AppleよりAppleを知る男がいなくなる痛恨事
- 2018/05/11
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あまりに正確な新製品情報で我々を驚かせたあのお方が
いまやAppleの新製品発表が近づくと、どこからともなくパーツの一部写真やスペック情報がリークされるのが当たり前になっている。
それらガチのフェイクから希望観測記事までがまぜこぜになった事前情報の中で、唯一と言ってよい「確かなホンモノApple情報」を私たちに届けてくれた男、それがKGI証券のアナリスト、ミンチー・クオ氏である。
Apple情報にアンテナを張っている人なら一度は聞いたことがあるであろうこのご高名。
しかし残念ながら近く彼は、その地位に別れを告げることになるという。
そして新たな分野で、再び企業のカバー活動を始めるという。
アナリストとしての彼は究極の進化形記者だった?
クオ氏は、2012年に現在のKGI証券に入社し、Apple社をカバーする敏腕アナリストとして名をはせたが、Appleに対する分析業はそれ以前、IT系ニュース企業に在籍していた頃から始まっていたようだ。
それにしてもなぜ、いち証券会社のいちアナリストでしかない彼が、ここまで確固たる地位を確立できたのだろうか。
アナリストという職業は、確かに企業の内部情報に最も触れやすい立場ではある。
折にふれ、企業はわざわざ「アナリスト説明会」やもっとフランクな「懇談会」のようなイベントを用意することがある。
そこで新たなビジョンを小出しに説明し、結果として発表される記事の反響を通じて間接的にちまたでの評判、売れ行きの予測を探ることもできる。
しかしその程度なら他の証券会社アナリストやITニュース記者でも同じレベルの記事が書けそうで、クオ氏の独走を許すわけがない。
思うにクオ氏の本当の強みは、現職の前、つまりITニュース記者時代に地道に構築した情報網によるところが大きいのではないか。
そこへアナリストとして強化されたパワーバランス、エビデンスを肉付けし、驚異的な独走状態を保っていたのではないだろうか。
かゆいところに手の届く緻密さが売りで
なにしろクオ氏のコメントは、ひとことで言って「緻密」だった。
たとえば新製品に関しても「出る出ない」のような丁半バクチ情報ではなく、「○○インチの画面を持ち、スペックは○○で、今ある○○の上位機種となる」のように、Appleの戦略そのものまで込めたカバーが印象的だった。
最近では
▼5.8インチの有機ELディスプレイモデルiPhoneの新登場
▼新しいiPadのサイズは10.5インチで3モデルを展開
などが事前に彼のカバーから明らかになっただけでなく、その後も一切のブレなく、iPhoneXやiPad Proの発表までこぎつけた。
次のApple製品がどうなるのかについては、いまや全世界が注目するニュースであり、中には明らかに「手柄を急いだ」フェイクもあふれる世界だ。
クオ氏の情報は「世界で一番早い訳ではないけれど、恐ろしいほど正確無比で、彼しか知り得ない」という、ごく当たり前のようでなかなかできない偉業レベルの存在だったのである。
Appleの陰の巨人が去った後は
唯一無二の敏腕アナリストを失ったAppleリーク界。
今後、Appleに関するリーク情報を「真贋確定」できる新たな逸材が現れるまで、現場(と掲示板?)は相当な荒れ模様になることが予想される。
近い将来にはiPhone以外にも、Apple Watch、Mac Pro、コンテンツ、音楽事業、教育事業、そしてインテルに頼らない自前のプロセッサ開発など、Appleにとってもサプライヤー企業にとっても今後を左右する決断がいくつも控えている。
そしておもしろおかしいリーク情報が今以上に増え、皆がそれに踊らされ、SNSが炎上し、時には株価を揺るがすといった混乱もあろう。
しかし、もうそれを止めてくれる賢人はいない。
何か知っているなら、ときたまつぶやいてくれるだけでも、我々はありがたいのだが。