悩めるオヤジをソムリエが救う!恥をかかないワイン選び【マナーの達人】

  • 2019/06/10
  • ビジネス
  • 420view
  • 杉浦 直樹【マナーの達人】
タグ

悩めるオヤジをソムリエが救う!恥をかかないワイン選び
今夜は狙った女の子とのファーストデート。

ネットで評判のフレンチを予約し、花束も用意した。完璧だ。

店に入って席に着くとソムリエが近づいてくる。
「ワインはいかがしましょうか」
「ワ、ワインですか・・・えーっと・・・、ね、ねえ、○○ちゃん確かワイン詳しかったよね。何がオススメ?」
ワイン選びで焦ったあげく、狙った女の子に助けを求めてしまうとは・・・。

ジ・エンド。この時点で大人のかっこいいオヤジというあなたの評価は崩壊しています。

とはいえ、普段飲み慣れないワインをスマートに選ぶのは難しいもの。

そこで今回は、元歌舞伎役者であり日本ソムリエ協会認定ソムリエでもある私が、「恥をかかないワイン選び」をお教えいたします。
これさえ読めばもうワイン選びは怖くありません。ぜひ最後までお付き合いください。

 

基本編

まずはソムリエを味方につける
悩めるオヤジをソムリエが救う!恥をかかないワイン選び
ワインを置いてあるお店にはワインの専門家であるソムリエか、ソムリエがいなくてもワインに詳しいスタッフがいるはずです。
まずはその人と仲良くなって、自分の味方にしてしまいましょう。

 

ソムリエはあなたの最強サポーター

ソムリエは合格率20%程度の難関試験を突破したワインの専門家です。

ワインの知識はもちろんのこと、食前酒などの他のお酒、料理とワインのマリアージュ(料理とワインの合わせ方のこと)のことなど、何でも丁寧に教えてくれます。

またソムリエは一流のサービスマンでもあります。

そのため「ワインに詳しくない貴方」が恥をかかないように、上手にワインを勧めてくれるのです。
そう、まるで貴方がワインに詳しいエキスパートであるがごとく。

そんなソムリエを味方にしない手はありません。是非とも仲良くなっておきましょう。

 

知ったかぶりは百害あって一利なし

ソムリエが一番嫌だと思うお客さまは「知ったかぶり」をする人です。

ワインの知識がほとんど無いのにもかかわらず、

「あの有名店で○○っていうワインを飲んだんだけど、ある?」
「やっぱりワインはボルドーに限るね」

といってしまうような人は、ほぼ確実に軽蔑され、良いサービスを受けることはできません。

ソムリエはそのお店にあるワインと料理を知り尽くしているわけですから、
「今日の料理に合うワインはどれでしょうか?」と素直に聞いて、
「あ、それは良いですね。それでお願いします」とオーダーするのがスマートなやり方です。

「辛口でスッキリしたワイン」は「何でもイイ」と同じ意味
「僕甘口のワイン苦手なんで、辛口でスッキリしたタイプをお願いします」という方がいます。

しかしここ20年ほどのワインの傾向として、赤も白もほとんどのものは「辛口でスッキリ」したタイプです。
デザートワインなどの例外はありますが、通常のお店に用意してあるワインはほぼ辛口スッキリタイプと思って間違いありません。

つまり「辛口でスッキリとしたワインをお願いします」というオーダーは、「何でもイイから持ってきて」といっているのと同じなのです。
一緒に行った彼女が少しでもワインを知っている方なら、この時点でため息連発状態となってしまいます。

 

迷ったら万能の「泡」

そうはいってもワインのことは分からないし・・・という貴方は、シャンパーニュをはじめとするスパークリングワインを注文しておきましょう。
まず恥をかくことはありません。

泡は食前酒からフルコースまでをカバーする
シャンパーニュなどのスパークリングワインは食前酒に飲まれることも多いですが、基本的に白ワインですから当然魚にも合いますし、強めの酸と炭酸が口の中の脂を流してスッキリとさせてくれるため、こってりとした肉料理にも相性が良いのです。

つまり、スパークリングワインは万能の一本。

オードブルからメインディッシュまでカバーしてくれるため、とりあえず「泡」を選んでおけば間違いはありません。

シャンパーニュというと通っぽい

スパークリングワインのことを「シャンパン」と呼ぶ方がいますが、これは間違いです。

シャンパンと呼ぶことができるのは、フランスのシャンパーニュ地方で伝統的な製法で作られたスパークリングワインだけ。
フランスでも他の地方で作られたスパークリングワインは「ヴァン・ムスー」「クレマン」と呼ばれ、シャンパンを名乗ることはできません。

ちなみにシャンパンではなく「シャンパーニュ」と呼べば、「あ、この人ワインのこと分かってるな」と通っぽく見てもらえます。

スペインならカヴァ、イタリアならスプマンテ
シャンパーニュは世界一おいしい万能の「泡」ですが、値段が高めという欠点があります。

そこであまり予算がないときは、スペインバルなどではスペインのスパークリングワインの「カヴァ」を、イタリアンではイタリアのスパークリングワインの「スプマンテ」をオーダーしましょう。

どちらもシャンパーニュに劣らぬ味わいを、リーズナブルに楽しむことができます。

 

マリアージュ編

いくらスパークリングワインが万能といっても、毎回毎回スパークリングワインというわけにはいきません。
そこでここからは、料理に合った赤ワイン・白ワインを選ぶ「マリアージュ」についてお話ししていきます。

マリアージュの基本は「色」と「重さ」

よく「肉には赤ワイン、魚には白ワイン」といわれますが、そのことは一旦忘れてください。
マリアージュの基本となるのは、ワインの色合いと重さです。

まずは料理とワインの「色」を合わせる
色といっても「肉には赤ワイン、魚には白ワイン」という単純な話ではありません。

赤ワインでも「濃い色」のものと「淡い色」のものがあります。
白ワインも同様に、黄金色に近い濃い色のものと、透明で青っぽい淡い色のものがあります。
この色合いを料理に合わせるのです。

例えば牛肉の赤ワイン煮込みであれば「濃い赤ワイン」、サラダなどには「淡い色の白ワイン」といったぐあいです。

ここで重要なのは、肉にも鶏肉のように「白っぽい」ものがあり、魚介を使った料理でも「赤い」ものがあるということ。
鶏肉のクリーム煮などには黄金色のしっかりとした白ワインを合わせます。

逆に魚介を使っていても、ペスカトーレなどはトマトソースを使っていて「赤い」パスタですから、淡い色の「赤ワイン」を合わせます。

このようにこれから食べる「料理の色」と「ワインの色あい」を合わせれば、大きく間違うことはありません。

 

◆ワインのタイプ(合う料理)◆

・濃い赤ワイン(牛肉の赤ワイン煮込み、ステーキ、ジビエ料理など)
・淡い赤ワイン(トマトソースを使った料理、鴨肉、豚肉)
・濃い白ワイン(鶏料理一般、クリームシチューなど)
・淡い白ワイン(シーフードサラダなどの野菜料理)

 

色を合わせたら次は「重さ」
色を合わせたら、次はワインと料理の「重さ」を合わせてみます。

「フルボディの赤」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
この「ボディ」とはワインが「どっしりとしていてアルコール度数が高い」「軽やかでアルコール度数が低い」ということを表現するものです。
フルボディとは重い感じのするしっかりとしたワインのことで、ライトボディは軽快でさっぱりとしたワインのことを表しています。

このワインの「重い」「軽い」を料理と合わせてみるのです。

ジビエ料理やビーフステーキといったどっしりとした料理には重いフルボディの赤を、シーフードサラダなどの爽やかな料理には軽快な白ワインを合わせてみます。

ワインと料理の色と重さを合わせること。これを忘れないでください。

 

色や重さの見分け方

料理とワインを「色」や「重さ」で合わせることをお話ししてきましたが、「ワインのボトルは中が見えないから、色や重さなんて分からない」という声もあることだと思います。
そこでワインの色や重さを簡単に見分ける方法をお教えしましょう。

ボトルの形で見分ける

悩めるオヤジをソムリエが救う!恥をかかないワイン選び
一番簡単なのはボトルの形で見分ける方法です。
ワインボトルの胴体の太い部分から注ぎ口のある細い部分に切り替わるあたり、人間でいうと「肩」の部分に注目してください。

 

・いかり肩のボトルは濃くて重い

肩の部分が角張っていて、「いかり肩」のようになっているボトルがあります。

このようなボトルを使用しているワインは一般的に「濃くて」「重い」ものがほとんどです。

このボトルは世界最高のワイン産地ボルドーのワインによく用いられることから「ボルドータイプ」とも呼ばれているのですが、そのボルドーワインの成分と深い関係があります。

ボルドーの赤ワインのように濃くて重いフルボディのワインには、タンニンと呼ばれる渋味の成分や、赤い色素の成分が多く含まれています。
これらの成分は長い熟成を経て「澱(おり)」と呼ばれる結晶になるのですが、これをそのままグラスに注ぐとワインと一緒に澱までグラスに入ってしまうのです。

そこで役に立つのがボルドータイプのいかり肩の部分。

ボトルの角張ったところに澱が溜まり、ワインだけを上手にグラスに注ぐことができるというわけです。
濃くて重いワインのボトルがいかり肩なのはこのような理由があるのです。

 

・なで肩のボトルは淡くて軽い

一方なで肩のボトルを使用しているワインは一般的に「淡くて」「軽やかな」ワインがほとんどです。

ボルドーと並び世界最高のワイン産地と呼ばれるブルゴーニュのワインによく用いられることから、「ブルゴーニュタイプ」とも呼ばれます。

ブルゴーニュのワインはボルドーと異なり、色素が薄く、タンニンも強くありません。
そのため澱が溜まることはあまりなく、いかり肩である必要が無いのです。

結果としてなで肩のボトルを使用している赤ワインは「色が淡くて」「軽い」ワインということになります。

ただし赤ワインと違って澱の溜まることがない白ワインは、ほとんどのボトルがなで肩です。
そこで白ワインは生産国で見分けます。

 

生産国で見分ける

もちろんブドウ品種にもよりますが、同じ品種であれば、暑い国のワインは濃く重く、冷涼な国のワインは淡くエレガントに仕上がります。

そこで白ワインでもこってりとした料理に合わせる場合はカリフォルニアやスペインのような温暖な地域のものを、サラダやシーフードなどに合わせるときはフランスの北部やニュージーランドのような比較的冷涼な地域のものを選びます。

ただし南アフリカのようにイメージ的には暑そうですが、実は海流や風の影響で冷涼なワイン産地もあるので、その点は注意が必要です。

 

ワイン選びはイケてるオヤジの必須科目

今回のポイントは、

・ソムリエを味方につける
・迷ったらスパークリングワイン
・料理とワインは「色」と「重さ」を合わせてマリアージュ

の3点です。

ワイン選びはイケてるオヤジの必須科目。
今回の記事をぜひ参考にしてみてください。

この記事の作者

杉浦 直樹【マナーの達人】
杉浦 直樹【マナーの達人】
間国宝 故四代目中村雀右衛門門下の元歌舞伎役者。日本舞踊の師匠は藤間流宗家七世藤間勘十郎(現三世藤間勘祖)。幼少の時より日本舞踊を習い、大学卒業後歌舞伎役者となり、歌舞伎座、国立劇場などの舞台に立つ。三味線、鼓などを得意とし、能や狂言、落語といった他の伝統芸能にも造詣が深い。歌舞伎役者を引退した後はJSA(日本ソムリエ協会)認定ソムリエの資格を取得し、広尾のフレンチレストランをソムリエ兼支配人として運営していたことから、ワイン、テーブルマナーにも詳しい。特にブルゴーニュとシャンパーニュの古酒(40年以上前のもの)を得意とし、繊細で壊れやすい古酒ワインを料理とマリアージュさせる知識には定評がある。
up 杉浦 直樹【マナーの達人】
杉浦 直樹【マナーの達人】

週間アクセスランキング

    ページTOPへ
    ページTOPへ