LVMHのリキュール部門、次にブレイクするのは何か?
- 2017/02/26
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天下のLVMHですら、義務付けられる成長
フランスはパリに本拠地を持つLVMH、「モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン」。
数々のブランドを傘下に持つ巨大コングロマリット、同じくカルティエやジャガー・ルクルトらで構成される「リシュモン」とならぶブランド帝国なんていわれていますが、彼らもれっきとしたユーロネクスト上場企業。
上場企業である以上、不特定多数の株主たちの要求の通り、成長を続けなければなりません。
そうやって考えると一見優雅に見える、LVMHにしても一般企業と全く同じ。
大変そうだなあ、と思ったりするのです。
積極的なブランド買収がお決まりの手法です
さて、そんなLVMHの成長戦略の柱といえば積極的なブランドの買収。
ですが、当然ながら無計画に手頃なブランドを買い漁っているわけでありません。
買った以上は売上を伸ばさなくてはいけない。
どちらかと言うと、マニア好みの実用時計のブランドだったゼニスが、LVMHの傘下に入った途端に、見た目も派手なラグジュアリーウォッチを次々とリリースしたりするなど、……結果として、既存のファンからそっぽを向かれましたが……方向転換をさせたりと、まあ大変。
どんな企業でもありがちな苦労を、LVMHもやっているということですね。
実は、お酒も重要な収入の柱
さて、LVMHのLVはもはや説明不要だと思いますが、MHとは「モエ」と「ヘネシー」。
モエとはグループ内にあの高級シャンパン、ドン・ペリニヨンを持つ「モエ・エ・シャンドン」のことですし、「ヘネシー」とは長い歴史を持つ、高級ブランデーブランド。
このことでもわかる通り、LVMHが力を入れているのはバッグや宝石などのブランドだけではありません。
ワインやスピリッツも大いにグループの収益の柱となっています。
アードベッグ……聞いたことはありませんか?
「アードベッグ」、正露丸臭いと陰口を叩かれるスコットランドはアイラ島の蒸溜所。
かの有名なブレンデッドウイスキー、バランタインを構成するモルトの一つです。
創業は17世紀末とはいえど、順風満帆といえるような歴史があるわけではありません。
経営者は何度も変わるわ、操業中止の憂き目にもあうわでもう大変。
そして21世紀に入りLVMHが買収という運びになりました。
でも、考えてみてください、スコットランドの片田舎にある小さな蒸溜所ですよ。
日本で言うならば地酒を作り続けている酒蔵みたいなものです。
それがLVMHの資本が入った途端にボトルのデザインは垢抜けるわ、ラインナップは増えるわ、あっという間に街中のバーの棚に並ぶわで大ブレイクです。
シングルモルトブームの裏にヴィトンの影
まあ、昨今のシングルモルト流行りでアードベッグが果たした役割は大きいはず、LVMHの戦略が大成功したということです。
LVMHが傘下に納めたウイスキーのメジャーブランド、他にはジョニーウォーカーがあります。古くからのウイスキー好きによると、すっかり味が落ちたといわれるジョニーウォーカー。
しかし、不思議な事にアードベッグの味が落ちたという人はいません。
両者のブランド運営に差があるのかどうなのか……なのです。
もちろん、中国酒にも食指を伸ばしているのですが
他にもLVMHが抱えているスピリッツのブランドは多いのですが、面白いのが「ウェンジュン(文君)」なる中国の蒸留酒(白酒)も傘下に収めているという点。
ところが、こちらはLVMHお得意の広告の大量投入などの攻勢が見られません。
世界的ブランドにすべく温めているところなのか、それとも中国企業ならではの事情があるのか。
まあ、どのようにして中国酒を売り出していくのか興味深い所。
ウェンジュンの名前は覚えておいても良さそうです。