いまさらながら40年もののF-4ファントムを使うニッポンの事情とは

  • 2017/10/29
  • ライフスタイル・娯楽
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相次ぐ自衛隊機の事故とF-4ファントム

このところ、陸海空の自衛隊機に異変が起きています。陸上自衛隊や海上自衛隊のヘリコプターに次いで、今度は航空自衛隊の戦闘機までもが事故を起こしてしまいました。滑走中に主脚が壊れて火災となったもので、搭乗員が無事だったのは不幸中の幸いでした。

事故があったのは、現在では主力の座から離れているF-4E改Jファントム戦闘機です。F-4EJとは、アメリカのF-4ファントムのE型を日本仕様にしたものです。基はアメリカ海軍の艦上戦闘機だったF-4戦闘機ですが、アメリカをはじめ各国空軍でも採用されています。

相次ぐ自衛隊機の事故とF-4ファントム

しかし、本家アメリカでは20年以上も前に完全に引退した機体です。日本では、現在でも登場から40年以上の機体が現役として使われています。もちろん、そのままでは何かと問題があるため、F-4EJ改として手を加えられてはいます。

しかし、現在の主力戦闘機であるF-15Jでさえ、古い機種と呼ばれている時代に、それでもF-4EJ改を使っている理由とはなんでしょうか。

その理由はいくつかありますが、引っかかるのはお金の問題です。長く防衛費1%枠という縛りがあった日本では、GNPの1%までしか国防予算をとれませんでした。この事情は現在も同様で、枠としてではないものの、GDPの1%程度に収まっています。

他にも予算が必要なことに加えて、国防にお金をかけることイコール「戦争する気だ!」と叫ぶ勢力の存在で、ずっと防衛費は抑えられたままです。名目上のランキングでは上位に存在する額ですが、軍人の給与が少ない諸外国と異なり、人件費関連が大きい日本では装備に回すお金が多いとはいえません。

人件費関連が大きい日本では装備に回すお金が多いとはいえない

騙し騙し使っているから疲弊する

ボロボロになるまで使いたいほど優秀な機種には違いないものの、本来ならとっくに退役している機体です。言い方は悪いですが、騙し騙し使っているのが本当のところだとすれば、機体も人員も疲弊しないほうがおかしいというもの。できるなら新しい戦闘機に変更したいところですが、たいして変わらない予算の中で、新しく高価な戦闘機を購入すれば、その負担の付け回しが他機種やメンテナンスなどにも及ぶわけです。ハッキリいって、このまま防衛費を抑えていると、国防はまずいことになります。これは、防衛費増に反対の立場の人にも理解できるはずです。

高い錬度と優秀な装備で、日本の自衛隊は世界でもトップクラスの強さを持つなどといわれていますが、いざというときに肝心の兵器が老朽化で壊れてしまったのでは話になりません。不安を煽るのではなく、物には限度があり、兵器にも寿命があるという事実です。

もっとも、F-4EJ改が古いのはともかく、他の事故機まで全部が古いわけではないじゃないかとの指摘もあるでしょう。しかも、陸海空と異なる3軍種で事故は起きています。それも、結局は現在の金欠防衛体制という大枠から来るものだと考えれば辻褄があいます。

騙し騙し使っているから疲弊する

自衛隊全体に、積もり積もった疲弊感が蔓延しているのではないかということです。もちろん、個々の隊員の疲労感や士気とは別の問題です。しかし、組織は総体として生き物でもあることは確かだといわれるように、自衛隊も例外ではないでしょう。

事故を受けて個別の事案の検証をするだけでなく、抜本的な見直しをすべきときかもしれません。そして、防衛費を増やすなら、財源の確保にも目をそむけてはいられないです。賛否どちらにせよ、覚悟が必要な時代となりました。

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