賛否の声もある社会人が勝って当然のライスボウル
- 2019/01/11
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学生に負けるわけにはいかない社会人
正月スポーツの中でも、とくに楽しみにしていたアメリカンフットボールの日本一決定戦であるライスボウルが終りました。1月3日に東京ドームで行われたライスボウルは、社会人代表の富士通フロンティアーズと学生代表の関西学院大学ファイターズの戦いでした。ゲームは後半になって一方的ともいえる展開で、富士通が社会人の実力を見せ付けた格好です。
かつて、このライスボウルでは学生が社会人を撃破したり、接戦を演じたりしたものですが、近年は社会人の厚い壁に阻まれて、学生は互角にわたりあうことすら難しい状況にあります。社会人の体制が完全に出来上がれば、選手が4年しか在籍しない学生には勝ち目がなくなるといった感じです。
そもそも、社会人は幅広い年齢の中から選りすぐられた選手によって構成されるチームであり、属性もさまざまです。対戦する大学の出身者やライバル校の出身者など役者が揃っています。経験豊富な社会人のトップチームが学生に負けることなどあってはならないことだといえます。
今回のゲームでも、富士通の攻撃が無駄なく進むことが多いのに比べ、関学の攻撃はファーストダウンを更新することも難しく、富士通ディフェンス陣に潰されるシーンが目立ちました。さらに、学生にとって難しい戦いとなっていることを象徴するかのように、第4クォーターでは残り11分あたりから関学の選手が相次いで負傷退場する場面が見られるなど、存在意義が問われる要因の現象も起こっています。
アメリカンフットボールでは、4回のダウンで10ヤード進まなければ攻撃権を失います。しかし、4回目(フォースダウン)で失敗すると守備に回ったときに不利な位置からのゲーム再開となるため、通常は3回目(サードダウン)までをファーストダウンの更新(10ヤード進むこと)に使います。4回目はゴールが近ければ「フィールドゴール」で3点を狙い、遠ければパントキックで相手陣内へボールを送ります。
実力差は大きくても楽しめる大会
ところが、大きくリードされている場合は、パントで攻撃権を渡すのではなく、4回目もダウン更新を狙った攻撃に使います。これをギャンブルと呼びます。失敗すれば、自陣の奥深い場所、つまり相手にとってはゴールに近い位置からの守備となるため、文字通りギャンブルです。
このギャンブルを複数回やらざるを得なくなり、それが成功に結びつかなかった関学にとっては、本当に苦しい戦いだったといえるでしょう。
52-17というトリプルスコアのゲームでしたが、以前から実力差が大きいのにやる意味があるのかという声があるのも事実です。考えてみれば、できた当時のライスボウルは社会人と学生による日本一決定戦ではありませんでした。
とはいえ、残り45秒でタッチダウンを取り、直後のキックオフで攻撃権を奪い取る奮闘を見せ、最後までゴールに向かった関学の姿を見れば、まったくの無意味とは思えません。
また、実力差があるからダメだということになれば、学生内部では関学と下位チームとではまったく勝負にならない差があり、社会人にも富士通クラスとそうでないクラスのチームには、大きな差があります。それもダメだという話になりかねません。
倒すべき社会人がいるからこそ、学生のレベルも上がる。もっとも、レベルの上がった学生が卒業して加わるのが社会人であることを考えれば、やはり学生が社会人を破るのは容易なことではないでしょう。
学生が誇れる社会人以上に強力な面としては、体育会の部活動という結束力の強さでしょうか。もちろん、体育会系の悪い部分もありますが、よい部分を伸ばすことで、いつかは学生が社会人を倒すときがくるのかもしれません。もっとも、何らかの仕組みを考える必要はあるでしょう。一方的なゲームが常態化すれば、やがて飽きられてしまいかねませんし、負傷者続出というのも問題です。