伊銀・モンテパスキ国有化!金融危機の中、預金者が増えるバンカエチカって、どんな銀行?
- 2018/08/25
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EUの金融危機と、移民問題の打撃を受け、イタリアのメガバンクの一つ、モンテ・パスキは、54億ユーロ(約6900億円)の血税を投じて国有化される見通しとなった。
不良債権が4割を超え、引当金でカバーすることも不可能とみなされたのだから、バブル期の銀行神話じゃあるまいし、なぜそこまで放置しておいたのかという話である。
そんなイタリア国内で、規模は日本で言う所の大手信金か地銀並ながら、預金者を地道に増やし健全な経営を続けている銀行があるというのだ。
北部パドバに本部をおく『バンカ・エチカ(Banca Etica)』である。
倫理銀行という名前の通り、融資の対象は、社会や環境に良い影響を与える企業に限定。
公平で持続可能な社会つくりをモットーとしている。
はたしてこの様な企業ポリシーで、銀行業務が成り立つのだろうか。
バンカ・エチカって?
バンカ・エチカの創立は、1999年2月。
従業員5名で始めた人民銀行(Banca Popolare)も、今や従業員300人。
イタリアとスペインに20店舗構える小規模銀行だ。
名義上銀行と呼ばれているが、仕組みは、日本の信用金庫と地銀、協同組合の良い所取りになっている。
信金の組合員が、信金の営業区域に住んでいる個人および法人で、反社会的活動をしていない事が条件になっているのと同じ。
バンカ・エチカも、組合員は銀行の営業範囲内にある法人および個人を対象にし、組合費を集めている。
組合の審査は二か月かかり、組合員になると、預金の預け入れ、公共料金の引き落とし、クレカ決済、貸出、融資の申し込みが出来る。
預金のみ組合員でなくてもできる上、提携銀行と取引もできるが、それではバンカ・エチカに口座を作る意味はないだろう。
本店パドバの建物は、建材や通気に工夫し、電力も再生エネルギーを使う事で、地球にやさしいイメージを打ち出している。
その外観は、銀行というよりも、近代美術館や、図書館のそれに近い。
では、バンカ・エチカは、主にどの様な所に融資を行っているのだろうか。
企業の社会的側面を評価して融資
バンカ・エチカは、企業の資産よりも先に、社会的側面を判断して融資するのが特徴だ。
一般の銀行が、バランスシートを見て融資を渋る企業であったとしても、倫理的に良いと判断できる項目が多数見つかり、企業に将来性があると判断された場合は融資を行う。
そうやって、この銀行が集めた信頼は計り知れない。
’18年現在の法人の融資先は、4300社に上り、そのほとんどは斜頸活動を手掛けるNGO。
しかもバンカ・エチカが評価する『企業の社会的側面』は、会社の人事査定も青くなるほど細かいものだというのだ。
バンカ・エチカは、個人および法人が融資を申し込んできた場合、以下に該当するかどうか、融資の項目を振り分ける。
1:社会的協同(障碍者や難民を積極的に雇用するなど)
2:国際的協同(フェアトレードの農作物や洋服、化粧品材料の輸入、販売など)
3:環境(再生可能エネルギーの促進、バイオロジカル農業のサポートなど)
4:文化財保存(伝統文化の保護)
この4つの分野に、振り分けた後、さらに融資を申し込んできた会社の社会的側面を50の項目別に点数化して、採点し、最終的に融資するかどうか判断する。
それは表面上は社会、国際的協同をうたった企業ながら、フタをあければブラック企業であったり、武器密売を行ってたり、タックスヘブン(租税回避地)を使い税金をごまかしていないかどうか確かめるためなのだ。
無論、カジノ建設や、武器商人、暴力団や、ブラック企業の融資は断られるし、特需でタワマンを建てたいと融資を申し込んでも一蹴されるだろう。
大手銀行とは真逆の事をやって、なおかつ組合員の指示で融資の金が動くのだから、日本もあやかりたい。
が、そもそも、バンカ・エチカは、どういう成り立ちだったのだろうか。
協同組合から銀行へ
バンカ・エチカの母体となったのは、イタリアにあったMAGという協同組合だった。
MAGは組合員から資金を集め、それを社会的に良いことをするプロジェクトや組織に貸付を行っていたという。
日本でいえば、こども食堂を開きたいという人や、無料塾を開きたいという人に貸付を行うようなものだ。
’90年前半に法改正され、貸付業務は銀行でないとできなくなった為、MAGはクラウドファンディングで必要な資金650万ユーロを集め、銀行を開いたのが始まりだった。
いかがだろうか。
日本は、まだまだ社会的に良心的なNGOに融資が行われていないといってもいい。
その点でも小回りの利く小規模地銀、信金が彼らの力になるべきではないだろうか。