選が行われるなど、異常気象と闘う関係者の試行錯誤が続いています。
そんな中あるスポーツ紙にて、甲子園組み合わせ抽せん会に訪れた代表球児たちに緊急アンケートなるものが実施されました。
質問はズバリ「高校野球夏の全国大会をどこでやるべきか?」
当事者の球児たちは、なんと答えたと思いますか?
そりゃそうだ、甲子園がいいに決まってる
選手50人に対するアンケートの結果は
47人が「甲子園でやるべき」、3人が「球場にこだわらない」
はい、そのとおりです。
みんな甲子園に来たくて頑張ってるんだもんね〜。
しかしアンケートの結果はこのとおりなんですが、付随するコメントには当事者ならではの苦労が垣間見えるんです。
「正直、自分も熱中症で倒れたことがある。けれど甲子園じゃないとダメ。甲子園はエアコン効いてますし、自己管理こそ大切だと思う」
「熱中症一歩手前は日常的。足もつります。もし球場が変わるくらいなら甲子園でナイター試合がしたい」
「甲子園の生暖かい浜風が心地いい。あの中でやれたら熱中症で倒れても本望」
読めば思わず涙がちょちょぎれる(古い)くらい、みんなまっすぐで、真摯で、夢見る球児たちなんです。
この声をうけ高野連の当事者たちは何を思う
実は同じ紙面で高野連の役員にもコメントを求めており「来年以降はあらゆる可能性を視野に入れていく」というのがそれ。
これだけ読むと「そろそろ重い腰を上げてナイターか、球場替えも…」と勘ぐりたくなりますが、いやいや実際の甲子園信仰は誰にとっても重い十字架。
その役員も別の日の紙面では「とにかく選手が第一。選手が甲子園といったら甲子園」と発言していて、どうも自主的に避暑を考えているフシはないんですな。
ちょっと話題はそれますが、たとえば近年甲子園に「VTR判定を入れるか入れないか」の議論もあったようなんです。
でも高野連の言い分は「高校野球は教育の一環。プロはお金が絡む興行」という立場でVTR判定導入には至らなかったそうです。
けれどもしも本当に高校野球が教育の一環であったとしたら、高野連はもっと責任を持って「(希望はさておき)選手たちを安全な方向へ導く」立場にあるんじゃないかと思うんですが…。
「選手ファースト」は聞こえのいいスローガンではありますが、選手のやりたいようにさせておいて「もしもの事故はすべて自己管理で防げ」じゃあ、教育ではない気もします。
すべては異常気象がもたらした問題なんですけどね。
一方で単なる全国大会の会場という立場も
甲子園は全国高校球児の聖地であることは否定しません。
100年前には他に立派な球場がなかった事情もあります。しかし、ここまで甲子園をアンタッチャブルな聖地にしてしまったことにも問題がないでしょうか。
冷静にみれば夏の高校野球大会の「実施会場」でしかないわけで、それこそ阪神タイガースに3週間の「アウェー合宿」を強要してまで借り受けているのが現状ですし。
先日、水島新司先生の「ドカベン」シリーズが最終回を迎えましたが、オジサンも「大甲子園」までは全巻揃えています。
その「大甲子園」の1巻で、雨天中止を願う里中を尻目に、男・岩城が取材の新聞記者たちに向けてこう吠えます。
「だまれ新聞屋!読みが甘いで!少々の雨でも日程消化しか頭にないのが高野連やで!(神奈川大会決勝は保土ケ谷でなく横浜スタジアム)」
甲子園が高野連の専用施設でない限り、いまやそこまで甲子園(または昼間開催)にこだわる必要はなくなっていないでしょうか。
高校野球は興行ではないかもしれませんが、毎年その興行の行方に多大な影響を与えちゃってることも確かですから。
高野連が選手を「大人のエスコート」で安全な方向へ導いてくれることを願いながら、今年も球児たちの無事活躍を祈りましょう。