「安田さん」が解放されたシリアってどんな国?
- 2018/11/11
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ニュースでよく聞くシリアという国
シリアという国名はニュースでよく聞く国名のひとつといえるでしょう。最近では、長期にわたり拘束されていたフリージャーナリストの安田純平さんの件でも耳にしています。
安田さんといえば、2015年6月にシリアに密入国し、その後まもなく拘束されたと推測されていました。拘束したのはシリア武装といわれていますが、いまだにハッキリとした話はわからないようです。3年以上の期間を経て、先日解放されたことで、この問題はひとつの区切りがついたといえます。
この先、検証なども行われるのかもしれませんが、それはその筋の人たちに任せるとしましょう。
さて、名前は何度も聞くけれど、どんな国なのかよくわかっていないというオヤジも多そうなシリア。いったいどんな国なのでしょうか?
日本の外務省が表記する日本語でのシリアの正式名称は、「シリア・アラブ共和国」です。北をトルコ、東をイラク、南はヨルダン、西にレバノン、その南にイスラエルと国境を接しています。
シリアは1946年にフランスの委託統治領から独立した国家で、共和国と名がついているように、共和制をとる国家です。現在の国家元首はバッシャール・アル・アサド大統領で、3期目となっています。一院制の議会を持っており、議席数は250議席。日本の5分の1から6分の1の人口であることを考えれば、十分な議席数といえそうです。
ただし、事実上は現政権による一党独裁のような政治状況となっています。治安が安定しているとはいえない状況が続き、反政府武装勢力との衝突・2011年からの内戦状態などもあり、多くの犠牲者を出しています。
日本との関係では、1953年に国交を樹立しており、大使を交換する関係です。ただし、日本政府はシリア情勢の悪化を受けて、経済協力を中断しています。人道的性格のものなどは例外的に援助もあり得ます。
シリアの隣国関係
シリアでは、南西部で国境を接するイスラエルとの紛争が続いています。エジプトやサウジアラビアなども参加した第一次中東戦争をはじめ、第三次中東戦争、第四次中東戦争と三次にわたるイスラエルとの戦争を経験しており、和平交渉も進んでいない状況です。
イラクとの関係はよくなったり悪くなったりと流動的ですが、国交を維持しています。シリアのイラクとの関係で特筆すべき点といえば、数十万人ともいわれる難民が、シリアからイラクに流れていることです。
シリアの周辺国の中でも、トルコとは友好関係の深い間柄だったといえるでしょう。イスラエルとの対立にしても、成否は別にして、トルコが和平交渉の仲介に入ったりしています。ところが、情勢の悪化に伴いトルコとの関係も悪くなっており、シリアからは百万人単位で難民が流出している状況です。トルコは、反政府武装勢力への援助を行うに至っています。
また、シリアの人口約2200万人のうち、半数以上が国内避難民ともいわれており、周辺各国への難民流出の問題もあって、シリア情勢は極めて深刻な状況になっているといえます。
このような状況にあるシリアへの渡航は、外務省の安全情報でレベル4となっていることからも避けるべきものです。
レベル4とは、退避勧告に相当するものであり、滞在者は退避し、そうでない者は理由にかかわらず渡航しないレベルとなっています。ちなみに、シリア周辺ではイラクもレベル4の地域が多く、その他の地域や国においてもレベル3やレベル2という渡航を見合わせるべき状況です。
中東、とくにシリアへ用があるというオヤジはあまりいないでしょうが、もし、行くのであれば、それこそ「自己責任」という話になってしまうでしょう。
人の行動をとやかくいうことはできませんが、普通のオヤジはシリアへは行かない方がよいです。