日本人の感覚にそぐわない「欲」というもの

  • 2017/04/21
  • ライフスタイル・娯楽
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中国人ニセ坊主、逮捕される!!

中国人ニセ坊主事件
先日、ニセ坊主が捕まったとの報道がありました。

中国人の陳容疑者は、今年の2月から3月、外国人観光客10人にお札や数珠を販売。約2万円を売り上げていたとのこと。

ほほう、遂に……実は、以前から怪しい中国人が僧侶に扮し、秋葉原を中心にお布施を募っているということはネットで話題になっていました。
ネットにあげられていたニセ坊主は複数人いましたので、そのうちの一人が陳容疑者だったのでしょう。
見た目は僧侶といってもタイの僧侶風。袈裟の色が茶色系だったりしますし、「ハロー」と声をかけて「寺の建立のため寄付を募っています」と英語で書かれた看板を指差しながら、お札を売りつける。

外観にしろ行動にしろ、そんなニセ坊主なら日本人は怪しさを感じます。
だから彼らからお札を購入したりはしませんし、ツイッターで「詐欺だ!!」と投稿されていたりしたのです。

 

詐欺ではないのなら、罪状は何なのか?

さて、そんなニセ坊主が逮捕されたのですが、その容疑は詐欺ではありません。
中国の農民が僧侶であるという身分を偽っていた事自体、罪を問われたりはしないのです。

捕まった理由は詐欺ではなく、入国管理法違反。
短期滞在のビザしか持たないのに、商売をしていた。ここが罪に問われている点なのです。

まあ、細かく見ていけば、許可を得ずに路上販売をおこなっていたとか、無理やり(?)寄付を迫ったとか、色んな決まりごとに違反している気はするのですが、とりあえずは入国管理法違反で引っ張ったということでしょう。

 

ニセ坊主とセルフ托鉢僧の間にあるもの

ニセ坊主とセルフ托鉢僧の違いとは
こんな話を聞いて、なるほどなあと思いつつも、何となく腑に落ちないのはなぜでしょう。

何もわからない外国人観光客を相手に、僧侶の資格もない、中国の農民が僧侶の振りをしていたというのは、どうも許せないと感じるからでしょうか?
しかし、僧侶を名乗るのに資格などいらないもの。明日から誰でも僧侶を名乗ることは可能ですし、そんなセルフ托鉢僧は数多くいると噂されています。

そして、中国人のニセ坊主も就労ビザを取っていたら、逮捕されることはなかったのかもしれません。
中国人のニセ坊主とセルフ托鉢僧、やっていることは同じなのに、両者の間には距離を感じるのはなぜでしょうか。

 

不快感はニセ坊主行為ではなく、あふれる欲にある

ニセ坊主行為よりも溢れんばかりの欲に不快感を覚える
中国人のニセ坊主とセルフ托鉢僧の何が違うのか? と考えると、結局は「欲の多寡」ではないかと思うのです。
中国人も自国にとどまっていれば豊かではないにしても、農民の生活を続けることができたはず。しかし、日本でニセ坊主をしていたウラには欲があります。

一方で、セルフ托鉢僧は色んな動機があるにしろ、そのウラには欲はないはず。
欲があるならば、托鉢僧以外にもっと効率のいい方法があるからです。

先の中国人のニセ坊主も、実在する寺院の再建のためにお布施を集めていたというのなら、入管法には違反しているものの逮捕が報道されたり、ツイッターで拡散されたりはしなかったでしょう。しかし、欲が多くの日本人の鼻についたから、結局逮捕されるに至ってしまったのです。

ツイッターで拡散された画像には、ニセ坊主がビルの陰で札を数えている物がありました。
欲が溢れ出ているその様子は、セルフ托鉢僧にはない、さもしさを感じたものです。
相手から欲を感じると気分が悪くなる……これは、日本人特有のもの、だから中国人のニセ坊主は日本での存在を許されなかったのでしょう。
そういった意味で、実に日本的な事件だと感じたのです。

この記事の作者

アントニオ犬助
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みんなに嫌われるジジイを目指して、日々精進中!!
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