トヨタ×ソフバン最強タッグ結成もブイブイ言わせるにはほど遠いワケ

  • 2018/10/10
  • ライフスタイル・娯楽
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  • のりき 夢丸
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年代ギャップが感じられる「ブイブイ」発言も

年代ギャップが感じられる「ブイブイ」発言も
これが日本における久々の「大型カップルの誕生」というわけか。

あの実業家でも、あの芸能人でもなく、この秋本当に皆をビックリさせたカップルは、トヨタ自動車&ソフトバンクという、ビッグすぎて何が何だかわからないメガカンパニー2社のタッグ結成だった。

記事によれば両者は、自動運転の分野などで新しいサービスを構築すべく提携すると発表、新会社名は「モネテクノロジーズ」。事業として当面は配車サービス等を手がけていくという。

ま、なにしろ後ろに控える背負ったものが大きすぎるお二人だから、会見場の彼らはいまだ「どこをどの辺まで突っ込んでいいものか」という探り合いをしている感じ。

あえて例えるなら、いまいちネタのすり合わせが済んでいない?漫才コンビのように初々しさばかりが目につき、特段のお土産ネタもなく、単なるお披露目式にしか見えなかった。

その後の東京モーターフェスでは「これで日本から未来をブイブイ言わせる」と孫氏がのたまったそうだ。
同席したマツコ・デラックスに「アハハ、孫さんってすごいね(いったいいつ時代の古い言葉使っとるんじゃ!)」と突っ込まれてもおかしくなかったほどのはしゃぎようなんである。

 

最強×最強だから期待大なのか

最強×最強だから期待大なのか
ご存じの通りトヨタもソフトバンクも日本有数の巨大企業で、その分野における影響力は世界においても並大抵のものではない。

ところが昨今、車を作っても作っても売り上げは頭打ち、通信網を引いても引いても同じく頭打ち、というわけで、一家を興した本業の雲行きが怪しくなってきた。

両社とも図体が大きいからこそ、その隙間をついた小サービスに発想が行き届かず、ニッチとバカにしていたそれらの妙案がいつしか次世代の本命となり、急いで各社周回遅れでこれに追いつこうとしている。

いや待て、トヨタはともかく少なくともソフバンはその先頭グループにいるんじゃないかという反論も確かにある。

しかし2016年に買収した英国・アーム社のお値段は約3兆円。
これが今後も業界トップを死守するために生まれた「必須コスト」であり、これを高いというならソフバンは「やっぱり無理して追いついた」と言うしかない。

よって日本では両社ともに最強クラスであっても、今回両社が目指す事業の分野においては、まだ大学生がガレージで開業した新規シェアアプリ会社と同じ立場でしかないのである。

 

最強×最強のシナジーはあるのか

最強×最強のシナジーはあるのか
成功する企業提携にひとつだけ必須なものがあるとすれば、それは「各自のないもの同士を補い合う間柄にあるかどうか」つまりどの程度のシナジーが生まれるのか、に尽きる。

とくに以前からライドシェアにより強い興味があったのは孫氏の方だというのは間違いない。
その分析力と先見の明で「日本市場もこのままではマズい」というアンテナが働いたのは当然だ。

しかし哀しいかな自社にはリアルのクルマというインフラがない。
さらに哀しいかなご自身には「一度トヨタとの提携を断られた」という苦い経緯まである。

トヨタはトヨタで「ひとりひとりの方にクルマを売るビジネス」への限界を感じ始めていた。
クルマをもっと社会で役立てられるサービスとはなにか。
その実需をくみ取り、いち早く対応するためのブレインは何か。

そう考えたとき、豊田氏の視線がソフトバンクに向いたのは必然(かつ今の時点では正しい)というしかない。

こう考えるとライドシェアサービスとは、巨大クルマ産業に専業一子会社があってやっとまわるレベルの大きなビジネス(人任せにしないなら)であり、私たちが(タクシーの未来形か?などと)思うほど簡単なものでないことがよくわかる。

 

よしんば日本で成功したとしても

よしんば日本で成功したとしても
提携はまだ始まったばかりで、モネテクの将来は決して順風満帆ではないだろうが、たとえ日本で少しばかり事業が成功したとしても、そのときにはもう世界シェアの9割が決まっていた、なんてことも十分考えられる。

またあまり国内規制が厳しいと「日本のライドシェアは結局ガラパゴス」と言われかねない危険もある。

いったい何を持ってこの提携の成功形とするか。
結果を求める厳しい経営者であるお二人だからこそ、その落としどころ、我慢のしどころが難しいと思うのだが…。

この記事の作者

のりき 夢丸
のりき 夢丸
馬と日本酒と時代劇をこよなく愛するフリーライター。 モットーは「人の行く裏に道あり花の山」。 最近はドローンに興味津々の毎日。 競馬血統ブログ「ほぼ毎週競馬ナビ」にて執筆中。
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