健常者のサッカーよりハードそうなアンプティサッカー
- 2018/12/14
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杖をついて走るのは重労働ではないのか
日に日に2020東京オリンピック・パラリンピックが近付いています。準備のほどは大丈夫なのだろうかと思いつつ、いろいろな競技・種目に興味が沸く時期でもあります。
さて、サッカー日本代表は新監督を迎えて好調に推移しており、次のワールドカップも楽しみになってきました。そんなサッカーの姉妹競技ともいうべき、障がい者サッカーの中から、今回はアンプティサッカーに注目します。
アンプティサッカーとは、切断障がいを持つ人によるサッカーです。腕や足を切断している人が選手として活躍しています。日本では歴史の浅いスポーツですが、徐々に広がりを見せています。
日本アンプティサッカー協会のサイトによれば、アンプティサッカーとは以下のようなスポーツです。
・対戦人数は各チーム7名。
・試合時間は25分ハーフと短め。
・ただし、フィールドは60メートル×40メートルとかなり大きめです。
・ゴールは少年用と同じものなので小さめ。
・ハーフタイムは10分あるので一息つけそうですが、疲れが残りそうでもあります。
大きめ・小さめなどの記載は筆者の個人的感想ですが、かなり本格的なサッカーであることは間違いないでしょう。
ルールは一般のサッカーと概ね同じようですが、切断障がいがあることから、その部分で違いがあります。
まず、ゴールキーパーは上肢切断者が務めます。下肢切断者だと、ゴール前で向かってくるボールに合わせて跳ぶことが困難であるためでしょう。逆に、フィールドプレーヤーは基本的に下肢切断者の役割です。
試合では、クラッチと呼ばれる杖をついてピッチを駆け回ります。歩くだけでも簡単ではないのに、走るだけでなくボールを運ぶわけです。あの姿を見れば、これは相当ハードではないかと思えます。かなり鍛えていないと、25分も持ちませんね。
もちろん、選手と周りで見ている側では体力もテクニックも異なります。選手本人はそれほどハードだとは思っていないかも。ソコソコハードくらいでしょうか。
リハビリの延長線上から世界のスポーツへ
アンプティサッカーは、負傷したアメリカ軍兵士のリハビリ手段になってから広まったそうです。そして、ゲーム中に使用されているクラッチと呼ばれる杖ですが、これも実はリハビリ用品とのこと。アンプティサッカーでは専用の道具を使っていないそうです。
さて、ルールの続きです。
クラッチはあくまで走るための道具であり、ボールを動かしたり飛ばしたりするのに利用してはいけません。不可抗力で当たることはありますが、故意の接触はハンドをとられます。
また、ボールがタッチラインを出たら、キックインします。スローインではないのは、フィールドプレーヤーがクラッチを使用しているためでしょう。
オフサイドがないのも、クラッチを使っての移動には向かないルールだからだと思われます。
直接的に障がいとは関係なさそうなルールとしては、ゴールキーパーがペナルティエリアから出られないことや、選手の交代人数に制限がないことでしょうか。
もっとも、下肢に障がいのないキーパーが前へ上がって行けるとなれば、クラッチを使っている相手フィールドプレーヤーにとっては大きな脅威になりかねません。いってみれば、健常者のサッカー選手が走りこんでくるようなものです。それどころか、お互いのキーパーが前線に出てくれば試合が無茶苦茶になりますね。極めて妥当なルールです。
また、いくら鍛えている選手だとはいっても、クラッチでピッチを走り回るのは大変です。交代人数は無制限でよいでしょう。
現在、日本ではアンプティサッカーのチームが北海道から九州まで9チーム協会に加盟しています。11月に行われた8回目の日本選手権では、FC九州バイラオールが優勝しました。これは2年連続で4度目となる活躍です。
これからもっと活動の場を広げてもらいたいと考えると同時に、われわれに何ができるだろうかと思うところです。2020年、障がい者スポーツがどこまで発展しているか楽しみです。