演歌の人気が根強い理由を歴史と共に紐解いてみた

  • 2019/03/16
  • ライフスタイル・娯楽
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まだまだファンが多い「演歌」

まだまだファンが多い「演歌」
平成に入ってからはJ-POPの勢いもあって、低迷の一途をたどっている―――とは言うものの、「NHK歌謡コンサート」「年忘れにっぽんの歌」「紅白歌合戦」など、演歌歌手を大切にしているテレビ番組も少なくありません。

「演歌がまだ人気なのは、高齢社会だからでしょ」と言ってしまえばそれまでですが、昔のファンが離れないことや、新しいファンを獲得し続けていることを考えると、演歌はやっぱり“強い”です。

音楽の多様化が進む昨今も、特別な存在感を維持し続けている演歌の魅力とは、一体何なのでしょうか?
演歌の歴史を紐解きながら、その秘密に迫りたいと思います。

 

演歌が若者にウケていた時代があった!

後に宇多田ヒカルの母となる藤圭子が流行した1970年ごろに、演歌の知名度が一気に向上し、若者の人気までも獲得しました。
藤圭子は1969年にデビューし、キャッチコピーは「演歌の星を背負った宿命の少女」。
ハスキーな歌声と影のある楽曲が見事にマッチしていて、可憐なヴィジュアルとのギャップに驚かされた人も多いでしょう。
藤圭子が一大ブームを巻き起こしたことで、若者向けの雑誌でも演歌歌手がピックアップされることが増えました。
演歌が流行した影響は国内の音楽シーン全体にも波及し、青春歌謡系の歌手が演歌調の曲をリリースしたこともあったほどです。

 

演歌といえば「カラオケ」

演歌の発展を語る上で外せないのが、カラオケの存在!
カラオケが登場したのは、石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」や、都はるみの「北の宿から」など、北国の雪景色を歌う演歌が流行っていた1977年のことです。
カラオケがある場所といえば今はカラオケボックスですが、この頃は夜の盛り場がメイン。
カラオケ酒場を中心とした「演歌復興」の動きもあり、渥美二郎の「夢追い酒」や、小林幸子の「おもいで酒」など、“酒”を歌う名曲が数多く誕生しました。

お酒の他は、藤圭子の「新宿の女」や細川たかしの「北酒場」のような、“水商売の女性がお客さんに恋をする”という歌詞も人気がありました。
今でもスナックで歌えば盛り上がる名曲ですね。

 

ファン層を広げた80年代

演歌が「カラオケで歌う歌」となったことで、似たような曲が連発された時代もありました。
この状況を打破したのが、1986年に発表された石川さゆりの「天城越え」!
天城越えのコンセプトは“素人には歌えない難しい歌”。
カラオケ教室の流行も手伝って、夜の盛り場とは無縁だった主婦層にも支持されるようになりました。

そして、演歌が取り扱うテーマにも変化が。
演歌のファン層が広がったことで、川中美幸の「ふたり酒」や三船和子の「だんな様」といった“夫婦”を歌う演歌が増えていったのです。
こうしたファン層の変化が演歌の急激な低迷を食い止め、今日の発展にもつながったのでしょう。

 

そして現在

2019年3月1日の演歌カラオケランキング(JOYSOUND調べ)の第1位は、なんと「天城越え」!
“素人には歌えない難しい歌”がコンセプトだった演歌が、今も愛され続けています。
歌いやすい演歌もいいけれど、難易度が高いほどうまく歌えたときの充実感は格別ですからね。

ちなみに2位は石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」、
3位はテレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」
4位はテレサ・テンの「つぐない」
5位は吉幾三の「酒よ」。
演歌には興味がない若い人も、これらの曲はなんとなく口ずさめるという人も多いのでは。

 

演歌がなくならない理由を考えてみた

演歌の全盛期を知っている人は、今後ますます減っていくでしょう。
ですが、演歌が持つ独自の情緒や哀愁、様式美、カラオケで歌いたくなるようなテーマやわかりやすく覚えやすいメロディーは、不変の魅力。
そんな演歌を面白くないと感じる人もいますが、一方で演歌の虜になる若い人もいますし、若手の演歌歌手も次々に登場しています。
今後も、演歌から国民的名曲が生まれることに期待したいと思います!

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