ランニング始めて!あれ?足が痛い・・・。そんな続かない人にとっておきのトレーニング方法を!

  • 2019/06/21
  • ライフスタイル・娯楽
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  • 角谷 剛【スポーツトレーナー】
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ランニング始めて!あれ?足が痛い・・・。そんな続かない人にとっておきのトレーニング方法を!

日本では東京マラソンが人気の火付け役となった市民マラソンであるが、世界的に見てもフルマラソンを走る一般男女ランナーや大都市レースの数が増え続けている。かつては一握りのランナーだけが走れるものと思われていた42キロという距離は、今ではもはや特別なものではなくなっている。

それでは自分もやってみよう、と思い立って走り始めたものの、どうしても続けられない人は多いだろう。文字通りの3日坊主という人はむしろ少数派で、走るのをやめてしまった人には、ある程度の期間は練習を積んで、あるいはレースに出てみたものの、膝や足首を痛めて、ブランクの後に復帰する気をなくすケースが多い。

せっかく走り始めたのに、残念なことである。トシを取ると誰もが感じるように、まだまだ体力は衰えていないと思っている人でも、回復力は目に見えて落ちてくる。ケガをすると治るまでに時間がかかるし、その間も加齢は確実に進行する。長いリハビリの後に運動を再開しようとしたときには、以前より体力が落ちている。そんなはずはない、と無理をして、またケガをしてしまう。それで嫌になって走ることをやめてしまう。そんな負のスパイラルは避けたいところだ。若いころと違い、運動を日常的に行う人とそうでない人の違いは、トシを取れば取るほど大きくなるのだ。

市民ランナーのピークは40代後半?
出だしからいきなり暗くなってしまったが、ここで少し元気が出てくるような話も紹介したい。

老若男女を問わず、世界中のフルマラソンを走った人達の中で、最もランナー人口が多く、そして平均完走タイムが速いグループは40代の男性なのだ。下のRunner Clickというウェブサイトが、2014年から2017年までの間に39か国で行われた196のマラソン・レースの記録から、合計で約3百万人のデータを解析した結果だ。

出典元:World’s Largest & Most Recent Marathon Study

さらに細かく、2001〜2016年に開催されたボストン、ニューヨーク、シカゴの3大マラソン参加者の年代別完走タイム中央値を分析した研究もある。それによれば、20歳代から40歳代までの広い範囲で記録はほぼ横ばいに推移し、加齢による記録の低下が始まるのはようやく50歳を過ぎた頃なのだ。

出典元:Declines in marathon performance: Sex differences in elite and recreational athletes

こうしたデータから見えてくるのは、市民マラソンは少なくとも50歳ぐらいまでは自己タイムを伸ばし続けることが可能なスポーツだということだ。それもあくまで平均の話で、なかには50歳を過ぎてからでも自己記録を更新する人だって勿論たくさんいる。
英語に”Age is just a number”という表現がある。年齢は単なる数字に過ぎず、それを諦めの言い訳にするなという意味でよく使われる。マラソンはその言葉を実現できる格好のスポーツなのだ。もしあなたが走り続けることが出来なくているとしたら、それはトシのせいではなく、あなた自身に問題があるのだ。ならばその原因と対策を探ってみよう。走ると足が痛くなる、と一口に言っても、その原因は人によって様々だからだ。

 

タイプ1:太った人

タイプ1:太った人

長距離走というのは体重が軽ければ軽いほど有利なスポーツだ。マラソンや駅伝ランナーの体つきを見れば、それは一目瞭然だろう。走るという行為は、2本の足を使って長い距離を移動することだから、ゴールまで運ぶべき体重が重ければ、それだけ必要とされる仕事量(パワー)も大きくなる。

体重はケガの原因にも大いに関連がある。走るときには体重の4~5倍の負荷が膝にかかっていると言われているが、太っている人でも痩せている人でも関節や腱の太さには大差がない。同じ太さのバネが2つあって、片方に重いモノを、もう一方に軽いモノを乗せて動かすことを想像してほしい。壊れやすくなるのはどちらであるかは明らかだ。

だからまず、マラソンを走りたかったら、太っている人は体重を減らさなくてはいけない。これは何よりも優先されるべき大前提だ。世の中には様々なダイエット方法があるが、その種類は問わない。だが摂取カロリーのコントロールはランナーには必須だ。

痩せるために走る、という人も多いだろう。だが、走っただけで体重を減らすには、それだけの距離と時間をかける必要がある。仮に1時間ジョギングしたぐらいで消費するカロリーは、ビール中ジョッキをお代わりしたら台無しになってしまうからだ。体重の増減を決めるものは、運動2割、食事8割ぐらいに考えてほしい。1日に1時間走るとしても、残りの23時間を無頓着に生活していては体重は減らない。ランナーであるということはライフスタイルなのだ。

体重が落ちると走るのが楽になる。すると走れる距離や時間が長くなり、スピードも上がる。そうして運動量が増えると、ますます体重が落ちて、太りにくい体質へと変化していく。そこまでいけば、多少の暴飲暴食をしても、すぐにコンディションを戻せるようになるものだ。

 

タイプ2:筋力不足の人

太ってはいないけど、長く走ると足が痛くなるという人は筋力不足を疑ってみよう。そもそも長距離ランナーに必要なものは心肺能力と脚力だ。例えそのレベルに天地ほどの差があったとしても、この2つが必要とされること自体は初心者でもエリートランナーでも変わらない。

タイムを上げるには心肺能力も重要になるが、まずはマラソン完走を目標にするランナーなら脚力の方がより重要になる。特に初心者から中級者ぐらいまで、つまりフルマラソンを4時間切るか切れないぐらいのランナーはそうである。普通にジョギングするペースが1時間10キロぐらいだとして、42キロなら4時間ちょっとでゴールできる。それより時間がかかる人の殆どは、実はずっと走っていたわけではない。よく30キロの壁とか35キロの壁と言うように、多くはレースの後半になって、足が重くて動かなくなるか、あるいは脚が攣ったりして、とぼとぼと歩いた結果が4時間オーバーのタイムなのだ。

走るための筋肉は走ることによって作られる、そう言う指導者は多い。それは正しい。問題は、ひたすら走り続けることによってケガのリスクが増えることだ。例えば10kmのジョギングを週5回、1か月で200km以上を3か月続けることが出来れば、それだけで必ずフルマラソンを4時間以内で完走できるようになるだろう。しかしながら、初心者がそれだけのトレーニングをするうちに、多くの人は何かしらの故障に見舞われてしまう。それだけ、長距離を走るということは人間の膝や足首に負担がかかる動作なのだ。着地のたびにかかる衝撃からのダメージが蓄積することで、ケガのリスクが増えていく。

それを回避するためには休息が必要なのは言うまでもないが、ただ休んでいるだけでは筋力は落ちてしまう。だから着地衝撃のない筋トレを行うことが、故障を防ぎつつ筋力をつける一番の近道だ。レース直前の数か月は別として、市民ランナーには走る日と筋トレの日を交互に行うことをお勧めしたい。筋トレはまずスクワットから始めてみよう。最初は自重からでも構わない。慣れるにつれて段々負荷を増やしていく。

専門ランナーではないから筋トレまでする必要はないと考えている人がいれば、それはむしろ逆だ。鍛え上げられた専門ランナーは毎日走ったぐらいでは壊れないかもしれない。だが、筋力に劣る市民ランナーがその真似をしてはいけない。

 

タイプ3:ランニング・フォームに問題がある人

このタイプが一番難しい。自分が走っている姿を自分で見ることは出来ないからだ。誰かに動画を撮ってもらって、フォームをチェックすることは出来るかもしれないが、仮に問題を発見しても、ランニングの素人にその直し方まではわからない。人の体格や筋力は様々だから、その人にあったランニング・フォームも1つではない。ここはやはり専門家の指導を受けるのが一番だ。

それが出来ない場合は、最低限これだけは気を付けた方がいいですよとチェックをお勧めしたいのは、「自分の体重の真下で着地していますか?」ということだ。

ケガの多いランナーによく見られるのが、体の重心より前方に踵から着地してしまうフォームだ。これは地面からの衝撃が膝を直撃するし、一歩ごとにブレーキをかけているようなもの。

自分の体重の真下に着地し、重力を利用して前方に進む。どのようなフォームであれ、このことだけは注意してほしい。

 

生涯スポーツ

生涯スポーツ 

マラソンは誰にでも走れますよとは言わない。長い時間を走り続けることに耐えられない人も、面白くともなんともないやって思う人がいても当然だし、むしろそちらの方が健全なのではないかと思うときさえある。それは体力や能力の問題ではなく、その人の性格とか傾向に属する部分だ。

だが、もしあなたが何かのきっかけに走ってみようと思ったのであれば、ひょっとしたら走ることと縁があったのかもしれない。うまく走ることを趣味に出来れば、それは一生の財産だ。1度や2度足を痛めたぐらいで辞めてしまうのは勿体ない。ぜひ、立ち止まって、少しだけやり方を考えて、そしてまた走り出してみてほしい。

この記事の作者

角谷 剛【スポーツトレーナー】
角谷 剛【スポーツトレーナー】
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大谷翔平を語らないで語る2018年のメジャーリーグ Kindle版』、『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。 【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani
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