手荷物検査がCTスキャンになる時代が来る?で、何がどう変わるの?

  • 2018/08/02
  • ビジネス
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  • 沖倉 毅
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9.11の同時多発テロ以降、厳格化した空港での手荷物検査が、楽になるかもしれない。

NYのJFK国際空港を皮切りに、医療用CTスキャン技術を応用したX線検査装置マシンが空港の手荷物検査に試験導入されたからだ。

空港の保安検査場の渋滞は、誰もが嫌がる

試験導入の結果を重ね、データを出し、改良を重ねれば、日本でも、この技術が持ち込まれる日は近いかもしれない。

 

空港の保安検査場の渋滞は、誰もが嫌がる

タブレットやスマホ、Kindleなど、携帯電話より大きい電気機器はフタつきプラケースに入れなくてはいけない。
液体は全て、旅行用携帯化粧品と同じ様に詰め替えて、ジップロックに入れなければいけないという面倒くささだ。
ちょっとでも引っ掛かった時の、周囲からのあの白い視線に耐えられない。

これを解消してくれるだろうという期待がかかっているのが、CTスキャン手荷物検査マシンなのだ。

空港の保安検査場の渋滞は、誰もが嫌がる

マサチューセッツに本拠地を置く、医療向けCTスキャン製造メーカーのアナロジックは、その技術を保安検査用機器に応用。
患者の脳を3D断面診断する技術を応用し、コンピューター上でヴァーチャルに荷物を解き、それを3D再現。

空港の保安検査場の渋滞は、誰もが嫌がる

空港の保安検査員は、搭乗者の荷物を開ける事なく、3D画像を見て『中の荷物』を確認し、手荷物検査が完了となるマシンだ。

このマシン『ConneCT(コネクト)』と呼ばれており、米国では、アメリカン航空が、米運輸保安局(TSA)と連携し、8台いち早く導入して話題となった。

では、三番目の正直と言える試験導入先は、どこになったのだろうか。

 

精度が試される三番目の試験導入地

今回、三番目のCTスキャンマシンの導入が決まったのは、英ロンドン・ヒースロー空港。
JFK国際空港、アムステルダム・スキポール国際空港に続き、三番目の試験導入となる。

精度が試される三番目の試験導入地

このマシンの利点は、荷物を開けずに中身を3Dの画像でチェックできる所だ。

英運輸省は『時限爆弾や、その他の危険物の認識にも自動的に対応する』とし、CTスキャンマシン『ConneCT(コネクト)』を導入。
精度を高める事で、乗客の待ち時間を減らし、スムーズに搭乗して貰えるように心がけるとコメントしている。

空港のセキュリティを担当するセキュリティ会社・Aviation Security Internationalの会報編集部のPhilip Baumは『’06年から続いてきた、手荷物検査の煩らしさから逃れる一歩だね。』と述べているが果たしてそうだろうか。

英国では’05年7月に、地下鉄三か所および、一時間後にバスが吹っ飛び、52人が死亡した同時テロ事件が起こった。
これ以降、旅客機への手荷物や液体物の持ち込み規制が制定された。

これをさらに決定づけたのが、’06年に起きた英国発米国行きの旅客機7機に対する同時自爆テロ未遂事件。
テロを計画していた8人の中で、Abdulla Ahmed Ali、Assad Sarwar、Tanvir Hussainの3人の被告が有罪判決の終身刑となった。

この時に8人が、ヒースロー空港米国行きの便に液体爆発物の入ったボトルを持ち込み、自爆攻撃を計画してた事が発覚していた。

液体持ち込みの厳格化の発端となったのは英国と言っても過言ではない。
英国での試験導入の結果が、世界での試験導入に響くともいえる。

ではこのCTスキャンマシン、今後の課題となるのは、どんな所だろうか?

 

一番のネックになるのは、誤作動と価格?

もう一つ、一見万能に見えるこのCTスキャンマシンだが、そうでもない所があるという。

ハンディスキャナーでは、銃やナイフを見つけられたのに対し、このスキャンマシンでは分解してしまった銃を見つける事が出来ないのだ。
プラモデル状になった銃が大量に国内に持ち込まれてしまえばアウトという事になる。

一番のネックになるのは、誤作動と価格?

その上、間違ったものを認識し、警報が誤作動してしまう事もあるというのだ。
この辺りは、機械のアルゴリズムをきちんと組みなおす必要があり、試験導入できる空港を増やしてデーターを集めなければどうしようもないという。

そこで問題だが、この機械、いくらするのかというと、30万ドル(約3382万円)もする。
現在空港で使用されているX線装置の2倍の価格にビビってしり込みする国の方が多いだろう。

どんな人でも機械モノを買う時に、重視するのは、価格に見合う性能があるかどうかだ。
誤作動しないのは当たり前の話で、これだけ高額の機械ともなると、アフターサービスが万全である必要もある。

これらの問題を考えると、日本導入は狭き門になるかもしれない。

この記事の作者

沖倉 毅
沖倉 毅
ビジネスと国際関連をメインに執筆しています沖倉です。 転職経験と語学力を生かし、語学教師とフリーライターをしています。 趣味は定期的に記録会に出る水泳、3000本以上お蔵入り字幕なしも観た映画、ガラクタも集める時計、万年筆、車、ガーデニング、筋トレです。 どうすれば永遠の男前になれるかをテーマに、取材は匿名を条件に記事執筆に勤しみます。
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