領土問題と拷問が交錯するアメリカの闇「グァンタナモ収容所」とは?
- 2017/10/16
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グァンタナモ収容所とは一体どんな場所か?
テロリストが収容されているというアメリカ合衆国の強制収容所「グァンタナモ収容所」をご存知でしょうか。グァンタナモ収容所は、キューバにありながらアメリカが支配するという、複雑な領土問題を孕んでいます。さらには、テロ容疑にかけられて収容された人間に対して、何でもありの拷問が行われており、アメリカの法律もキューバの法律も適用されない、まさに治外法権の場所となっているのです。イラク戦争以降、テロリストやその被疑者を収容する目的で設立されました。
問題視されてきた収容所内での非人道的な拷問
9.11テロ以降、アメリカではテロ対策へ本格的に力を入れてきましたが、実はアメリカ国内にいるテロ容疑者から情報を聞き出そうとすると、法律上の様々な制約があり、制約に則って尋問を行っても、百戦錬磨のテロリストには並みの尋問では通用しません。
よく、映画などの描写では拷問などは散々行われているイメージがありますが、実際の尋問はそう簡単ではないため、アメリカの法律が適用されないこのグァンタナモ収容所へ送られるという訳です。収容所内で行われてきた拷問の内容はあまりにも凄惨で、少年兵も収容されていたと言われており、人道的な面で批判が集中しました。
また、戦争中の捕虜の扱いについて、人道的観点から捕虜への拷問をなくそうという趣旨が盛り込まれた「ジュネーブ条約」があり、条約の中には、敵性戦闘員、民間人、捕虜に関係なく、戦争中に捕獲した人物には公正な裁判を受ける機会が与えられなければならないという項目も盛り込まれています。
しかしアメリカ政府は「彼らは犯罪者であり、戦争中の捕虜ではないためジュネーブ条約を適用しない」という解釈で、公然とグァンタナモ収容所の存在を認めています。中で行われている拷問などの実態は、ドキュメンタリー映画「グアンタナモ、僕達が見た真実」でも詳細に描写されています。
なぜ敵対するキューバ領内に存在するのか
しかし、グァンタナモ収容所はなぜ敵対状態であるはずのキューバ領内に建てられているのでしょうか。キューバは、もともとスペインの植民地でしたが、1898年にアメリカとスペインの間に起きた「米西戦争」にアメリカが勝利したことにより、米国による支援のもとでキューバは独立しました。
しかし、それはただの傀儡政権で、キューバ内部では、あの有名な革命家「チェ・ゲバラ」や「カストロ議長」によるキューバ革命が成功し、社会主義政権が誕生しました。
当然、アメリカとは敵対状態に突入し、さらには社会主義国としてソ連もキューバを支援するに至り、当時アメリカとソ連は冷戦状態にありましたが、一気に緊張状態が高まり、あわや「第三次世界大戦」が勃発する可能性が急上昇しました。これがいわゆる「キューバ危機」と呼ばれるものです。その後も緊張状態は続き、最終的にはアメリカはキューバからグァンタナモ収容所の「永久租借権」を獲得しているため、撤退はしないと主張しています。
テロ対策という大義名分
世界のテロリストたちは、グァンタナモ収容所の存在に関して、アメリカに対して「非人道的だ」と批判をし、報復としてテロ活動を活性化させています。すると、アメリカは増々テロ容疑者に対してグァンタナモ収容所送りを続けることになり、テロ組織とアメリカが一歩も譲らない限り、このグァンタナモ収容所へ送られる人間が増えていくという悪循環を繰り返すことになります。
一体、いつまでこの悪循環は続くのでしょうか。