法事のひと時に、室町時代のセクシー坊主を夢想する
- 2017/02/10
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浄土真宗、開祖は親鸞上人です
室町時代に活躍した、浄土真宗の第8代門首・蓮如は、教えを北陸や関東、東北と津々浦々に広めました。
そんな功績から「真宗中興の祖」と呼ばれ、今でも尊敬を集めています。
……とまあ、いきなり抹香臭い話で申し訳ないのですが、今回は仏教について少々。
ド田舎を布教拠点とした蓮如
蓮如の時代、浄土真宗はすっかり勢いを失っており、京都では比叡山の延暦寺などから迫害を加えられ、遠く北陸の地まで逃げざるを得なくなりました。
しょうがないので、蓮如は今の福井と石川の県境に位置する吉崎に布教拠点を構え、しばらく落ち着くことになります。
そこで蓮如が教えを説いたのは一般の農民、そんな連中が全国から押し寄せたので、吉崎の地は非常に栄えたというのです。
語彙がたった数100の人間に、何を説くのか?
なんといっても時代は鎌倉、満足に教育もされていない農民にどんな言葉で教えを説いたのか?
一説によると、当時の農民の語彙量はほんの数100だったというのです。
対して現代の平均的な語彙量は2万程度といいますから、人々の知能レベルは間違いなく低い。
そんな連中に何かを教えると想像するだけで、かなりの無力感に襲われるのですが、蓮如は寺内町ひとつ作ってしまうぐらいの人気を得たというのです。
一体どんな話をしていたのでしょうか?
新婚の娘をとりこにしたその手法とは?
布教手段として、現代にも伝わっているのは蓮如が門徒にあてた手紙「御文章」。
非常にわかりやすい言葉で、極楽往生の秘訣が書かれてあるという有難いものなのですが、それだけで蓮如が人気を得たとは思えない。
だって農家に嫁いだ新妻が、毎日仕事もせずに蓮如の説法を聞きにいっていたという伝承が、今でも吉崎の地に残っているというぐらいなのですから相当な人気、手紙だけでは無理でしょう。
いつ戦乱に巻き込まれ、明日命を落としてもおかしくないという時代背景、極楽往生を遂げる方法という魅力的な説法の内容、この2つが単に合わさっただけでもおそらく無理。
だって新婚の娘が、蓮如に夢中になってしまうんですよ。
セクシー坊主から学ぶ、コミュニケーションの方法
恐らく、蓮如という人は恐ろしく男前だったのではないか?
念仏や説法の声も、とてつもなくセクシーだったのではないか?
恐らく現代で言うところのアイドルやロックスター的な存在だったのではないか?
……先日、法事があり、読経の時間余りにもヒマだったのでそんなことを考えていました。
このことから得られる教訓が2、3。
人に物を伝えるときには可能な限り「好感をもたれる姿格好」で、「わかりやすい言葉」を用いて語り掛けなくてはならない。
好感をもたれる姿格好というのは、ファッションに気を使うということですし、わかりやすい言葉ということは、相手の言葉で話すということ。
伝えることを噛み砕き、相手の言葉に翻訳しなければならないということです。
煩悩から開放されるのはいつの日か
文化の中心である京都から流れてきた当時の知識階級というだけで、非常に限られた人間関係の中で生活していた当時の庶民を惹き付ける魅力はあったでしょう。
加えて、話している内容といえば一度念仏を唱えさえすれば、阿弥陀如来が極楽での転生を保証してくれるという、非常にお気軽かつ強力な教義。
そして、姿格好がセクシーとくればたまらないはず、そりゃ若い娘も夢中になるわ。
それが尼さんだった日には、ええ、オヤジのおいらも夢中になっちゃうよ!!
そんな私は今日も煩悩に悩まされているのです。