神武以来の天才は言葉も自在に操る
- 2017/07/16
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おつかれさま、ひふみん先生
引退後もなにかとお忙しそうな元棋士の加藤一二三氏。
本業の将棋はつつがなく「時の人」藤井聡太四段にバトンタッチし、自身は人生を謳歌することに決めたかのごとく、あちこちに露出が増えている。
そのなんともいえない風貌とマイペースぶりは、どう考えてもマスコミ受けする素質にあふれている。
むしろこれからがひふみん先生の最盛期となる可能性さえあるだろう。
一芸にとどまらない、その素質
オジサンが目を見張ったのは、テレビの中のひふみん先生ではない。
前述の藤井四段の連勝記録が途絶えたあと、先生の出したコメントが秀逸すぎると思ったのだ。
「人生も、将棋も、
勝負はつねに
負けた地点からはじまる。」
から始まるその一文は、簡潔で飾りはないが、希代の勝負師らしく隙がなく、人生の機微にあふれて、いかにもひとりの才ある若者を鼓舞しようとする気持ちにあふれた名文だったと思う。
18歳でA級に昇格するなど、神武以来の天才と謳われたひふみん先生の隠された才能の一端を、また垣間見ることができた。
この奥の深さこそ、先生が人を引きつけて放さない理由なのだろう。
そして、あの若者もなかなかの言葉を紡ぐ
さて大名人から将来をバトンタッチされた藤井四段だが、この人もまた「希有な言葉の紡ぎ手」として名を馳せようとしている。
「一言話せば、その人がわかる」というのは、あながち古い文句、誇張とは限らない。
言葉を正しく発する作業は、文章構成より数段難しい。
正しく発することが重要なのであって、正しくないまま発する人ならこの世にごまんといる。
彼もまた、あの歳にして「言語の蓄積」といおうか「知識の積み重ね」とでもいおうか、とにかく正しい鍛錬、訓練量が半端ない人だと見える。
あの世代の若者が少し異色な行動をしようものなら、たいてい「若さが出た」「青二才」などと叩かれるのがオチだろう。
しかしこと彼に関しては「いや、彼こそが正しいのでは」と周りに思わせる力を秘めている。
ああ、成長が楽しみだ。
これからも指針となるお言葉を
ともあれ、時代は確実に移り変わった。
全盛期の斜め45度オールバックで盤上をにらむ「風神雷神」のような大棋士はもう帰ってこない(元気だけど)。
しかし、だれも到達できない無人の荒野をひた走り、いまだ大地に風を起こす「異色の元名人」から、一時たりとも目が離せない。