大河ドラマでまだ演じられていない重要な偉人ってだれだ?
- 2019/01/14
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19年は久しぶりの近代劇「いだてん」
年の瀬を駆け抜けた「西郷どん」ラストの余韻も覚めやらぬうちに、今年は33年ぶりの戦後を舞台とした大河ドラマ「いだてん」がスタートする。
脚本・クドカン、主演・六代目中村勘九郎&阿部サダヲなので、どういう味付けになるかはなんとなくわかる(朝ドラ風)気がするが、まあクドカンは原作なしのオリジナル脚本の方が作っていて生き生きするだろうから、ひとつお手並み拝見と行こうではないか。
実は直近の大河ドラマ「いだてん」までの10年分で、すでに原作があったものは、前回の「西郷どん」(林真理子)と11年の「江〜姫たちの戦国」(田渕久美子)の2回しかなく、あとはすべてオリジナル脚本。
これだけ最近オリジナル色が強いということは、これからの大河には今まで埋もれていた地域の偉人等がポッと出てきてもおかしくない土壌があるわけだが…。
まだ大河に出ていないものの、今の日本人が知っておくべき功績を挙げた偉人さんとは、はたしてどなたのことだろうか。
圧倒的に多かった戦国舞台はもはや飽和状態
過去大河ドラマとして最も盛り上がった戦国〜江戸時代は、素材の宝庫に見えながら複数回ご登場の殿様も多く、さすがに織田、豊臣、徳川の流れは今後少しずつ減るのではないかと思われる。
(といいながら、20年は明智光秀www)
そこで某国営放送サンも少しずつ設定を前後左右にシフトし始めている。
時代が平安や幕末に移るだけでなく、主人公も姫や娘といった女性、一国一城の主よりはその軍師や尖った強者など、より細部に光を当てようとしている。(光秀もその線かな)
ただし、やはりそこには「戦の中で光明を見出す」という舞台が多く、歴代の中でも争わずしてシナリオを進めたまれな大河の例は
・67年「三姉妹」
・78年「黄金の日日」
・84年「山河燃ゆ」
・85年「春の波濤」
・86年「いのち」
…
などにとどまる(80年代の3回連続はどうしたんだろう?)。
これをふまえると、今年の「いだてん」は近代劇でありかつ戦のないシナリオであることが大注目点で、これがある程度受け入れられるようなら、今後大河シナリオの選択肢はグッと広がるだろう。
そして新時代の大河主人公候補も、この線で探せばけっこう出てくるのではないかと思うのである。
ノーベル賞選考の方向性でみてみると
昨年ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑先生のキャリアを拝見すると、ノーベル賞は原則過去の業績に対して評価されるものの、それが現代にまでどのような功績を挙げているか、どう発展しているかがより重要らしいということがわかる。
その意味でいくと、大河ドラマも「過去に挙げたその業績が現代になっても広い意味で私たちの生活に貢献している」という人物がいれば主人公採択の可能性が高まると言えないだろうか。
となると、勢い平安時代の人物というわけにはいかず、さりとて現代劇は「まんぷく」あたりに任せておけばいいし(なかなかラーメン作りませんな)…はたしてそんな都合のよい方がいるのだろうか。
いたぞ!昨年没後200年を迎えたあの方が
そこで伺うが、みなさんは「伊能忠敬(いのうただたか)」という方をご存じだろうか。
今から270年ほど前、千葉に生まれた忠敬は、商人でありながら齢五十をすぎて天文学や測量の勉強をし、そこからなんと17年という歳月を費やして全国を歩きながら正確な日本地図を完成させた人物。
その地図の正確さは当時としては画期的で、あのシーボルトがこっそり本国へ持ち帰ろうとした事件まで起きたいわくつき。
しかしこの事件がかえって忠敬の功績を世界に知らしめることとなり、初めて日本を測った男、などと呼ばれるようになった。
伊能忠敬の評価についてはその時代ごとに大きく変わり、一時は「偉いと決めてかかるな」という風潮もあったそうだが、カーナビが普及し、気象・軍事衛星が飛び交う現代を迎え、改めて「正確な地図こそ財産」という概念を日本人に植え付けた忠敬にもっとスポットが当たってもいいと思うのだが。
実は自分は一度以前に「伊能忠敬〜子午線の夢〜」という映画を見ている。忠敬は亡くなった加藤剛さんが演じ、それは見事なはまり役だった。
測量の厳しさ、道中のとんでもない障壁を乗り越えていく真摯な姿だけでなく、人知れずある女性と愛を育み、泣く泣く別れるといったドラマ性も加えられ、とても清々しい仕上がりだった。
国営放送の大河ドラマ採択は偉人の郷土での盛り上がり機運もけっこう重要と聞くので、その点忠敬は不利なのかもしれない。
だが樺太探検の間宮林蔵や南極探検の白瀬中尉ともども、日本という国のアイデンティティーを外から確立した開拓者たちにもそろそろ光が当たっていい頃だろう。