バッターが一塁へ向かうとき、ヘッドスライディングと駆け抜けるのでは○○の方が良かった?
- 2018/06/12
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どっちが有利?
ヘッドスライディング。
文字通り頭から滑り込むこの走法は、一塁へのタイミングが際どい時などに用いられています。
特に高校野球にて、最終回のバッターがゴロを打ってヘッドスライディングするシーンを見たことがあるという人は多いのではないでしょうか。
ただこのヘッドスライディングに関しては、飛び込むよりも「駆け抜けた方が速いのでは」という意見も少なからず存在しています。
イチローなど球界を代表する足のスペシャリストにもあえてヘッドスライディングを行わない選手もおり、「駆け抜けた方が速い」というのは野球界の定説にもなりつつあります。
しかし2018年、その定説を覆すような研究結果が立命館大学より発表されることになります。
ヘッドスライディングの方が速い!
駆け抜けるのとヘッドスライディング、どちらが速いか?
駆け抜ける方が優勢だった流れに一石を投じたのが、立命館大学です。
立命館大学が行った研究の内容は15人の選手が駆け抜けるのとヘッドスライディングを3回ずつ行い、その平均値を比較するというもの。
その結果、1ヘッドスライディングよりも駆け抜けた方が速かったのはわずかに3人。
また統計でもヘッドスライティングの方が0.04秒ほど早く、その有利性が証明されることになりました。
スポーツ科学が発展した近年では、昭和野球の根性論や泥臭さというのはどこか敬遠されている面もあります。
ヘッドスライディングもそれらと同じカテゴリーと捉えられがちですが、ヘッドスライディングの方が速いとわかればそれも少しは変わってくるのかもしれません。
ただそれでもヘッドスライディングが主流にはならない、なれない理由も存在しています。
ヘッドスライディングにはデメリットも
駆け抜けるよりもヘッドスライディングの方が速い。
ただこの研究結果を基に、指導者が選手にヘッドスライディングを推奨するのは大きなデメリットも伴います。
まず1つは、怪我のリスク。
いくらヘルメットをしているとはいえ、頭から滑り込むという行為が駆け抜けるよりもリスクが高いことは間違いありません。
選手の懸命さが伝わり、爽やかさすら感じさせるヘッドスライディング。
しかしそれで怪我をしてしまえば、選手の将来に影を落とすことにもなりかねません。
ヘッドスライディングよりも駆け抜けることを支持している人にも、スピードよりむしろそういったリスク面を憂慮している人が多くいます。
そしてもう1つのデメリットは、全ての選手がヘッドスライディングをした方が速いというわけではないことです。
研究でも3人は駆け抜けた方が速かったように、各々の技術や適正というのも影響することが考えられます。
そうした技術や適正がない選手がヘッドスライディングをしても、かえってアウトになりやすくなるだけ。
いくらヘッドスライティングの方が速いと統計的に明らかになっても、こうしたリスクや適正を考慮するとヘッドスライディングが主流になるまでの変化は起こらないでしょう。
まとめ
統計的には、駆け抜けるよりも速いことが証明されたヘッドスライディング。
ただ怪我のリスクなどを考慮すると、ヘッドスライディングの方が良いとは言い切れない部分もあります。
近年はコリジョンルールの導入など選手の安全性に重きを置いている傾向もあり、ヘッドスライディングの方が速くても今後もそれが大々的に推奨されることはないでしょう。
とは言え、選手が気迫をこめて滑り込むその姿にファンを熱くさせるものがあるのも事実。
セーフになった時には、試合の流れを変えてしまうほど球場が盛り上がることもあります。
速い遅い以前に、野球からヘッドスライディングが無くなってしまうとどこか寂しいという人も多いのではないでしょうか。