無冠の帝王・羽生善治センセーは来年なんとお呼びすればよいの?

  • 2018/12/29
  • ライフスタイル・娯楽
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  • のりき 夢丸
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激闘!下関決戦で羽生竜王無念の失冠

激闘!下関決戦で羽生竜王無念の失冠
将棋の第31期竜王戦7番勝負第7局が山口県下関市で行われ、挑戦者の広瀬章人八段が通算4勝3敗で羽生竜王を下し、初の竜王位に就いた。

この番勝負は羽生竜王のタイトル獲得数通算100期という前人未踏の記録がかかるだけでなく、敗れれば27年ぶりの無冠に後退するという、まさに「天国と地獄」のシチュエーションを賭けて行われた大一番。

それを連敗スタートかつ2勝3敗のカド番から盛り返した広瀬八段の精神力と実力は高く評価されるべきで、全国の羽生ファンを向こうに回しての見事なヒール役完遂にも万雷の拍手を送らなければならない。

さてこうして暮れの大一番が終わり、来年からしばらく羽生センセーは無冠ということになる。
今まではそのとき持っておられたタイトル名でお呼びすればよかったのだが、果たして来年の羽生センセーの肩書きはどのようになるのだろうか。

 

前例はありそうでない感じらしい

平成の将棋界を無双の活躍で駆け抜けた羽生センセー。
その間タイトルを持っていなかった期間はほんの少ししかなく、前回つまり27年前に同じく竜王位を失って無冠に後退した際は「前竜王」と名乗っていた。

なんでも格式の最も高い「竜王」と「名人」位については、たとえ無冠になっても次のタイトル戦が終わるまではそれぞれ「前竜王」「前名人」と名乗ってもよいことになっており、前回はこの慣習に従ったということ。

ただし、無冠の時代になんと名乗るかについてはご本人サイドの意向も色濃く反映されるようで、羽生センセー以前に一時代を築いた谷川浩司九段は、無冠時代、これらの称号を自ら辞退されたとのこと。
その場合は単に「九段」とお呼びすることになる。

じゃあ今回も羽生センセーさえよろしければ「前竜王」でいいんじゃね?
ファンはそう考えるかもしれないが(実際これが最有力候補)、27年前と現在とでは羽生センセーのお立場に大きな変化が起きていることもいちおう考慮しなければならない。

 

国民栄誉賞受賞、永世7冠達成でもなお九段?

2017年、悲願の竜王位奪還により「永世7冠」資格を達成した羽生センセーに国民栄誉賞が授与された。

これは棋士としては初の栄誉であり、以来センセーは文字通り将棋界のレジェンドとなったわけで、決して単なる無冠の九段というわけではない。

ま、将棋界には将棋界のしきたりがあり、羽生センセーもいまだ現役バリバリのトップ棋士であり続ける現状を考えると、むやみに尊い名前で奉るのもいかがかとは思う。

いかがかとは思うが、前人未踏の「永世7冠」という称号を名乗ることができるのもまた、羽生センセーお一人だけ。
よくお似合いだと思うのですが…。
それこそ再びタイトルをお取りになれば、またこの「永世7冠」襲名説は消えてしまうだけに、ね。

ちなみに各タイトルの「永世○○」という称号は、本来は原則引退後(還暦後というものもある)に名乗れるものであり、また名人位の「十九世名人」の称号もほぼ同様というから、羽生センセーのご気性なども考えると、今回が各タイトルの永世称号をあえて名乗られることはない気がする。

過去にはこれも羽生センセーとそっくり同じ状況で、将棋ファンなら誰でも知る昭和の大名人・大山康晴氏が特例で現役中に「十五世名人」を名乗ったことはあるけど、これも今回はないかなぁ…。

 

羽生センセーには通算タイトル100期が残っている!

こうして素人が浅はかな考えを巡らせているうちに、羽生センセーは来年あたりどこかで復活ののろしを上げてくるに違いない。

外野があれこれいうより、もう1つタイトルを獲って「称号問題」を自らシャットアウトしていただくのが一番気持ちがいい。

なにしろいま将棋界は激しい戦国時代を迎え、各タイトルホルダーのタイプが皆違うので、すぐに誰かの2冠、3冠時代が来るとも思えない。

今季A級順位戦でも羽生センセーは好調をキープ。
棋界実力No.1の呼び声高い豊島八段や広瀬八段らと名人挑戦権争いのさなかにいて、まだまだ本当の衰えとは無縁。
次のタイトル戦登場を楽しみにしておこう。

この記事の作者

のりき 夢丸
のりき 夢丸
馬と日本酒と時代劇をこよなく愛するフリーライター。 モットーは「人の行く裏に道あり花の山」。 最近はドローンに興味津々の毎日。 競馬血統ブログ「ほぼ毎週競馬ナビ」にて執筆中。
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