ボクシングでグローブがよく問題になるが、メーカーでそんなに違いがあるの?
- 2018/05/01
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グローブでも、もめていた山中×ネリ
規定体重を大幅にオーバーしたチャンピオン・ネリと引退を決意して挑んだ山中慎介。
3月1日におこなわれたWBC世界タイトルマッチは、山中選手2ラウンドKO負けという実に後味の悪い結果に終わりました。「ネリ、ふざけるな!!」今思い出しても怒りに震える、そんなボクシングファンも多いことでしょう。
しかし、ネリがふざけていたのは前日の体重オーバーだけではありません。
それよりも前、タイトルマッチの調印式の段階でも充分ふざけていたもの。山中選手が所属する帝拳ジムが用意していたボクシンググローブに、難クセをつけてきたのです。
用意されていたグローブはメキシコ・レイジェス社製。そもそもチャンピオン側の意向を汲んでレイジェス社のものを準備していたのに、直前になって日本・ウイニング社製のものに変更しろとの要求。
「ほう、グローブに難クセをつけるとは心理戦に持ち込むつもりか?」などと、これが報じられた当初、犬助はのん気に構えていたものです。しかし、計量では大幅な体重オーバーが判明したことを知り、思わず「ネリ、ふざけるな!!」と口走ったものでした……あんた最初から、まともに試合する気がなかっただろ?
メキシコそして世界のレイジェス社
さて、グローブのメーカーで難クセを付けてきたネリなのですが、ここで気になるのが、レイジェス(REYES)とウイニング(WINNING)、ボクシンググローブのメーカーごとにそんなに差があるのか?ということ。以下に少し、見ていきましょう。
レイジェスの創業者、クレト・レイジェス・カストロ氏がボクシングのグローブを手がけ始めたのが1938年。以来、グローブだけでなくヘッドギアやアパレルなど、ボクシング用品全般にわたって手がけるスポーツメーカーへと成長をとげました。メーカーHPによると、現在の世界タイトルマッチで最も使われているグローブのメーカーです。
特長は表面にヤギ革を使用している点と、打撃部の素材が薄い点。
ネリもレイジェスのグローブの使用を拒否する際に「ハードパンチャー同士の闘いだけに、このメーカーのグローブを使用したら、試合は1ラウンドで終わってしまうよ」などとうそぶいていましたっけ。
日本製グローブの雄・ウイニング社
一方でウイニングの創業は1937年。最初は野球グローブを手がけていたといいますが、1950年代にボクシンググローブの製造に特化、以来、ボクシング用品全般を手がけるメーカーとして、こちらも世界的な知名度を持っています。
日本製だけに、国内の試合のほとんどで使用されていますから、多くの人がどこかウイニングのロゴを見かけたことがあるはず。特長は表面に牛革を使用している点と、クッション性に優れている点。拳を痛めにくい反面、KO決着がしにくいのでは? といわれていたりもします。
ちなみに犬助が手にしたことがあるのは、ウイニングのボクシンググローブだけですから、レイジェスとウイニングの使用感の違いについては、実体験から申し上げることはできません。ただ……練習に使う共用のボクシンググローブって、すっごい臭いんですよね。あれには、閉口いたしました。
そんな声が多かったのかどうなのか?アメリカ・エバーラスト(EVERLAST)社のグローブは手のひら部分にメッシュ生地を使用したり、雑菌を抑える工夫をしたりで臭くなりにくいと評判だとか。それだけでなく拳や手首の保護のためにジェル状の素材を採用したりと、今だに家内製手工業の雰囲気を持つボクシンググローブの世界ではハイテク風なのです。
近年ではUFCのオープンフィンガーグローブやアパレル全般も手がけていますから、紹介した2社よりも知名度では上といってよいかもしれません。
ギリギリで闘っている両者だからこそ
さて話を山中×ネリ戦のボクシンググローブに戻すと、山中選手は本番でレイジェス社のものが当然採用されると思い、それで練習を重ねてきましたといいます。しかし、直前になってのネリ側の難クセ、相当動揺したに違いないと思うのです。
そもそもボクシングは条件を可能な限りそろえた上で、お互いの技術を競うもののはず。だからこそ、使用しているボクシンググローブのメーカーの違いが勝敗を決定付ける要因になりかねないスリリングな競技なのです。
ただ……グローブの一件だけだったならば、それはよくある心理戦の一環。
例えドーピング疑惑があったとはいえ、中山選手に勝利したネリに対する風当たりが、ここまで厳しいものとなったとは考えられないのです。それよりも、何よりも大幅な体重オーバー……うん、やっぱり許せないですね。