死んだら絶対お墓に入らないといけないわけではない

  • 2019/03/12
  • ライフスタイル・娯楽
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  • 八神千鈴
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現代日本人を悩ませるお墓問題

現代日本人を悩ませるお墓問題
少子化や未婚率の上昇で、お墓の管理を負担に思う人が増えています。子どもがいなければお墓を継ぐ人がいませんし、いてもひとりっこだと管理が重荷にならないか心配ですよね。地方から都市部に移った方の中には、地元で管理している親族が亡くなったらどうしようかと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

このような悩みを解決するため、近年は「墓じまい」に注目が集まっています。墓じまいとは、現在のお墓を撤去すること。お墓の中にある先祖のお骨は自分が管理できる近場のお墓や、お寺が管理してくれる永代供養墓に改葬することになります。
また特定の宗教を信じる人が少ない日本では、そもそも仏教の施設であるお寺のお墓に入る必要性を感じない人が増えています。仏教を信じている人にはありがたい仏教式のお葬式や供養なども、信者でなければ煩わしさや親族への負担の心配のほうが先に立ってしまいますよね。

現代日本では、人が亡くなると葬儀社に依頼して仏教式のお葬式をあげ、お寺のお墓に納骨することが一般的です。しかし、お墓に入る必要はないと考える人のニーズに応えた人生の幕引きも徐々に広がってきています。

 

お墓に入らない方法はもちろんある

お墓に入らない方法としてよく知られるのは「散骨」でしょう。散骨とは、故人を自然界に返す自然葬の一種。遺体を火葬したあとのお骨を粉末状にして、海や山などに撒く葬送です。お骨はすべて自然に返るので、お墓に入れるものは残りません。普段から海や山によく出かけるような、アウトドア好きの人たちに人気です。

「宇宙葬」という、散骨の発展形も登場しています。これは火葬したあとのお骨をカプセルなどに納めてロケットに乗せ、宇宙に打ち上げる葬送です。中には深宇宙探査機に搭載してもらって宇宙空間を旅し続けるというロマンあふれるプランもあります。

ただし、散骨すると故人に会えなくなって寂しいと感じる遺族もいます。その場合はダイヤモンド葬を考えてもいいかもしれません。これは、遺骨から抽出した炭素を圧縮して人工ダイヤモンドをつくる方法です。遺骨すべてからダイヤモンドを製作するので、お墓は不要です。
しかも亡くなった人の一部なのですから、究極の形見になりますね。

このほかの自然葬では、墓石ではなく樹木を墓標にする樹木葬にも人気が集まっています。
樹木葬はシンボルツリーの周囲に遺骨を埋葬する葬送様式で、穏やかな自然の中で眠れる点が魅力。永代供養が多い点からも、興味を持つ人が増えています。

 

お墓に入らないと決めたら気をつけたいこと

お墓に入らない方法を望んだときに注意したいのは、「無断でやってはいけない」ということです。宇宙葬やダイヤモンド葬を個人で勝手にやることは難しいですが、散骨や樹木葬はやろうとすればできてしまいますよね。

しかし勝手に遺骨を撒いたり埋めたりすると、たとえそれが故人の遺志であっても「死体等遺棄罪」と「墓地・埋葬に関する法律(墓埋法)」に触れる可能性があります。遺骨を勝手にばら撒くと遺棄とみなされて死体等遺棄罪に問われ、墓地以外の区域に遺骨を勝手に埋めると墓埋法に問われるのです。散骨の場合は許可されている区域かしっかり確認し、樹木葬の場合は墓地として認められた区域に埋めましょう。現在は自然葬をサポートしてくれる葬儀社も多くあります。

そしてなにより、生前から家族や親族と話し合って許可してもらうことが大切。
特に高齢者は、死んだらお墓に入るのが常識と思っている人がまだ大多数です。世間体が悪いと考える人もいるでしょう。妻や子どもはお墓がないと寂しいと言うかもしれません。
周囲を納得させられないまま亡くなったら、結局お墓に入ることになるでしょう。
自分らしい最期を迎えるためには、親しい人たちの理解が不可欠なのです。

この記事の作者

八神千鈴
八神千鈴
編集プロダクション、出版社の編集者を経てフリーライター。現在は歴史系記事をメインに執筆。それ以前はアニメ、コスメ、エンタメ、占いなどのメディアに携わってきました。歴史はわかりづらいと思っている方にもわかりやすく、歴史のおもしろさをお伝えしたいです。
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