靖国神社は軍国主義の象徴などではないのです
- 2018/04/07
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国のために命を懸けて戦った人々を讃える神社
全国で桜が咲き始め、いよいよ春本番となりました。桜の名所は各地にありますが、東京で最も注目を集める桜といえば千代田区九段下にある靖国神社の桜でしょう。実は靖国神社のソメイヨシノこそが、気象庁指定による東京の桜の標本木。開花宣言の基準なのです。
靖国神社は春と秋に例大祭があり、夏は祖先の霊を慰めるみたままつり、冬は初詣と、年間を通して参拝者でにぎわう人気スポットです。しかしその一方で、「軍国主義の象徴」といわれるのを耳にしたこともあるのではないでしょうか。
その理由は、大東亜戦争の戦争犯罪人も含む多くの軍人や軍を補佐した軍属が御祭神として祀られているから。内閣総理大臣などの政治家が靖国神社を参拝すると、TVや新聞で緊迫した報道が流れますよね。
確かに靖国神社は、戦争に身を投じた人々を246万6千余柱も祀っています。しかしそれは、軍国主義を掲げるためではありません。国を守るために命を捧げた「英霊」たちの純粋な志を讃え、魂を慰めるためです。
靖国神社の歴史とそこから生まれる問題点
靖国神社の原型は、明治2年に明治天皇の指揮で建てられた東京招魂社です。これは明治維新の際に争われた戊辰戦争の戦没者を慰霊するための施設でした。本格的な神社となったのは明治12年で、このときに靖国神社と改称。こののちも日清戦争や日露戦争、大東亜戦争などの戦没者を御祭神として祀り、現在に至ります。はじまりが軍関係者の慰霊施設だったため、運営は長らく日本政府の軍部が行っていましたが、大東亜戦争終結後の昭和21年に単立宗教法人となって国の管理を離れました。
このような歴史があるため、靖国神社は特定の宗教である神道の宗教法人でありながら、国家の政治に深くかかわる戦争関係者を多く祀る存在となっています。世界にはアメリカのアーリントン国立墓地やイタリアの祖国の祭壇のように、国が管理運営する無宗教の戦没者慰霊施設が多くありますが、日本にはないのが現状です。
このため、政教分離と歴史認識の観点から政治家の公式参拝に対する議論が続いています。これがいわゆる「靖国問題」です。
結局なにが「靖国問題」なのか?
まず政教分離とは、政治と宗教を切り離すことです。一見すると常識のようにも思えますが、日本では古くから仏教の僧侶が政治介入する例はよくありましたし、現代でもバチカン市国のように聖職者が運営する国家は存在します。しかし現代日本では日本国憲法によって政教分離が定められているため、政治家が特定の宗教施設に公式参拝することは違憲と指摘されるのももっともなのです。
次に歴史認識とは、主に中国と韓国からの抗議にあらわれています。かつて日本の植民地支配を受けた中国と韓国にとって、大東亜戦争の戦犯を祀った神社を政治家が公式参拝することは、植民地支配を正当化して軍国主義を認める行為と考えられるわけです。
つまり靖国問題は国内の憲法に違反する疑いと、国外のかつて植民地支配を受けた国からの批判というふたつの問題を同時に抱えています。
しかし公式参拝が軍国主義に結びつくという指摘は、中国や韓国が日本との外交で圧力をかけるためのツールのひとつと考えるのが妥当でしょう。国内では政教分離に対する問題点のほうが多く議論されています。
靖国神社はいつでも四季を感じられる憩いの場
このようになにかと軍国主義的な扱いを受ける靖国神社ですが、一度訪れてみればそんな議論はどうでもよくなるはず。都心にあって緑豊かな靖国神社は、季節ごとの風情ある景観で心を潤してくれます。春の桜はもちろん、夏にはみたままつりの提灯が幻想的な夜を彩り、秋は色づいた銀杏並木が壮観です。冬に雪が降れば、神池庭園などの日本庭園が雪化粧した景色に出会えることも。
境内の清浄な空気に触れると、体の中から清められるような心地になるでしょう。近隣はオフィス街なので、昼食を靖国神社の境内で楽しんでリフレッシュするビジネスマンやOLの姿も見られます。
また境内にある英霊顕彰館・遊就館は、幕末志士の遺品や零戦戦闘機の復元などが展示されており、歴史ファンにもミリタリーファンにも人気のスポット。子どもを連れてくれば、教科書の中のものでしかなかった歴史を身近に感じてくれるかもしれません。
靖国神社は誰でも受け入れてくれる憩いの場。身構えて訪れる必要などないのです。