海上自衛隊の潜水艦が世界から恐れられるワケ
- 2017/10/20
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通常型潜水艦と原子力潜水艦の違いを理解しよう
専守防衛に特化した自衛隊の中でも、海上自衛隊が保有する潜水艦は、海外からも注目されています。攻撃目的ではないことからも、攻守両方に対して備える目的で作られておらず、防衛一筋に作られたからこそ特徴的な機体が造られています。
駆逐艦や巡洋艦とは異なり、正式な空母を持たない海上自衛隊では、潜水艦にも非核三原則の観点から原子力潜水艦を保有していません。代わりに通常型潜水艦の性能を設計と鍛造技術により高めているので、設計図だけがあっても同じ潜水艦は日本にしか作れないと言われています。潜水艦の動力として原子炉を搭載すると、燃料補給を考える必要が無くなるので、発電量が豊富で長距離を高速移動出来ます。原子力潜水艦は攻撃を主体として造られていますが、騒音が発生するのでステルス性能は低くなります。一方、通常型潜水艦は燃料補給のために巡航距離が少ない傾向にあります。静粛性に優れる代わりに燃料補給を行なう必要がある分だけカバー出来る海域が少ない訳です。
潜行能力は造船技術に支えられている
海上自衛隊が保有する潜水艦は全て通常型潜水艦ですが、そうりゅう型潜水艦はスターリング機関を持っているので、連続2週間の潜行が可能です。総排水量2950トンは、通常型潜水艦の中でも世界最大級となっており、独自の鍛造技術により騒音を極限まで抑えているので、過去の日米合同演習において潜行中に発見されたことがないほどです。
通常型潜水艦は、スクリューやエンジンから出る騒音を無くして静粛性を高めると発見が困難になるので、造船技術が高くなければ静粛性を維持出来ません。また、そうりゅう型潜水艦は深くまで潜れることが知られており、具体的な数値は公表されていないものの700m程度の深度で潜行したまま隠れることが出来ます。ロシアが中国向けに提供している潜水艦の潜行能力が300mであって、原子力潜水艦でも500mから600mという点からも技術力が窺えます。
魚雷性能が特異的なことはよく知られている
海外からも恐れられている海上自衛隊が持つ89式長魚雷は、世界で最も深い位置で発射出来る深々度魚雷として知られています。最大900mの深度に対応しているとも言われており、500m以上の深度に対応している魚雷は、日本のみが保有している状況です。
また、世界各国が使用している魚雷の射程距離は10km程度ですが、89式長魚雷は射程40km以上となっているので、海上自衛隊の潜水艦を発見出来たとしても、近づく間に89式長魚雷の射程に入ってしまい攻撃出来ません。ステルス性と静音性に加えて魚雷性能が高いので、海外の軍隊から見ると自衛隊の潜水艦は見つからずに移動出来て射程が長く外国の潜水艦では攻撃できない深度まで潜行出来る厄介な存在です。