ニッポンの日曜午後6時半が大きく揺らいでいる
- 2018/02/07
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神格化された「あの枠」が崩壊するとき
ドラえもん、しんちゃん、コナン…いずれの時代の新しい挑戦者たちをも退け、日本のトップオブアニメの座に君臨し続ける番組といえば、そう「サザエさん」である。
いまだにアニメ部門の週間視聴率第1位を譲る気配はなく、あの報道番組よりも、あの話題のドラマよりも、そして日本で放送されるすべての音楽番組より視られているというお化けアニメ。
大いなるマンネリという言葉は、水戸黄門、笑っていいともなき後、これと笑点くらいしか使うことのできない、日本人の日常と化したテレビ番組である。
ところがいま、この神の領域が「小売りの黒船」によって駆逐されようとしている。
そして肝心の日本人側からも、この聖域を「内部崩壊」させる動きが出始めているのである。
よりによってAmazonへバトンタッチした意味
広告に携わったことのある者として、日曜午後6時半のTVCM枠がポッカリ空く、という事態は、担当者なら考えたくもない「恐怖」「ニッポン沈没状態」であったことは容易に想像がつく。
戦後日本を支えた製造業が「へそ」ともいえる時間のTVCM枠を買い占めていたのは、古き良き時代の名残。
サンヨーが去り、シャープが去り、そして松下電器(あえて古い社名で)が去り、今度は東芝が「へそ」を手放す番となったわけだ。
その開港(あえてみなとと表記)一番、浦賀に乗り付けたのが黒船Amazonである。
サザエさんとAmazon。Amazonとサザエさん。
全然しっくりこない。
だって少しでも忖度すれば、次週のアニメの内容にさえも口出ししてきそうな巨大戦艦のお出ましなんだぞ。
いきなり春からでも礒野家に「AmazonEcho」が出てきそうな怖さを感じる。がんばれ、ほかのCM企業!
ノリスケは本当に「クズ」なのか
一方、肝心のサザエさんのストーリー内容についても、最近一部からガヤガヤ文句が出ているようで。
いつの頃からか、アニメの登場人物にまで厳格な「勧善懲悪(かんぜんちょうあく)」が求められ、TVで悪い行為は絶対見せるな、オレと違う態度を取るアイツは腹立たしいとか、叫ぶ輩がいるそうで。
その時点ですでにアニメと同レベルで論じていると思うんですけど…。
これは実写でもよくある現象で、大河でいびり役を演じた役者が、ドラマ後も地方のお年寄りに罵声を浴びせられるという、あれと同じである。
ノリスケにしろ、大河俳優にしろ、同様の意見があるちびまる子ちゃんにしろ、他に得がたいハマり役でその役柄を超うまく演じただけのこと。いい台詞を褒める必要もないが、代わりにケチョンケチョンにけなされる道理もまた、ひとつもない。
日曜6時半を領空侵犯されると腹がスカスカする日本人
ともあれ、スポンサーも一新し、ストーリーも昭和の流行りごとからだんだん手が加わり、ある意味これで「新生サザエさん」が無事船出したと言えるのだろう(もう平成終わるけど)。
久しぶりに見ると、懐かしい既視感よりも、新手の技法が各所にちりばめられたサザエさんは、オヤジの目にはちょっと新鮮に映る。
でも新鮮だからこそ、まだ「新生サザエさん」はじっくり温まっておらず、日曜午後6時半に自分のお腹に据えようと思うと、なんか納まりきらない違和感を感じる。
そしてそのまま30分が経過してしまうと「今夜はパンツはいてない感」が湧き上がり、慌ててそのあとNHKニュースでお茶を濁すオヤジがここにいる。
日本の茶の間の日曜午後6時半にどっかりと「骨董品」サザエさんが座っていることは、それくらい大事だったのである。
「海外流出してはならない」貴重な骨董品枠だったからこそ、あのT院長はなんとかCM枠を買おうとしてくれたのかもしれない。
…せめて1枠くらい、買わせてあげたかったけど、それが難しい業界だってこともオジサンよくわかるのね…。