最後の国産RR、スバル・サンバーを追悼する

  • 2017/10/04
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終わりのないFR・FF論争

終わりのないFR・FF論争

「やっぱり基本はFRだろ?」とか「FFの効率的なパッケージングが理解できないとは!」とか。
FRとFF、どちらが優れているかというかという議論は、クルマ好きの間でよくおこなわれるもの。
FRとは「フロントエンジン・リアドライブ」の略。大量生産された最初の自動車フォード「タイプT」から連綿と続くエンジンレイアウトであり駆動方法。
一方、FFとは「フロントエンジン・フロントドライブ」の略。一般的になったのは、BMCが手がけていた初代「ミニ」から。稀代のエンジニア、アレック・イシゴニス氏が発案したものです。

まあ、FR・FFの論争については「場合による」の一言で片付くもの。
それぞれのメリットを簡単に述べておくと……。
FRについては、前輪は操舵・後輪は駆動と独立させたことによる重量バランスの良さ。FFのメリットは、動作部を全て前方にまとめてしまったことによるコンパクトさ、この様にいうことができるでしょう。
その後パワーステアリングなど技術が進歩したり、パーツの形状が変化したりして、それぞれのメリットは薄れつつはあるのです。しかし、走りを重視する高級車やスポーツカーはFR、室内スペースを重視するコンパクトカーやミニバンはFFという傾向は変わりません。

 

あれ?もう一つ忘れてはいませんか?

「RR」、リアエンジン・リアドライブ

「なるほどねえ、何事も一長一短あるやねぇ……」と、したり顔をしているあなた!! そんなあなたは重要な何かを忘れていませんか? そうです「RR」、リアエンジン・リアドライブです。

後部にエンジンと駆動をまとめてしまう、このレイアウトは大天才、フェルディナント・ポルシェ博士によって考案・実用化されました。この方式には様々なメリットがあります。

まずFF同様、駆動系がまとめられているので、室内スペースを広く取ることができるという点。次に、駆動と操舵が切り離されていますから、ハンドルが軽く操作がしやすい点も優れている、複雑な操舵機構が独立しているので整備性でもメリットがあるのです。そして、駆動輪の上に重量物であるエンジンがくるので、動力を地面に伝えやすい点……RRのメリットは、まだまだあるのです。しかし、この辺にしておきましょうか。

 

なぜ、こんなにも優れたRRが廃れたのか?

こんなにも優れたRR、一時はたくさんの車種がこの方式を取り入れていました。
まずはF・ポルシェ博士が基本設計を手がけたフォルクス・ワーゲン「タイプⅠ」、ルノー「チンクチェント」、スバル「360」……しかし、時代が進むにつれてフロントブレーキやサスペンションが大型化、フロントに大きく開いているRRならではのスペースを効率的に使えなくなってきたことなどデメリットが目立つようになり、RRレイアウトの車種は少なくなっていき、今や絶滅の危機を迎えているのです。

 

サンバーにこそポルシェ博士の理想は宿るとか?

サンバーにこそポルシェ博士の理想は宿る

さて、日本でもRRレイアウトの車は絶滅してしまいましたが……少し前までは実際に生産もされていたのです。
その名はスバル「サンバー」、今やダイハツ「ハイゼット」のOEM、普通のFRの軽トラとなっていますが、これ以前。スバルが自社生産を手がけていた6代目までがRRのサンバー、最後の国産RRだったのです。

ワゴンタイプの「サンバーディアス」を所有していた友人いわく、機敏なハンドルのレスポンスと、アクセルを踏み込んだときの加速はRRならではとか。

そして、いつもいうことは「RR以外のポルシェはポルシェじゃねえよ。911こそがポルシェ博士の理想を今に伝える唯一のポルシェなんだよ!!」だったのですが……まあ、サンバーを所有しているだけで、そこまで熱くポルシェを語れるんだから911はよほど優れたクルマなんだろうということ。サンバー・オーナーの友人も犬助も、ポルシェ・911を所有はおろか、運転したことすらないのですが、そんな国産RRが失われてしまったのは、非常に残念なことだと思うのです。

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アントニオ犬助
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みんなに嫌われるジジイを目指して、日々精進中!!
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