なぜ、羽毛の生えたティラノサウルスが増殖中なのか?

  • 2019/03/23
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巨大模型には、やはり羽毛が生えていた

巨大模型には、やはり羽毛が生えていた
ティラノサウルスとはいうまでもなく、白亜紀に生息していた大型の肉食恐竜。大人から子どもまで大人気となっているのですが、この恐竜の特別展が開催されているのはニューヨークのアメリカ自然史博物館。会期は来年の8月までという、超ロングスパンといいますから、ここからもティラノサウルスの人気ぶりがうかがえようというものです。

そんな展覧会場の最も目立つ場所に展示されているのは、ティラノサウルスの全長12メートルという巨大な再現模型なのですが……私、アントニオ犬助は非常にがっかりしたのです。なぜなら、やっぱり羽毛が生やされており、何ともカッコ悪いから。確かに頭部から背中にかけて羽毛が生えているティラノサウルスは、近年の学説では主流になってはいますが、これでは凶暴でカッコいい恐竜の王が、カツラをかぶっている様ではないですか!私、アントニオ犬助は、こんなティラノサウルスなど、断固として認めたくはないのです。

 

悲鳴を上げる、ティラノサウルスのファンたち

なぜ、ティラノサウルスに羽毛が生えている説が主流になったのかというと、2004年に命名された「ディロング・パラドクスス」や、2012年に命名された「ユウティラヌス」に羽毛があったから。発見当初は羽毛がないティラノサウルスの仲間なのに、なぜ?と、恐竜の研究者たちは大騒ぎになり、付けられた名前は「常識に反する帝竜(=ディロング・パラドクスス)」となってしまいました。ちなみに後に発見されたユウティラヌスとは「羽を持つ暴君」という意味です。

ならば、と次々と発表されたのが羽毛を持つティラノサウルスの想像図なのですが、まあどれもこれも違和感が大きいことこの上ない。「これじゃモンハンのキャラじゃねーか」とか「ヒヨコじゃねーか」とか、ティラノサウルス好きの悲鳴がこだましたものです。

 

そして、生えていない派も主張する

一方でティラノサウルスには羽毛がないという主張にも、根強いものがあります。なにしろ現在、20体ほどのティラノサウルスの化石が発見されているのですが、そこには羽毛の痕跡はないのです。加えて、ティラノサウルスに羽毛があったとするならば、非常に都合が悪い。なぜなら羽毛を持っていたならば、暑くてしょうがないはずだから。羽毛の痕跡が残るユウティラヌスやディロングの体長は、それぞれ約9メートルと1.6メートル。ティラノサウルス(12メートル)よりもずいぶん小さいのです。小さい恐竜ならば、体を保温するために羽毛も良いでしょう。しかし、ティラノサウルスのような巨体に羽毛はふさわしくない。
つまりティラノサウルスは羽毛を持っていなかったのではないか?持っていたとしても、子どものころだけではないか?というのですね。

 

何だよ、みんなカッコいいのが好きなんじゃん!

さて、以上のことでもわかる通り、ティラノサウルスに羽毛があったかどうなのかについては、実は誰もわからないのです。なにしろ大昔すぎて、誰もティラノサウルスが動いているところを見たことがない、憶測で話を進めるしかないからです。そして恐竜の世界は、かなりの部分が憶測で成り立っています

たとえば恐竜の皮膚の色と聞いて、多くの人は(羽毛に覆われていない)ティラノサウルスならば茶色系、ブロントサウルスならばグレー系、トリケラトプスならばグリーン系の体をイメージしますが、これらも全て憶測です。なぜなら皮膚の色がわかる状態で発見された恐竜化石は一体もないから。全て現存する爬虫類から憶測して、適当な色を当てはめているからです。それぞれのイメージされる色は、多くの恐竜図鑑や映画「ジュラシックパーク」、そして「古代王者恐竜キング」らによる刷り込みの結果なのです。

ならば「ティラノサウルスは羽毛がないほうがカッコいい」という理由で、羽毛なしを推しても問題はないはずなのです。にもかかわらず、アメリカ自然史博物館の特別展において、カツラを被ったティラノサウルスの想像模型が展示されているのは、どうしたことか?と私、アントニオ犬助は憤慨していますが……その一方で、同時に展示されているスクリーンのティラノサウルスが襲ってくるという展示では、しっかりと羽毛なしのカッコいいほうが登場しており、ほっとしています。何だよ、やっぱりみんなカッコいいほうがいいんじゃん!

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アントニオ犬助
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みんなに嫌われるジジイを目指して、日々精進中!!
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