世界で一番強いお酒って何だか知っていますか?その飲み方を紹介
- 2018/07/26
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醸造酒を蒸留することで、アルコール度数は高くなる
麦のジュースを発酵させるとビールになり、ぶどうジュースを発酵させるとワインになる。この様にして造られた酒を「醸造酒」と呼ぶのは御存知の通り。
しかし醸造酒はアルコールが弱い分、長期保管にも向かず、すぐに変質してしまいます。
そこで錬金術で用いられてきた蒸留なる手法を用いたのが「蒸留酒」。醸造酒を熱することで沸点の低いアルコールだけを気化させて取り出し、再び冷やすことでアルコール度数の高い液体を作るのです。
ビールを蒸留すればウイスキーになり、ワインを蒸留すればブランデーになる。
これをくり返すことにより、だんだんとアルコールの純度は高まっていく。
ウイスキーもブランデーも通常は2回蒸留をくり返してアルコール度数を50度程度まで高めます。
しかし、それは樽で保管・熟成されるまで。
出荷される際にはウイスキーもブランデーも水を加えて40度ぐらいまでに抑えるもの。
では加水されていないものはどんな味がするのか? 興味があるならば「樽出し原酒」「フロム・ザ・バレル」という名称のものを、ストレートで試してみてください。酒の魅力を台無しにしかねないアルコールの強さに、思わず顔をしかめてしまうことでしょう。
地上最強の酒「スピリタス」、まずはショットで
つまり蒸留を延々とくり返せばアルコール度数は上がっていきますし、どんどんと保存性も上がっていくのです。これを極限までくり返すとどうなるか? ポーランドが誇る地上最強の蒸留酒「スピリタス(spirytus)」となるのです。
このスピリタス、原料は穀物とジャガイモといいますから、基本的にロシアを中心に飲まれている蒸留酒ウォッカと変わりません。ただスピリタスの蒸留回数は70回以上(!!)アルコール度数は実に95度といいますから、ウォッカとは格が違う。
テキーラ+炭酸で「ポン」とか、ビールをチェイサーにウイスキーを飲む「ボイラーメーカー」とか……私・アントニオ犬助が、そんな飲み方ばかりをしていたころ最終兵器として登場していたのがスピリタス。
冷凍庫から取り出されるボトルは冷霧をまとい、いかにも寒々とした雰囲気。
マスターの話によると、アルコール度数が高すぎて常温保管をしていると、すぐに気化してしまうとか。それをショットグラスに注ぎ一気に飲み干す……当然ながら、非常に利きます。
冷凍庫に保管されていましたからスピリタス自体は非常に冷たいのですが、のど越しはまさに炎。鼻に抜ける匂いは完全に消毒用アルコール。手に塗ってみると、あっという間に気化していきますから強い清涼感がある……何しろ、95度ですからしょうがありませんね。
パーティを終わらせる、最終兵器
そんなスピリタスが登場するのは、まさに酔っ払うのにも飽きたといったころ。飲ませすぎると店側にダメージが残りますから、供するマスターも決して悪ふざけで出したりはしないもの。
うっかりタバコを手にしたまま飲もうとすると「焼け死ぬぞ!!」と、一喝されたもの。
当時の犬助たちにとっては正に最終兵器、パーティを終わらせるための飲み物だったのです。
そんなスピリタスの正しい飲み方、といってもショットで飲んで意識を飛ばすだけだろ? と思ったら大間違い。単なるアルコールですから味などがないというのもスピリタスの特徴、ジャマになりませんからカクテルのベースに使ったりするというのが正しい使い方だと、当時、マスターから聞かされた覚えがあります。
楽しむ余地などないストレートのスピリタス
では、本場ポーランドではどのように使われているか? というと、もっぱら果実酒や薬草酒を造るときのベースとして。
例えるなら、梅酒を造るときのホワイトリカーといった扱い……つまりスピリタスはそのまま飲んだり、カクテルのベースとして使ったりするものでもないということ。
昔の犬助たちのようにショットであおる様子を見たポーランド人はどう思うか? 「極東にはクレイジーな連中が住んでいる」と眉をひそめることでしょう。
まあスピリタスに限らず酔うことを目的に酒を飲んでいる=クレイジーな行為、大人になった犬助はそんな風に思うもの。酒は味わって、楽しんで飲まなければ!! もちろんストレートのスピリタスには楽しむ余地など、最初から用意されていないのですが。