子供の英語は早いうちから始めた方がイイって本当?ベストな学習タイミングとは
- 2018/04/01
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2020年、東京五輪以降、小学校の教育方針が大幅に改定される見通しで、その中でも注目となっているのが、英語教育の義務化だ。
小学校中学年から歌やゲームを通じ英語に親しみ、高学年で聞くといった会話に慣れ、
中学の読み書きに繋げるというもので、各学校の任意で’18年から導入可能。
授業の目安は週一回と、義務化に乗り出す割には、家庭科や道徳が義務化された時ぐらいお粗末な扱いだ。
親たちは、躍起になり祖父母に教育費をせがんでまで、就学前の子供たちをキッズイングリッシュに通わせている。
キッズイングリッシュ講師たちは、成功例を挙げ、毎年生徒の勧誘に必死だ。
某英会話学校に通い、キッズイングリッシュ講師の資格も持つが、あえて開校しない筆者が、ネイティブ講師や、人気講師の本音を聞きつつ、英語教育が100%早い方がいいのか、どうか、解き明かす。
語学ビジネス市場は億単位で拡大している
子供を対象としたビジネス市場は富裕層を中心に広がっている。
矢野経済研究所(東京都中野区)の『語学ビジネス市場に関する調査(’16年度)』によると、2~5歳までの未就学児を預かりながらオールイングリッシュで教育する『プリスクール』市場は、’15年は340億円。
こども英会話などキッズイングリッシュ市場は1010億円と、それぞれ前年の20億プラスの利益を上げているのだ。
講師たちは『言葉を吸収する力の強い幼少期~小学校低学年こそ英語を習わせるべき』というが、この法則、当てはまるか、オヤジたちは、過去に習った習い事を思い出して考えてほしい。
就学前に学校で体育の時間に25mは泳げるようになっておかないとねとスイミングに通わされた。
算数は社会人になっても必要だから勉強しないとね、と公文式、もしくは、そろばん教室に通わされた。だが続いていない。
これらの習い事に共通するのは、
1:学校の義務教育で子供が恥をかかない為に習う
2:出来る様になると、特技の1つになる
3:何等かの形で就職・就学の役に立つ
という親の目論見と、塾やスクールのキャッチコピーが一致しているのだ。
習う当本人のオヤジたちが、1~3までの目的をスクールで達成できたか?答えはNOだ。
中には塾やスクール通いがトラウマになる生徒もいるだろう。
事実、筆者の母親の友人の孫は、富裕層が通うプリスクールに通っているが、傍らから見ていてヒヤヒヤする。
同じプリスクールに通う女の子に一目ぼれして、それが彼のモチベーションとなっているのだから。
たかが幼稚園児と侮るなかれ。
英語が上達してるのではなく教室にいる女の子が居なくなったら、今までの親親族の苦労も水の泡という事もありえるのは、相手が子供だからだ。
では子供が世間の流れ、人間関係に左右されず語学学習のモチベーションを保つには、いつ、どこから始めれば良いのだろうか。
実は塾に通う子供だろうが、そうでない子供でも成績優秀な子供に共通する事がある。それは『勉強法』なのだ。
すべてに通じる勉強法・解決法を子供の時に身に着けること
嫌政治ドキュメンタリーの監修や、ゴア元副大統領の『不都合な真実』の翻訳で知られる同時通訳者・翻訳者の枝廣淳子(東大大学院・教育心理学)さんは、二人の娘さんに対し、とりたてた英語教育をしなかった。
長女は親と共に生後七か月で渡米し、三歳で帰国。その時は英語も流暢に話せていたというのに何故と思う人も多いだろう。
枝廣さんが、二人の娘さんに対し大事にしていた事は、『どんな事にも通用する、勉強法』だった。
学校から娘さんがテストを持って帰ってきて、点数が悪いと思った時は結果を見ないで、裏返してメモ用紙に使い、以下の手順で娘さんにテスト前後の勉強法を振り返らせていた。
1:Plan(計画)何を勉強したかったのか
2:Do(実行)どう勉強していたのか
3:Check(評価)その結果、どうだったのか
4:Act(改善)どうすればよくなるのか
子供がやった事、既に起こった事を親や塾講師目線で責めるのではなく、子供自身で振り返らせる事。
これを何事においても、幼稚園にあがる前からやらせておけば、何を学ぶにしても子供自身が、1~4の手順を踏んで習得する様になるのだ。
枝廣さん曰く、自分の子供が大人になる頃には、親も知らない技術や職種が出てきて当たり前という。
確かにオヤジ世代が子供の時には、SEという仕事は今程有名な仕事ではなかったし、小学校教育の義務化に、プログラミングが出てくるとは思わなかっただろう。
塾がどんな優れたメゾットをアピールしても、子供が『学びの基本』を親から教わっていないと、習った事は右から左へ流れて行ってしまう。
枝廣さんは娘さんに学びの基本を教え、自分も同時通訳者になる為に勉強する為、夜8時に娘さんと寝て夜中に起きて勉強と仕事をするという生活をこなした。
筆者自身、枝廣さんと同じ様な『全てに通じる気付き』の勉強法は、父親と通っていた公文式の先生から教わった。1の次は2という当たり前の事も判らない。
学習障害を疑われていてもおかしくなかった筆者が、小4せ微分積分が解ける様になったのは、よき教育者に恵まれたからだと思っている。
ちなみに枝廣さんが、英語を学び始めたのは29歳の時。夫の留学に付き添ってだ。
筆者が英語を学び始めたのは28の時。学生時代まで寝ていても、いつでも成績は90点以上だったが、英会話学校に通った時の入学テストの落ちっぷりは笑えなかった。
その時に、思い出したのが算数・数学を習得した時の全てに通じる学習法だった。
仕事の為に通ったのだからと腹をくくり猛勉強した事もあり、伸びたかもしれない。
語学学習で大事なのは、仕事など具体的かつ必要に迫られるという背水の陣に近いモチベーションだと思う。
語学ビジネスの『いいお客さん』と化している日本人
語学学校に通って思うのが、日本人は諸外国の人間からみれば悪い言い方だと『語学ビジネスのカモ』とと取られても仕方がない通い方・使い方をしている事だ。
筆者は英会話学校に通っているが、年間最低限のレッスン数で、以下の条件が揃った時だけ受講している。
1:時間
2:講師と生徒の質
3:集中力と、内容の良さ
特に重要視するのは2だ。
英会話学校では、TOEIC形式の簡易テストと、簡単な3分会話で生徒をレベル分けしているので、同じクラスに政治経済の議論が出来ないおばさんも入ってくる。
その手のおばさんは、会話の主導権を握る上、自分の事ばかり喋るのだ。これがいたってくだらない。
英会話学校の『いいお客さん』と化している最たるものが、年間100万以上の授業料を払い、現地の高校レベルの事を学ぶ為に、わざわざ大枚叩いて留学する専科生である。
ディベート力はなく、会話は旅行の話ばかり。
お前の旅行自慢を聞く為に授業料を払っているのではないと、フロントにクレームをつけた程だ。
ネイティブ講師にこっそり聞いてみた所、目的意識がはっきりしないまま語学学校に通う生徒は多いという。
これはキッズイングリッシュ市場にも同じ事が言えるだろう。
言語を通じた認知学の権威で、TOEFLやTOEICなど教育試験サービスにも精通している、明海外国語大教授・大津由紀雄氏は、英語や第二外国語を取得しただけで国際人になれたと勘違いする日本人に警告している。
帰国子女や『語学学校のお客さん』と化した生徒が、勘違いしているのは、英語が少し喋れる様になり、海外旅行に行けたり、外国人を観光案内出来る様になった結果、国際人の仲間入りをしたと思っている所だ。
大津氏にしても、枝廣さんにしても、英語が喋れる様になったとしても、母国語で他人の意見を聞ける人でない人や、他人の意見を聞いた上で、論議出来る人でなければ、真の国際人になっているとは言えないという。
これは子供をスイミングに通わせただけで、インターハイに出場できるだろうと勘違いしている親と同じ事だ。
親が自分の子供に出来る事は、プレゼン力に繋がる勉強法を幼少期から教える事。
語学学習を強制させるのでも、急ぐ必要もないと思う。