特別展「三国志」から得られることが多い!

  • 2019/05/17
  • ライフスタイル・娯楽
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「リアル三国志」がキーワードの特別展が開催

「リアル三国志」がキーワードの特別展が開催
日中文化交流協定締結40周年を記念して、特別展「三国志」が開催されます。会期と会場は、2019年7月9日から9月16日までが東京都の東京国立博物館平成館、2019年10月1日から2020年1月5日までが福岡県の九州国立博物館となっています。

「三国志」は、3世紀頃の中国で覇を競った魏(ぎ)・蜀(しょく)・呉(ご)の3つの国の興亡を中心に描いた古典作品。史実をベースにしているため、特別展「三国志」では「リアル三国志」をキーワードに三国志の時代の息吹が感じられる展示を行う予定です。
日本でも人気が高く、数年ごとにブームが巻き起こる三国志。近年では、2008年と2009年に公開された映画「レッドクリフ」での盛り上がりが記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
しかし全編を読破しようとすると、これがなかなかの長編。日本人にとって三国志の教科書といえる横山光輝版コミックスは、単行本で60巻にもなります。ブームに乗って興味を持っても、大人になってからだと少し手を出しづらいですよね。

そこで今回は、三国志がどんな内容なのかをわかりやすく簡単にご紹介します。一応ネタバレがあるので、結末を知りたくない方はご覧にならないようご注意ください。

 

最後に勝ったのはどの国?

注意喚起させていただいたところでいきなりネタバレですが、三国で最後に勝ったのはどの国でしょうか。実は魏・蜀・呉のどれでもありません。魏の家臣だった司馬一族が興した晋(しん)という国が最終的な勝者になります。三国はすべて敗者という、滅びの物語が三国志なのです。しかしそれぞれの国で魅力的な人物が活躍し、これが人気につながっています。

魏は曹操(そうそう)が基礎を築いて、後継者の曹丕(そうひ)が初代皇帝となった国です。曹操は国の運営に人材の充実を重視して多くの優れた家臣を集めたため、魏は三国で最も強い勢力でした。

蜀は劉備(りゅうび)が初代皇帝となった国です。劉備は日本でもよく知られる豪傑の関羽(かんう)・張飛(ちょうひ)とは義兄弟で、諸葛亮(しょかつりょう)を3度訪問する「三顧の礼」で軍師に迎えました。三国では最も弱い勢力のため、諸葛亮が提案した「天下三分の計」で魏と呉とのバランスを保ちながら生き残りをはかりました。

呉は孫堅(そんけん)とその長男・孫策(そんさく)が基礎を築いて、次男・孫権(そんけん)が初代皇帝となった国です。魏から国を守るため、蜀を利用して有利な状況に持ち込もうと駆け引きをします。
このように三国が牽制し合いながら勢力拡大を狙い、まず蜀が魏に降伏して滅びます。しかし魏は晋に帝位を譲って滅び、最終的に呉が晋に降伏して三国はすべて滅びます。

 

「歴史書」と「娯楽小説」で異なる人物や国の扱い

こうして見るとどの国も同等の重要性を持つ三国志ですが、主人公は誰なのでしょうか。一般的には劉備といわれますが、実は作品によって異なります。
というのも三国志には大きく分けて、「正史」と呼ばれる歴史書『三国志』(以降は正史)と、正史をベースに物語としての面白さを加えた娯楽小説『三国志演義』(以降は演義)の2種類があり、劉備が主人公なのは演義のほうなのです。正史は晋で書かれたため晋が帝位を継いだ魏を正統としていますが、あくまで歴史書である以上、特に主人公は定められていません。

「7分の事実に、3分の虚構」といわれる演義は、基本的に正史をなぞっていますが、張飛が正史よりも粗暴だったり、諸葛亮が超常的な力で風を操ったりと、ストーリーを盛り上げる脚色が随所にあります。同じ出来事でも正史と演義で異なるエピソードが語られていることも多いので、違いを比較すると楽しいですよ。
ここまでのご紹介で「やっぱり三国志を読んでみたい!」と思った方には、寺島優版コミックスをお勧めします。
演義をベースに横山光輝版の半分ほどのボリュームで重要なエピソードは押さえているので、初心者も手に取りやすい作品です。また、小中学生向けの青い鳥文庫から発行されている小沢章友版小説もわかりやすくまとまっていて読みやすいです。
子どもにプレゼントして、一緒に読むのもいいのではないでしょうか。

この記事の作者

八神千鈴
八神千鈴
編集プロダクション、出版社の編集者を経てフリーライター。現在は歴史系記事をメインに執筆。それ以前はアニメ、コスメ、エンタメ、占いなどのメディアに携わってきました。歴史はわかりづらいと思っている方にもわかりやすく、歴史のおもしろさをお伝えしたいです。
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