説明できますか?ドローンとラジコンヘリの違い
- 2019/03/02
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ドローンを調べて、自身の不明を恥じる
私、アントニオ犬助が時代の潮流に乗れていないからでしょう。
なぜ世の中が大騒ぎしているのか理解できないものが、数多く存在するようになりました。たとえばAI、あんなもの大量のデータをアルゴリズムで処理しているだけですから、少し前に流行ったbotに毛が生えた程度のものなんじゃないか?などと思っています。だから大騒ぎしている理由がわからない。AIというなら、ウソをついたり人間に対して反乱を企てるようになってから、出直して来いというものです。
そんなAI同様、大騒ぎしているのが理解できないものといえばドローン。
あんなのラジコンヘリと何が違うんでしょうか?と思って調べてみたら、それほど違っていなかったものの、犬助は自身の不明を恥じるしかなくなった、という話です。
ドローンの父は元「WIRED」の編集長
その昔「WIRED日本語版」という雑誌がありました。あふれるお洒落な誌面とサイバーな雰囲気に、当時の犬助はすっかりやられてしまったのですが、本家「WIRED」の編集長を務めていたクリス・アンダーソン氏が、ドローンの父と呼ぶのにふさわしい(であろう)人物です。
彼が最初のドローンを手がけたのは2007年ごろ。レゴ「マインドストーム」とラジコン飛行機を元に、もっと面白いおもちゃを造れないか考えました。そして一晩で造り上げたのが、現在のドローンの原型だといいます。
取り立てて、目新しい技術は使われていないが
ラジコンの飛行機やヘリコプターは非常に敷居が高い趣味です。なぜなら値段が非常に高額であることに加えて、飛ばすのが難しいから。どれほど難しいかというと、オウム真理教がラジコンヘリを利用してサリン散布をたくらんだものの、誰も飛ばすことができなかったくらい。ホバリング一つとっても、高度によってスロットルの明け具合を調節しなくてはなりませんから、相当な練習を積まなくてはならない上に、しくじったらすぐに墜落、10万円がおじゃんという世界なのです。
しかしドローンは自動で安定した飛行姿勢をとってくれますから、安定して飛ばすことができるし墜落もしない……これを知ったときに犬助は「え、それだけ?」と思ってしまったのですが、これだけなのです。技術的にはジャイロセンサーとコンピュータを搭載しているだけ。もちろんセンサーが小型化したり、軽量で高出力のモータやバッテリという新技術はあるものの、基本的に驚くような技術が使われているわけではありません。
なにしろドローンの原型は先述の通り、アンダーソン氏が一晩で造り上げたものなのですから。
「枯れた技術の水平思考」という言葉を思い出す
その後、アンダーソン氏はWeb上にドローンについてのコミュニティを立ち上げ、2009年に同好の士と共に「3Dロボティックス」を創業、2012年にWIRED編集長の職を辞し、3Dロボ社の経営に専念するようになりました。そして企業価値は、一時3億6,000万ドルまで上上がったというのですから凄まじいのです。
さて、この話で犬助が思い出したのは、任天堂の横井軍平氏が残した「枯れた技術の水平思考」という言葉でした。取り立てて目新しい技術を使っていないのに、横井氏が「ゲーム&ウォッチ」や「ゲームボーイ」などの大ヒット作を生み出せたのは「水平思考」があったから。新しい角度から物ごとを見ることができたからです。
ドローンにしても同じこと。特に新しい技術を使っているわけでもなく、レゴ「マインドストーム」とラジコン飛行機の水平思考で造られたもの。そこまでなら、単に操縦しやすいラジコンヘリなのですが、ドローンを見た人も水平思考を用いました。結果、写真や動画撮影、物流などのジャンルでドローンは画期的な役割を果たすようになったのです。
つまり何でもない様に見える技術でも、見る人や使う人によっては画期的なものとなり得るという話です。つまり技術は見る人や使う人次第で、活きもすれば死にもするという話。犬助は自身の不明を大いに恥じています。