グッチの財布は、誰のためのものなのか?
- 2017/11/11
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ネット上をざわつかせたグッチのうちわ
「これは、ダサい!!」「この法外な値段は何、いったい誰が買うんだ?!」
今年の初めごろ、ある「うちわ」の話題でネット上がざわついていました。
うちわ、そう、夏場にパタパタと扇いで涼を取るうちわが、2万8,080円というとんでもない値段で販売されている。まあ、この道何10年という伝統工芸士が手がけたうちわだったなら、そしてそれに相応しいルックスならば、それほどざわついたりはしなかったはずなのです。
しかし、デザインはとんでもなくダサい。
表面にはカタカナ、それもいまどき誰も使わない丸ゴシック体で「グッチ」と大書、裏面にはふくろうのリアルな顔面がでかでかとプリントされているのです。
商品名は「オウル&グッチ・プリント・ペーパーファン」、グッチの2017年春夏コレクションの商品だったのです。
「高級ブランドのグッチは、うちわで何をやりたいんだ?!」
まあ、でもこれでざわついている人たちは、グッチの本領を知らないな……なんて、犬助はほくそ笑んでいたのです。いやいやグッチの他のコレクションも、うちわに負けないぐらい強烈ですよ。
試しに、グッチのHPで現在の2017年秋冬コレクションをチェックしてみるとよいでしょう。
春夏コレクションにあった、ふくろうに代わって、秋冬ではトラやヒョウが大活躍。ハチやUFOまでも乱舞する、恐ろしい世界が展開されているのです。
グッチのコレクションが理解できないのは当然のこと
なぜ、グッチはうちわやUFOのコレクションを発表してしまったのか?犬助には理解できません。
なぜ理解できないのか、それは犬助がファッションのことを勉強していないからではなく、グッチは始めから犬助の様な「普通のオヤジ」に向かってコレクションを発表していないから、普通のオヤジに理解してもらうことを狙ってモノ作りをしていないからです。
グッチがターゲットとしているのは、グッチ以外にどこにもない服を求めている層。
ユニクロで販売しているような服を求めて、グッチのブティックまで足を運ぶ人はいないのです。そして、うちわに3万円とか、UFOの巨大なアップリケがあしらわれたセーターに25万円とかを支払う財力を持っている層。
そんな人たちにだけ理解してもらえればいいから、グッチが想定している客層ではない犬助、そして多くのネット上でざわついていた人たちが全く理解できないのもしょうがないのです。
大勢から吸い上げた金をコレクションラインにぶっ込む方法
そこで心配になってくるのが、グッチの収益です。
大半の人が理解できない、グッチの強烈な服を求める富裕層だけをターゲットにして商売が成り立つのか?
はい、もちろん成り立ちません。これは、どんなブランドにしても同じです。
例えばルイ・ヴィトン、ブティックに並ぶ商品の3割程度を占めるコレクションライン、これも結構強烈なものが多いもの。そしてそれらが収益に占める割合は、たった1割でしかない……こんな話を聞いたことがあります。
収益の大部分を占めるのが、いわゆる定番商品たち。
定番商品が売れ続けて収益を出してくれるからこそ、ヴィトンもグッチも強烈なコレクションラインを発表しつつも収益を出し続けることができるのです。
ディスカウントストアにも並んでいるような、グッチの定番のレザーグッズの収益がグッチを支えている、そして、ふくろうのうちわや、UFOのセーターを製造する原資となっているのです。
その財布はいったい誰のためのもの?
グッチやヴィトンに限らずスーパーブランドは、大なり小なり同じような構造をとっていることでしょう。そして、ある車メーカーも同じ構造を取っているといいます。
それはフェラーリ、クルマを販売した収益の多くはF1へとつぎ込まれ「本業はF1、副業はクルマ販売」と揶揄される。誰かが必死の思いで購入した「GTC4」の収益は、F1のタイヤに化けていたりするのです。そんな様子は、大勢に財布を販売した収益を、コレクションラインへとつぎ込むスーパーブランドとそっくりではないですか?
まあ、それでブランドに関わっている人たち全てが幸せになっているようだから、問題はないのでしょうが……自分の購入した財布が、UFOのアップリケになっているという構造。一歩引いて考えてみると、非常に摩訶不思議な気分がしてくると思うのです。
いったい、グッチの財布って誰が誰のために購入したものでしょうか?