スマホ料金4割下げで一番損しちゃうのは意外にも○○!?
- 2018/08/31
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値下げして損するといえば普通はあの会社だが…
現在の通信業界には「競争原理」が働いておらず、スマホの料金はいまより4割安くできる、とのたまった官房長官。
その正しい根拠も後ろ盾も図りかねるが、これにビックリしたのが大手キャリアと呼ばれる通信3社。
株価も一斉に下落という反応を見せた。
料金の4割という下げ幅にも、また総務相でもない立場でこんな異例の発言をしたことには違和感しかないのだが、いずれにしろこれから行われる予定の審議会前に「ひとつ波紋を投げかけておくか」という一種のブラフだった気がする。
ところで大手キャリア3社に続き、来秋通信業に新規参入すると表明しているのが、ご存じ「楽天」である。
みなさんはもし楽天が新たなキャリアになったら、何か良いことがありそうだなと思いますか?
すでに楽天ポイントを利用したり、楽天カードマ〜ン!のお世話になっているなら、確かにメリットはあるんでしょうね。
ところが不思議なことに、もしスマホ料金を今より4割下げると一番困るのは、これから業界入りするはずの「楽天」だというのだ。
これはいったいどういうことなのか。
それはそれは困難なイバラの道が待っている
キャリアへの新規参入といえば、ソフトバンクが思い出されるかもしれないが、実はソフトバンクの場合は「ボーダフォン」という従来の通信基盤を買収する形でキャリア業界に殴り込んできた会社だ。
だからといって事業がはなから順調だったかと言えばウソで、そこからは基地局や通信網などのインフラをひたすら整備、整備、整備の連続。
それでも巻き起こる「遅い」「つながらない」「料金下げろ」などのユーザーの声に、孫氏自らが「やりましょう!」とつぶやくトップダウンの改革、いち早いiPhoneとの融合が功を奏して、今の地位を築いた。
ボーダフォンを買った直後はあまりの借金のデカさに「いつつぶれてもおかしくない」と言われ、急落した株価が600円近辺をさまよった時代もあったが、いつしか(公開直後には及ばないものの)1万円台まで回復。
現在は世界でもっとデカくて高価な買い物(英アーム社)をするなど、相変わらずの膨張ぶりである。
さしあたって今買えるような既存のキャリアが見当たらない楽天には、ソフトバンク以上のイバラの道が待っているといえそうだ。
楽天が損するって、どういうこと?
もしスマホ料金が今より4割下げられると、なぜ楽天は貧乏くじを引くことになるのだろうか。
実は今の料金体系横並びで事業を始めれば、新規の楽天サイドも値下げ策等である程度の「食い込み」は可能とみる専門家がいる。
ところがその前に各社料金下げ合戦が起こると、肝心の利益のほとんどが吹っ飛んでしまい、これがまだ体力のない楽天にとって一番キツい闘いになる。
現在の楽天の財務面がいくら健康的だとしても、膨大な赤字を何年も垂れ流すほどの余裕はない。
加えて入ってくるはずの頼みのキャッシュも見込めない。
となれば「キャリア早期撤退」あるいは「参入前の方向転換」最悪断念まであるのではないか、というのが専門家の見方だ。
そしてここが肝心なのだが、実は参入後に一番のライバルとなるはずの大手キャリア3社が「まったくもって楽天を軽視している」というのだ。
イジワルに言えば「お手並み拝見、どうぞご勝手に」といった感じで、とりつくしまもないらしい。
それもこれもキャリア業の厳しさ、必要十分条件を理解しているからこその「愛のムチ?」なのだろう。
そこまでして楽天が欲しがる「金の卵」とは
ソフトバンクに丸々1周遅れ(いや2周くらい?)の楽天が、そこまでして泥水をすすってでも欲しいもの、それはより正確なビッグデータの類いではないだろうか。
楽天が展開するショッピングや金融業でもビッグデータの流れはある程度つかめるが、やはり通信網を走る生の情報を追いかけられるソフトバンクの比ではない。
ましてやソフトバンクはついにそのIoTを統括する頭脳(アームのプロセッサ)まで手中に収めた。
同じフロンティア精神宿る三木谷氏の胸中に、一陣の風が吹いたとしても不思議ではない。
官房長官の「4割下げ発言」は、まだ現段階では実現性が薄い。
しかし「政策に売りなし」の格言もあるとおりで、十分気をつけないと、お上にたてついて成功した平成の名士は孫CEOくらいなものだから。
三木谷氏の手腕とキャリア参戦で、低迷する700円台の楽天株価を将来1万円にすることはできるのだろうか(できるなら今が買いだろうが)。