脱「痛勤」!鉄道各社が力を入れる有料着席サービスが解決!
- 2019/05/19
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私鉄各社が有料着席サービスに力を入れている
働く者の宿命とはいえ、毎日毎日の朝夕のラッシュにはうんざりしてしまいますよね。特に首都圏での混雑具合は激しく、国土交通省が発表した2017年度のワースト1位である東京メトロ東西線(木場→門前仲町)は、混雑率199%という驚異的な数字を記録しました。
このようなラッシュ時の苦痛から解放される手段として近年注目されているのが、列車の有料着席サービスです。通常の乗車料金に500円程度の特急料金を追加することで座席が確保できるシステムで、列車によっては完売するほどの好評を博しています。
毎日利用するわけではなくても、確認したい資料があったり荷物が多かったりする出勤時や、体調が悪かったり飲み過ぎてしまったりした帰宅時に座席が確保できると安心ですよね。通勤の選択肢のひとつに入れておくと、いざという時に役立つでしょう。
特に沿線の不動産開発を行う私鉄各社は自社沿線のブランド力を高める目的もあって有料着席サービスに力を入れており、現在では首都圏の大手私鉄全社が有料着席サービスを導入しています。座席を確保できる列車があれば、「ベッドタウンから都心部までの快適な通勤が可能」という売りにできるわけですね。
首都圏で利用できる有料着席サービス
それでは、実際に有料着席サービスにはどのようなものがあるでしょうか。首都圏の主な列車には次のようなものがあります。(カッコ内)は特急料金です。(2019年4月30日現在)
・JR東日本「はちおうじ」東京←→八王子(750円、チケットレスサービス利用で100円引)
・小田急「モーニングウェイ」片瀬江ノ島→新宿/「ホームウェイ」新宿→片瀬江ノ島(いずれも300円から)
・小田急&東京メトロ「メトロモーニングウェイ」本厚木→北千住/「メトロホームウェイ」北千住→本厚木(いずれも300円から)
・京王「京王ライナー」新宿←→京王八王子・橋本(400円)
・西武「拝島ライナー」西武新宿→拝島(300円)
・東武「スカイツリーライナー」浅草←→春日部(410円から)
・京成「モーニングライナー」成田空港→京成上野/「イブニングライナー」京成上野→成田空港(いずれも410円)
・京急「モーニング・ウィング号」三浦海岸→泉岳寺/「ウィング号」品川→三崎口(いずれも300円)
・東急「Qシート」大井町→長津田(400円)
中には「拝島ライナー」や「Qシート」のように帰宅ラッシュ時のみの列車や、「モーニング・ウィング号」と「ウィング号」のように対の設定でも停車駅が微妙に異なる列車もあるので、利用前に確認するとよいでしょう。
2020年には東武スカイツリーラインと東京メトロ日比谷線相互直通列車での有料着席サービス開始も予定されており、今後も同様のサービスは拡大すると考えられます。
普通列車に影響はないの?
このような広がりを見せている有料着席サービスですが、普通列車の乗客にしわ寄せが回ってよけいにラッシュ時の混雑がひどくなるようにも感じますよね。
実は、有料着席サービスの列車はラッシュのピーク時には運行していません。というよりも、運行本数を増やす余裕がある時間帯に増発しているので、ギリギリまで本数を増やしているピーク時には有料着席サービスの列車を増やせないのが現状です。このため、ピーク時の普通列車がよけいに混雑する心配はありません。むしろ有料着席サービスの利用客が増えることで乗車時間が分散され、混雑が緩和される可能性もあるでしょう。
しかし有料着席サービスはあくまで「対症療法」で、根本的な混雑の解消にはつながりません。そもそも乗客が多すぎなければ、有料着席サービスは不要ですよね。慢性的なラッシュ時の混雑の原因は、大都市への極端な人口集中や多くの企業が同じ時刻に始業する社会全体の慣習などにあり、鉄道会社だけで解決できる問題ではありません。ひとりひとりが自分らしく働くために、これからの時代はより多様な働き方を認める社会に変わる必要があるでしょう。
ただし、2016年度に混雑率192%でワースト3位だった小田急小田原線(世田谷代田→下北沢)は、複々線化工事後の2017年度に混雑率151%まで改善し、41位にランクを下げました。このような混雑解消の取り組みは、鉄道各社に今後も続けてほしいですね。