中古車にまつわる怪談の(一部は)大嘘である理由
- 2018/08/10
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中古車にまつわる、定番の怪談とは?
これだけ暑い日々が続くと、何とか涼しくなれる方法はないか? と考えるもので、そんな場合に思い出すのが怖い話。夏季キャンプで年上の子が披露した怪談で、子どものころの私・アントニオ犬助は心底肝を冷やしてしまい、夜中にトイレへといけなくなったりしたものでした。
しかし、大人になると心が薄汚れてしまったせいか、怪談でぞっとする経験などめっきりなくなってしまうもの。怪談の裏に潜んだウソにも、気付いてしまうものですし。
例えば、次のような怪談。
中央分離帯に激突した車に乗っていた男性が死亡。その車は中古車業者によって修理された後に、店頭で販売されたのですが購入者は原因不明の病気で亡くなることになる。その後、車の持ち主が変わるたびに、なぜか持ち主は不幸に見舞われ……今、あなたが乗っている中古車も、そんな経緯で手放された一台かも知れません。
運転手が死亡したような車は直すことができない
さて、この怪談には明らかにおかしなところがあります。
それは、運転者が死亡するような事故を起こした車を修理には、非常にコストがかかるという点。この手の話には「事故を起こした車は人気車種だったことに加えて、格安で販売されていたので、すぐに売れた」などというオプションが付いていたりするのですが、そんな大事故を起こしたような車を修理していては、格安販売することなどできないものなのです。
それは大昔の車ならばいざしらず、今の車は安全性が非常に高いから。
特にフレームと呼ばれる、車の骨格に当たる部分の強度の向上はめざましく、大抵の事故ならば搭乗者が命を落とすということはありません。
にも関わらず、運転者が亡くなったということはバンパーはもちろん、ラジエターやエンジンなど内部機構、フレームまですべてダメになってしまった状態。それを補修するには、新車を一台購入できるぐらいのコストがかかります。そんな車を直してまで販売するメリットがあるか? というと、絶対にない。
ウソだとわかる怪談に、ゾッとすることなどできませんよね。
人身事故や練炭自殺の痕跡は残らない
ただ……例えば人身事故を起こしてしまったという車両。
夜道などで人をはねてしまったというケースなら、車に残るダメージはわずか。バンパーを修理する程度で痕跡は消えてしまいますから、そんな車は中古車市場に流れてしまうかもしれません。
そして、車内で何かが起きてしまったという車両。
世をはかなんで、練炭自殺をしてしまったというケースなら、車内に充満するのは一酸化炭素だけ。発見が早ければ死臭が残るということもありませんから、何食わぬ顔で中古車市場に流されることも。
これらのケースでは購入者はもちろん、販売している中古車店もそのことに気付くことはないでしょう。
走行距離が怪しい車は疑ってかかる?
「なんとなく気持ち悪いから、そんなワケアリの車を見分ける方法はないの?」
私・アントニオ犬助は車業界の端くれにいたことがありますから、そんなことをたずねられたりするのです。
そして考えたところ、練炭自殺は難しそうだけれど、人身事故の場合ならばヒントぐらいは見つかるかも? という結論にいたりました。
というのは、人身事故を起こした車は警察に押収されるから。
返還されるまでの期間は、最低でも裁判が終わる半年間、場合によっては数年間。その間は走行することはありませんから、非常に走行距離が短い中古車ができあがる。年式の割に走行距離が短すぎる、例えば初年度登録より3年もたっているのに、走行距離が数100km。こんな車は怪しく感じる、例えば購入して間もなくのころに人身事故を起こして、1年間ほど警察に押収されていたのではないか? そして返却された車を売却したのではないか? という、想像ができるのです。
ただし、そんな車ですら一旦中古車市場に流れてしまったら、全く他の車とは区別はつかないもの。単に年式の割に走行距離が少ない車として売買されている、これはどうしようもありません。
中古車を購入するということは、そんな危険性も潜んでいるもの。それを含んだ上で、納得した上で、中古車を楽しまなければいけないということです。まあ価格が安い分、どんなものでも何らかのワケはあるもの。ワケがなくてただ安いというものなど、世の中にはないもの……あなたが乗っている中古車、ひょっとして……。