NYのスポーツ賭博合法化は東京五輪後?米全州でスポーツ賭博合法化へ
- 2019/02/08
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意外かもしれないが、NY州のスポーツ賭博は合法化されていない。
お隣のニュージャージー州では昨年に合法化された為、スポーツ賭博をやりたい人間は、スマホ片手に、ハドソン川を越えなくてはいけないのだ。
米国で合法化の通達が出された’18年現在、非合法スポーツ賭博市場は、年16兆4500億にのぼると言われている。
連邦法では、’92年に『プロフェッショナル&アマチュア・スポーツ保護法(PASPA)』が制定され、一部の州を除いて禁止されていた米のスポーツ賭博市場。
何故’18年5月に解禁通達が出て、各州が合法化に向けて準備に乗り出したのか。
ビジネスとして成功しなければ賭博が認められない
米国でスポーツ賭博が連邦法で違法と制定されたのは、’92年。
それまでにスポーツ賭博をビジネスとして成功させていたデラウェア州、モンタナ州、オレゴン州、ネバダ州以外は、合法化を認めていなかった。
これに対し、ニュージャージー州は長年、スポーツ賭博の解禁を連邦裁判所に求めていたが、’18年についに合法化に乗り出したのだった。
同州が訴訟に費やした金額は900万ドル(10億円)。
そこまでして新たなギャンブル市場を作る?とギャンブルに無縁の人間から見れば思うに違いない、そうなのだ。
トランプ大統領も、不動産王時代、同州アトランティックシティにホテルやカジノを所有していたが、経済難となっていた。
現役大統領が経済効果を期待しているというのも、合法化に向けた法律制定効果は大きいだろう。
事実、州の発表では、合法化し、制定した’18年6月から、10月までの4カ月の売上は膨れ上がった。
ワールドシリーズ、バスケットボール、フットボールとイベントやシリーズが重なり、290億円の売り上げとなった。
一方で、短期間でこれだけの売り上げがあがった背景には、NYでスポーツ賭博が合法化されていないからだという冷めた見解もある。
今は、ハドソン川超えをしてまで、スポーツギャンブルにやってくる人で、ニュージャージー州は賑わうが、NY州でスポーツ賭博が合法化されれば、経済効果が半減するだろうと言われているのだ。
だが、米国内ではスポーツ賭博合法化以上に危険視されている事がある、それは何か。
選手生命を奪いかねない賭博
米国内で、スポーツ賭博の合法化よりも、危険視されているのは、非合法スポーツ賭博、つまり闇賭博の存在だ。
今回の法律改定で、ネットを駆使した闇ブローカーや、賭博のグレーゾーンを今まで散々荒らしてきた業者について法律は一切触れていない。
今回の法改正を受けて、参入に真っ先に名乗りを入れたのが、存在そのものがスポーツ賭博になるかどうか、グレーゾーンとして長年疑問視されてきた、ファンタスティックスポーツ業界だ。
ファンタスティックスポーツについては、以前に記事に出ているので、そちらを参照にして貰うとして、業界を二分するドラフトキングスとファンデュエルは、今回のスポーツ賭博合法化について『米国人にとって合法化は朗報だ』としているが、それは彼らの儲けに繋がるという事ではないだろうか。
スポーツ賭博が合法化される流れは、日本に比べて遅れている米国だが、八百長を恐れての事とも取れる。
1919年に発生したワールドシリーズ八百長疑惑(ブラックソックス事件)や、1989年に史上最高の打者と言われたピート・ローズが永久追放になった事件は、賭博を知らない人でも知ってる人はいるだろう。
今回の合法化の裁判に敗訴したのは、全国学生スポーツ連盟(NCAA)だが、学生時代に選手が万が一スポーツ賭博に巻き込まれる事があれば、選手生命は一瞬のうちに吹き飛んでしまうのだ。
以後スポーツ賭博が全土で合法化されれば、大学スポーツ、格闘技、五輪選手ですら賭けの対象になりかねない。
これらの問題に対し、米国がどう対処していくかが、今後の課題ともいえる。
NYでのスポーツ賭博の合法化は、どうやら東京五輪の後になる見通しだ。